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July 2026

「天神ビジネスセンターⅡ」
福岡の可能性を最大出力で実現
都市と企業と人を繋ぐ“循環のエンジン”

福岡市は今、天神と博多という二大エリアがそれぞれ異なる個性を磨き合うことで、都市としての厚みを増しています。九州最大のターミナル駅である博多が陸の玄関口としてさらなる進化を遂げる一方、天神では規制緩和によって民間投資を呼び込む「天神ビッグバン」と銘打った福岡市のプロジェクトを契機に次々と新たなオフィスビルが誕生し、“都市で働く”という体験そのものに新たな価値を与えようとしています。その象徴のひとつが、2026年6月30日に竣工し、8月4日に開業を予定している「天神ビジネスセンターII」です。ここには、コンパクトシティ福岡ならではの都市構造やライフスタイルを活かしながら、従来のオフィスの常識を問い直す挑戦があります。利便性やスペック競争だけではない、“この場所だからこそ働きたい”。そう思わせる環境は、どのような思想から生まれたのか。天神ビジネスセンターIIの事業主である福岡地所株式会社のキーパーソン2名に、その構想と戦略について伺います。

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企業が人を呼び、人が企業を呼ぶ「新たな成長の連鎖」

地下2階から地上5階までを貫く7層吹き抜けの「アクセラリウム」。地下鉄駅や周辺通路から地上へと連続する構成のなかで、行き交う人の流れ、そこから生まれる交流、そして多様な活動が自然に重なり合う、同ビルを象徴する空間のひとつ。

開発事業二部長 村山智紀氏

アジアのゲートウェイ空港である福岡空港から地下鉄で11分。福岡市の中心部・天神駅から地上に出ると、ガラスウォールをまとった新しいビル群が立ち並び、福岡の都市景観が目に見えて変わり始めていることに気づきます。そんな街全体から伝わってくるのは、次のフェーズへ進もうとする高揚感です。その中心部でひときわ存在感を放っているのが、2026年6月30日に竣工し8月4日に開業を予定しているオフィスビル「天神ビジネスセンターII」です。

福岡市が推進する大規模な都市再開発誘導事業「天神ビッグバン」において、その第一号案件「天神ビジネスセンター」を主導した福岡地所株式会社。同社は第一号案件で優良企業を惹きつけるため圧倒的なハイスペックを追求し、福岡市における高機能オフィスの新たな基準を切り拓きました。その先見性や知見をさらに発展させ、人が集まり企業が育つオフィスのひとつの答えとして送り出すのが、同社の旗艦プロジェクト・天神ビジネスセンターIIです。

このオフィスビルの高層階から街を見渡すと、空港から市街地までがほどよい距離感で広がっているのが見て取れます。東京や大阪のような大都市とは異なる、“コンパクトシティ福岡”ならではの働き方、その輪郭が浮かび上がってきます。天神ビジネスセンターIIの開発を手掛けた、開発事業二部長の村山智紀氏は、「福岡らしい働き方」についてこう語ります。

「単に“働きやすい”ということではないと思っています。福岡市は、都市機能がコンパクトに集積していて働く場所と住む場所の距離がとても近い。海や山、豊かな自然にも気軽にアクセスできるので、仕事終わりに自然の中で気持ちを切り替える人も多いです。“生活の幸福度を高める働き方”は、これからの都市やオフィスに求められる重要なテーマのひとつですが、福岡市は都市構造そのものが、それを実現しやすい環境になっています。“仕事か、生活か”ではなく、“仕事も、生活も”を無理なく両立できる。この感覚をオフィスに持ち込めるのが、福岡市ならではの価値ではないでしょうか」

