L型の大きなテーブルが設置されているカフェスペース。社内イベント時にはケータリングが置かれることもあり社員同士のコミュニケーションの場として活用されている。
さらに、若手社員が発案したデザインコンセプトが随所に反映されており、ABWの考え方を取り入れたゾーニングも緻密に設計された「出社したくなる」ようなオフィスとなっている。
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“継続的成長”を支えるオフィスを目指して
カバヤ食品が以前入居していたオフィスは、社員一人あたりの専有面積が狭く、窮屈さもあり、働きやすい環境とはいえなかった。そうしたなか、同社は経営の大きな転換期を迎え、さらなる事業成長を見据えて、社員が自身の成長を目指し、より明るい気持ちで働けるオフィス環境を整備することとなった。人事・総務本部本部長 兼 人事部 部長の田島修氏は、オフィス移転に際して重視した点を次のように振り返る。
「移転先を選ぶにあたって重視したのは、まち全体の雰囲気やオフィスビルの立地条件、そして社員一人ひとりが快適に働ける十分な作業スペースの確保でした。新オフィスが社員同士の自然な交流を促進し、より心地よく働ける場となることで、生産性の向上にもつながると考えています。ABW(Activity Based Working)の考え方を採用しつつ、従業員一人あたり約3坪という一般的に推奨される作業面積をしっかり確保できる物件を探しました。」
2024年6月の移転検討開始以降、神谷町、六本木、青山、赤坂、丸の内、京橋など、主要なオフィスエリアを幅広く内覧。内装デザインと並行して検討を進め、9月末に今回の物件の契約に至った。
若手社員が主導する移転プロジェクト
物件が決定した後、営業・マーケティング・経営企画などの各部門から、20代・30代の若手社員6名からなるプロジェクトチームが編成された。このチーム体制に込められた意図について、田島氏は次のように語る。
「主体性と発信力を備えた若いメンバーが主導することで、“会社が用意した箱”ではなく、“自分たちが躍る場所”として捉えてもらうことができ、自主性の醸成につながると考えました。」
始動したプロジェクトのリーダーを務めたのは、人事・総務本部 人事部 人事課の田中聖也氏である。「同年代のメンバー同士だったことで、気兼ねも遠慮もなく、率直な意見を出し合いながら、“自分たちの将来”を見据えて前向きにプロジェクトを推進することができました」と当時を笑顔で振り返った。
昼時や夕方の利用が増加中。
議論を重ねた結果、オフィス全体の空間コンセプトは「四季」に決定。四季はそれぞれの季節で多様な色彩や表情をもつ。こうしたイメージは、多様な働き方を可能にするABWの考え方とも合致し、「継続的成長を遂げる場所」という新オフィスのコンセプトとも親和性が高かった。この方針に基づき、田中氏はオフィスレイアウトを決定したという。
「社内用・来客用の会議室には、四季やそれを象徴する要素にちなんだ名称を付けました。覚えやすく、他の会議室名と重複しないよう工夫しました。」
その後、会議室の名称に合わせて内装・絨毯・壁紙などの仕様を決定し、コンセプトが随所に反映されたオフィス空間が完成した。
交流と集中が共存するオフィスの新しいかたち
東京本社に在籍する約130人の社員に対し、新オフィスでは約170席を確保。出社率が8割に達しても、十分な余裕をもって快適に過ごせる設計となっている。執務エリアはABWの考えに基づき、業務の目的に応じて最適な環境を選べるようゾーニングを施す一方で、あえて仕切りのないフロア構成とし、社員同士の自然な交流を促進する工夫がなされている。田中氏は次のように語る。
「フロア全体を見渡せることで、誰がどのような作業をしているのか、誰と会話をしているのかといった社員同士の関係性が把握しやすくなりました。出社するだけで多くの社内情報に自然と触れられるようになり、出社するメリットを実感できる環境が生まれました。」
カフェエリアやラウンジでは、他部署の社員と隣り合う機会も多く、距離が自然と縮まり、気軽に会話が生まれている。一方で、集中して業務に取り組めるよう、集中ゾーンは目的や使用頻度に応じて3段階に分けて設計されており、交流と集中、それぞれの機能が明確にゾーニングされている。
エントランスは、斬新かつ洗練された空間とするために、あえて自社製品の陳列を含めた装飾を排除、また落ち着いた雰囲気を演出するために、重厚感のあるデザインを採用した。その意図について、田島氏は次のように語る。
壁面のプロジェクターはプレゼンや発表の場でも活用されている。
「これまでは、取引先から『駄菓子のカバヤ』という一般的なイメージに基づいた提案をいただくことが少なくありませんでした。今回の重厚感のあるデザインには、既存のイメージに捉われることなく、社会的に意義のある高品質・高付加価値の製品を届けたい、という当社の本質的なブランドメッセージを込めています。」
“変わらず、変わり続ける”組織へ
素材の質感が際立つエントランスは落ち着きと重厚感のある空間となっている。
今回の移転プロジェクトについて、田中氏は次のように総括する。
「今回のプロジェクトは、オフィス移転に初めて携わるメンバーを中心に進めましたが、三菱地所リアルエステートサービスの丁寧かつ熱意ある情報提供に大いに助けられました。プロジェクト初期には頻繁にコミュニケーションを取り、業者選定の期限といったマイルストーンや、想定されるボトルネックの事前共有、さらに家賃相場の妥当性を示す稟議用資料の作成支援など、迅速かつ柔軟に対応していただきました。さらに、本社移転にとどまらず、札幌・仙台・名古屋・広島といった各地の営業所の移転にも同時期に関わっていただき、全社的な移転計画を包括的にサポートしていただきました。」

実務面での支援と戦略的な伴走を両立させたサポート体制は、本プロジェクトの円滑な推進に大きく貢献した。最後に、田島氏に今後のオフィスに対する展望を伺った。
「現在のオフィスに移転してから、『以前よりも快適で、のびのびと明るく働けます』『出社したくなります』といったポジティブな声が多くの社員から寄せられています。新オフィスが、社員にとって新たな挑戦に踏み出し、自らの成長を実感できる場となることを期待しています。また、こういった社員の姿を通じて、お客様のみならずパートナー企業、就職・転職活動中の皆さまにも選ばれる会社でありたいと考えています。」

“変わらず、変わり続けよう”という想いを胸に、移転プロジェクトを見守っていたという田島氏。立地やファシリティといった“箱”だけでなく、そこで挑戦し、成長し続ける“人”の姿こそが、これからのカバヤ食品の魅力となり、さらなる事業の飛躍を後押ししていくに違いない。
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T-LITE(トライト)
所在地: 東京都港区虎ノ門2丁目4-7
構造: 鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造
規模: 地上17階/地下2階/塔屋3階
延床面積: 26,226.40m²(約7,933.49坪)
竣工: 2022年3月
交通: 東京メトロ日比谷線「虎ノ門ヒルズ」駅 直結
東京メトロ銀座線「虎ノ門」駅 徒歩4分
東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王」駅 徒歩9分
(右)社内会議室はガラス張りで、開放感がある。
(右)ワークスペースは仕切りのないフロア構成となっており、その奥にはカフェエリアやラウンジエリアが広がる。
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