来客用として主に使用される会議室。黒革の椅子が並び、高級感が溢れる。
壁面にはアートのオブジェが配置されている。
増床のニーズ 金融業界の立地も重視
クリフィックス税理士法人では、事業の拡大やそれに伴う社員数増加に伴い、数年前からオフィスがやや手狭になっていた。今回の移転プロジェクトを主導した、同法人の企画管理部長・藤井和博氏に経緯を伺った。
「コロナ禍以前からオフィススペースは逼迫気味であり、コロナ禍で在宅と出勤のハイブリッドになったことで、一時的に回避することができたのですが、オフィススペースの問題が根本的に解決したわけではないので、物件探しは継続していました。また、会議室の数の少なさも課題でした。前のオフィスには会議室が3部屋ありましたが、業容の拡大に伴い『足りない』という声も挙がるようになっていました。そこも含めての増床ということで、移転を本格的に考えるようになりました。」
移転に際しては、面積以外にも重視したポイントがあったと藤井氏は強調する。
「大手町といえば日本を代表するビジネス街・金融街。私たち税理士法人は、企業の税務・会計に関するコンサルティングサービスを提供する会社なので、多くの企業が集積する大手町で働きたいという思いは非常に強かったです。もちろん顧客となる多くの企業様の本社もこの界隈にあるので、その近くに事務所を構えるという距離感、お互いに利便性が高まるというのも重要でした。」
税理士法人は税務・会計などのサポートを行うため、企業からの信用を特に大切にする業態だ。大手町に移転することは、ある意味必然だったのかも知れない。「一言で大手町といっても結構広いエリアですが、この大手町ファーストスクエアは大手町交差点の一角にあって知名度もある。そういった点も決め手になりました。」
3つの条件を満たす移転先の調査 少数精鋭で計画推進
移転計画で中心となったメンバーは、藤井氏が部長を務める企画管理部で、少人数でプロジェクトを進めたという。
「社員が全部で約120名。そのうち100名以上が税理士や会計士、そのアシスタントであり、税務・会計業務という本業に従事しています。人事、システム、経理、総務、コンプライアンスなど間接業務のすべてを広く担当するわれわれ企画管理部はいわば事務方で、この10名ほどで移転プロジェクトを推進していくこととなりました。三菱地所リアルエステートサービス様とは以前から関係があり、ちょうど移転検討のタイミングに合わせてベストな提案をしていただき感謝しています。」
具体的な新オフィス候補先の内見は、2023年の1月ごろから始まった。以前のオフィスは約200坪だったが、将来の人員増を想定して大手町を中心に物件を探したところ、見つかったのが現オフィスの約1.5倍の面積、約300坪のこのオフィスだった。人員増を受け入れる広いオフィス面積、不足気味の会議室数の増加、そしてお客様との近い距離を実現する立地条件。こうした主な条件をすべてクリアしたことが移転の決め手となった。
繁忙期が徐々に終わりに向かい始め、移転への本格的な準備が整ったタイミングで契約締結したのが5月。その後、6月上旬に社員向けに移転を公表した。以降はオフィスレイアウトの検討や、2024年2月に社員向けの新オフィスの説明会を開催し、3月にオフィスを移転した。
開放感が溢れる空間 コミュニケーションの深化へ
今回の移転で、社員数増による手狭感解消の他に、オフィス移転によって叶えたい目的といったものはあったのだろうか。
「コロナ禍を乗り越えて、出社する社員も増えてきました。せっかくならば、出社して働くことで生産性や効率性を上げてほしいですし、これまで以上に社員間のコミュニケーションを深めてほしい、ということが目的の一つでもありました。」
課題の一つであった会議室数は、3部屋から6部屋に増やした。窓から外の景色が見える来客用会議室、シンプルなつくりの社内用会議室がそれぞれ3部屋あり、用途に応じてメリハリをつけている。執務スペースは、一般的なオフィス空間であるワークスペースと寛いだ印象のカフェスペースに分かれており、パーティションが低いためゆとりと開放感を感じさせる。
「ワークスペースとカフェスペースの間の仕切りの高さは130cmほどなので、遠くまで見渡せますし、完全フリーアドレスなので、どこでも自由に働くこともできるという環境を構築することができました。」
また移転を契機として什器・機器類の効率化も図り、省スペースにも成功した。
「仕事柄紙の書類が多く、移転前は6段キャビネットが27本ありました。これを見直して、昨年の夏に廃棄や外部倉庫への移管に取り組んだ結果、移転後の現在は7本まで削減できました。また、ペーパーレス化にも取り組んでおり、プリンターの利用状況も精査の上で、6台から4台に減らしました。」
新オフィスへの移転が完了して約1か月、社員からの反応を藤井氏に聞いた。
「フリーアドレス自体は以前のオフィスでも導入していたのですが、カフェスペースや窓際に並んだ一人用の昇降デスク、ボックス型の打ち合わせスペース等の設備は今回取り入れたもので、社内の働く場所のオプションが増えたことで社員には好評です。特に窓際の席は、『今日はここで集中して作業する』とか、気分転換を図る目的で使われています。窓からは『大手町の森』※が見え、人気です。」
また、内装に目を移してみると、黒の配色と演出照明、アートオブジェで落ち着いた雰囲気のあるエントランスも、好印象を与える。
「エントランスや来客用の会議室は、お客様をお通しすると驚かれます。オフィス内にアートを置くことは以前からもあったのですが、大きなオブジェを飾ったのは初めてのことです。これまでのエントランスのなかで、一番落ち着いた感じに仕上がりましたね。」
社名を体現し、ブランドイメージを向上させる大手町の魅力
最後に、今回の移転を振り返っての総括と今後に期待することを伺った。
「今回の移転を機に、長年抱えていたオフィスの広さ問題がようやく解消されて、社員のパフォーマンスが向上するような、働きやすい環境が整ったと感じています。必要な機器類の取捨選択もでき、オフィス空間を効率的に活用できるようにもなりました。また、当法人の社名Clifixは“Client First”の頭文字が由来なのですが、『お客様の成長のために』という企業理念を体現する土地として、この大手町エリアを選べたことにも大変満足しております。日本有数の金融街であるこの地の魅力が、リクルーティングなど当法人のブランディングにもつながってくれれば幸いです。解決能力・意欲のあるスタッフを採用できれば、当法人の人材強化になるだけでなく、お客様にもより高品質なサービスをご提供できるようになると信じています。」
2002年の設立時から20年以上にわたり、「クライアントファースト」という言葉を標榜してきたクリフィックス税理士法人。今回のオフィス移転は、この言葉をさらに体現するための大きな一歩となった。大手町を拠点に、次なるステージへ飛躍していくだろう。
大手町ファーストスクエア
所在地: 東京都千代田区大手町一丁目5番1号
構造: 地上階:鉄骨造
地 階:鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造
規模: 地上23階/地下5階
延床面積: 143,206.98m²(43,320.11坪)
竣工: 1997年5月(イーストタワー)
交通: JR「東京」駅徒歩5分
東京メトロ、都営地下鉄「大手町」駅C8、C11、C12出口直結
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