その一方で、福岡市のオフィスマーケットには長年にわたって解消されてこなかった課題もありました。村山氏はこう振り返ります。

開発事業二部長 村山智紀氏

「ひとつは、オフィスビルの老朽化です。博多・天神エリアには築30〜40年を超える建物が数多く残っていました。福岡空港が近接していることで高さ制限があり、たとえ建て替えをしたとしても劇的に床面積を増やせるわけではありませんでした。オーナー側も建て替えに踏み切るメリットを見出しづらく、結果としてオフィスの更新が進みにくい状況が続いていました。さらに、東京や大阪のように大規模な本社機能を持つ企業が集中している都市と比べると、福岡市は支店経済の色合いが強く、地場企業も含めてオフィス規模が比較的小さい。そのため、企業側も従業員の知的創造性や満足度を高めるための投資が必要だと理解していましたが、実行に移しづらかった。そうした構造的なジレンマが、マーケット全体を停滞させていました」

こうした課題は同時に、人材の流出という形で都市の未来にも影響を及ぼしていました。村山氏はその実態について次のように指摘します。

「福岡には九州大学などの大学が集積しており、優秀な学生が数多く集まっています。しかし、これまでは“福岡で働きたい”という意思があっても、その受け皿となる企業や環境が東京や大阪と比較すると十分ではなく、優秀な人材が流出してしまっていました。つまり、ポテンシャルはありながらも、それを受け止める『器』が足りなかったんです」

そこで打ち出されたのが、官民連携による都市戦略「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」です。「天神ビッグバン」は、天神エリアにおける航空法による高さ制限や容積率の緩和を通じて高機能オフィスへの建て替えを促進します。一方の「博多コネクティッド」では、博多エリアを中心に駅周辺の再整備や交通結節機能の強化によって賑わいのあるまちづくりを促進します。どちらも“働く環境”を磨き上げることで、福岡市を“働きたい都市”へと変え、都市の競争力を根底から底上げすることを目指しています。

こうした流れを受けて誕生したのが、天神ビジネスセンターIIです。その立ち位置について、リーシングを担当する賃貸事業一部長の玉手啓介氏はこう語ります。

「コロナ禍を境にオフィスをコストとしてではなく、人への投資として捉える企業が増え、オフィスに求める価値は大きく変わりました。具体的には、機能や立地に加えて、人を惹きつけ、企業を成長させる環境が求められるようになっています。そうした変化のなかでも、私たちが一貫して重視してきたことは変わりません。福岡をもっと活性化させたい、もっとおもしろく、挑戦が生まれるまちにしたいという想いです。その実現のために私たちは、ここに集う人たちが、“この場所で働きたい”と思える環境を追求してきました。『企業が人を呼び、人が企業を呼ぶ』。この連鎖が、新たな産業や賑わいを生み、街と企業双方のブランド価値を押し上げていく。天神ビジネスセンターIIが、その循環を支える都市のエンジンになるよう育てていきたいと考えています」

人材獲得競争が激化する昨今、福岡市が持つポテンシャルは数字にも裏付けられています。全国的に人口減少が進むなか、福岡市とその近郊都市圏は人口・世帯数ともに増加基調が続いており、若い世代が流入する数少ない都市のひとつです。人を惹きつける魅力をもともと持っているこの都市だからこそ、優秀な人材を受け入れられる“器”が揃えば、その相乗効果は計り知れません。優秀な人材の流出を防ぐにとどまらず、優秀な人材が集まる都市へと成長できるはずです。

さらに注目したいのは、企業側の動きです。2024年における本社数の増加は東京に次ぐ全国2位と、福岡県への上場企業の本社進出も加速しています。福岡県を成長の舞台として選ぶ企業の裾野は、大企業からスタートアップまで急速に広がっています。

拠点をどこに置くか。その経営判断が、採用力・組織力・ブランド力を左右する時代において、福岡という選択肢はかつてないほどの現実味と優位性を帯びています。“人への投資”という視点から「福岡という土地が持つ独自の地域性」と「オフィス機能」を掛け合わせた天神ビジネスセンターIIは、働く場所を超えて、企業成長と都市価値の新しい関係性を提示しようとしています。

