千駄ヶ谷の街並みに調和するデザイン
数々の名勝負を刻みながら歴史を積み上げる

千駄ヶ⾕エリア周辺の空中写真。明治神宮外苑・新宿御苑などの⼤公園に囲まれる、緑豊かな地域であることが⾒て取れる

開発事業第二部 グループリーダー 外松 浩⼀⽒
JR千駄ケ谷駅の改札を抜けると、特徴的な外観をしたビルが目に飛び込んできます。木目調のV字型の柱が目を引くそのデザインは、まるで巨大な脚付き将棋盤のようにも見えます。千駄ヶ谷のように自然豊かな、いわゆる“住宅街エリア”にオフィスビルが建設されると、その存在が目立ちがちです。しかし、2024年9月に竣工したオフィスビル「ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビル」は、新築の輝きを放ちながらも、どことなく懐かしい温かみを感じさせ、まるで長年この地に根差していたかのように街並みに溶け込んでいます。それはどうしてでしょうか。同ビルの開発を手掛けたヒューリック株式会社の開発事業第二部のグループリーダーを務める外松浩一氏に、開発にかけた思いを伺いました。
「千駄ヶ谷は、一言で形容するのが難しい街です。新宿や原宿といった繁華街に挟まれながらも明治神宮外苑、新宿御苑、代々木公園に囲まれているため、喧騒とは縁遠く、明るく澄んだ空気で満たされています。
また、鳩森八幡神社や国立能楽堂といった歴史と文化を感じさせる名所が存在する一方で、100を超えるファッション・アパレルメーカーが本拠地を構えており、新しいカルチャーも息づいています。さらに、津田塾大学や東京体育館、国立競技場といった教育施設やスポーツ施設が立地していたり、小さな路地が入り組んだ住宅街や商店街があったりと、落ち着いた日常生活が過ごせる環境も備えています。そして、こうした多様な特性とそれに属する人たちがゆるやかに繋がりながら独特の調和を生み出しています。それが千駄ヶ谷の魅力であり、多くの人を惹きつける理由だと思います。このビルの開発にあたっては、そのような地域の繋がりを断絶してしまうオフィスビルには決してしないようにと心掛けました」
千駄ヶ谷の街並みや、地域で暮らす人々との“調和”を大切にしているヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビル。その1階部分には、千駄ヶ谷で長い歴史を持つ「将棋会館」が移転しています。ヒューリック株式会社のビル事業企画部オフィス営業室の参事役を務める木村仁氏が、同ビルの開発経緯についてこう話してくれました。
「ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビルは元々、企業の研修施設として使用されていた千駄ヶ谷センタービルの跡地に建てられました。千駄ヶ谷センタービルの老朽化とテナント様の退去。そして、日本将棋連盟の『創立100周年』という記念すべき年(2024年)が近づいていたこと。これらのタイミングが絶妙に重なって、開発プロジェクトは始動しました。こうした背景もあり、竣工後は1階の大部分を将棋連盟が取得し、当社との共同所有建物として運用しています」
“将棋の聖地”ともいわれる千駄ヶ谷。これまでも、これからも、数々の名勝負が刻まれて歴史を紡いでいく中で、ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビルは、その“生き証人”として、街の新たなシンボルとなることでしょう。