福岡の都市力と掛け合わせた
“働きたい”を生む「Reboot!」という経営戦略

多様なワーカーが交わる「Reboot!」。高品質な機能をシェアすることで企業の採用力や生産性向上を支えるだけでなく、人と企業が自然につながる“混ざり合い”の場として新たな共創を育んでいく。

地域性とオフィス機能の相乗効果によって、企業が人を呼び、人が企業を呼ぶ。この好循環を、実際の空間として体現したのが「Reboot!(リブート)」です。オフィス面積に対して約15%相当、実に約1,300坪を占めるワーカー専用の大規模共用スペースです。

このReboot!が目指すのは、「この会社で働きたい」「出社したい」と感じられる体験価値をオフィスの中にどう組み込むかという点にあります。Reboot!に込めた想いについて、玉手氏はこう話します。

「世界有数のテック企業や国内大企業の本社には、遊びや休息、健康への配慮など、人の創造性や快適性を引き出す仕掛けが数多く取り入れられています。製造業やインフラ業界などの重厚長大系企業の支社・支店が集まる博多に対し、天神ビジネスセンターIIのある天神は、ITやテック系企業との相性が良いエリアです。Reboot!は、こうした地域性を踏まえ、海外の複合開発事例や、創造性を重視するテック企業のワークプレイスを参考に設計しています」

こうした環境を企業単体で整備するのは、空間的にも、コスト的にも容易ではありません。そこで取り入れたのが、“シェアリング”という発想です。Reboot!には、スパ&サウナやシミュレーションゴルフといった心身のリフレッシュにつながる設備に加え、ラウンジ、スタジオ、キッチン付きミーティングスペースなどが備わっています。さらに、書店員が選書した200冊以上の本を自由に閲覧できるライブラリーコーナーも設けられ、多様な働き方や交流、新たなアイデアを支える共用空間として機能します。玉手氏は、Reboot!の魅力を次のように語ります。

「一日のオフィスでの生活の中で、自社オフィスとReboot!を行き来し、シームレスに使ってもらうことこそ、私たちが目指している姿です。実際、内覧に来られた企業の方々には、『このビルの共用部は、皆さんのオフィスの延長上にあります』とお伝えしています。1日のなかで、オフィスと共用部を自由に行き来して、それぞれの理想の働き方やリフレッシュの仕方を見つけてもらえたら嬉しいですね。また、Reboot!のような高品質な機能が共用部にあることで、企業は専有部を必要な機能に絞って最適化することができます。結果として限られた面積でも、生産性と快適性を両立したオフィスを構築しやすくなります。また、充実した共用施設は大規模なオフィスビルに備えられていることが多く、東京の場合、そうしたビルは大規模な面積でしか入居できないことが一般的です。しかし天神ビジネスセンターIIは、大規模なオフィスビルでありながら、コンパクトな面積での入居も可能であり、Reboot!という高機能な共用環境を活用できます。採用面での訴求力にもつながり、浮いたコストを別の投資へ振り分けることもできます。Reboot!は、単なる“福利厚生の空間”ではなく、採用力や生産性、さらには企業文化の形成までを視野に入れた、経営判断を後押しする空間になると考えています」

さらに、福岡ならではのライフスタイルとの高い親和性が、Reboot!の価値をもう一段引き上げます。玉手氏はこう続けます。

「職住近接のコンパクトな都市構造を持つ福岡では、徒歩や自転車で通勤するワーカーも少なくありません。自転車通勤で汗をかいても、Reboot!のシャワー設備を使ってからそのまま業務に入れる。こうした使い方は、“仕事も、生活も”を自然に両立させる福岡らしいライフスタイルそのものだと思います」

ところで、Reboot!を導入した物件は天神ビジネスセンターIIが2例目となります。先行して開業した物件では、当初ターゲットにしていたIT・テック系企業だけでなく、メーカー、金融、人材系など、幅広い業種から高い関心が寄せられました。その反響について、玉手氏はこう振り返ります。

「多くの企業が“人への投資”という視点でオフィス環境を見直すようになった結果、従業員満足度を高め、コミュニケーションを活性化し、“この会社で働きたい”と思ってもらえる環境をどうつくるか。そこに経営課題として向き合う企業が増えています。実際に、『限られた面積でも、専有部を効率的に設計できるので、自社らしい働き方や企業文化を表現しやすい』という評価をいただいています。通常のビルと比べたとき、内覧に来られた方の目の輝き方は全然違いますね。皆さんすごく時間をかけて、本当に楽しそうに見て回られているのが印象的です。そんな姿を見ていると、従来のオフィスにはない体験価値がこのオフィスビルにはあると実感します。内覧いただいた企業のなかには、本社にない設備環境を福岡の支社へ導入することについて、社内で慎重な議論が重ねられたケースもありました。オフィスの規模を問わず、本社にも引けを取らない高いスペックを享受できることが、このビルに確かな価値が備わっている証しだとも言えるのではないでしょうか。Reboot!が提供する環境は、従来の賃貸オフィスから見ると、確かに発想の転換が求められる挑戦的な空間なのだと思います。だからこそ、この場所が企業文化そのものを更新し、働き方を見直すきっかけになると期待しています」

共用部を戦略的に活用して企業価値や採用力と結びつける発想は、多くのオフィスビルが取り入れ始めています。しかし、天神ビジネスセンターIIが目指す姿は、そうした流れとは一線を画しています。なぜなら、福岡という都市固有の特性と掛け合わせることで生まれる独自の優位性があるからです。玉手氏は続けます。

「福岡は、東京や大阪ほど1社あたりのオフィス規模が大きくありません。首都圏では数千坪単位でオフィスを構えるような大企業であっても、福岡に拠点を持とうとすると100坪規模のオフィスになることも珍しくありません。天神ビジネスセンターIIは大規模なビルですから、必然的にこのビルにはたくさんの大企業が入居することとなります。では、大企業が数十社も集まると何が起きるか。さまざまな価値観やバックグラウンドを持つ人材が、毎日、同じ共用部で日常的に自然と交わります。私たちがReboot!のような共用部を重視しているのも、このビルだからこそ起きる“混ざり合い”にも本質的な価値があると考えているからです。リラックスした環境のなかで、業界や業種の垣根を越えた偶発的な会話や出会いが生まれ、それが新しい発想や刺激につながっていく。都市のサイズ感と企業集積の密度。その両方が揃っている点は、福岡ならではの強みだと思います」

この“混ざり合い”の思想は、ビル全体の設計にも貫かれています。例えば、地下2階から地上5階へと立体的に広がる7層吹き抜けの「アクセラリウム」。曲線を多用した有機的なデザインと、上下階がゆるやかにつながる視線設計が目を引く空間です。Reboot!が位置する5階・4階・地下2階にも面しているほか、2階には大階段を配置した開放的なオフィスロビーが設けられています。さらに、大型書店やカフェなどワーカーを支える商業施設もこの吹き抜けに面して出店予定です。地下2階の広場の先には、ランチや仕事終わりに重宝する飲食ゾーン「天神グルメストリート 天神イナチカ SOUTH side」が新たに誕生します。アクセラリウムという名に込めた想いと、そこから生まれる価値について、村山氏は説明します。

「アクセラリウムという名称には、集客・交流・創造を加速させる“アクセラレイト”と、開放的な空間“アトリウム”という、2つの想いが込められています。その名の通り、セキュリティで守られたオフィス空間から一歩外へ出れば、そこには多様なプレイヤーが行き交うオープンな空間があります。このオープンな空間の存在によって、社内だけでは生まれにくい発想やネットワーク、新たな共創や事業機会のきっかけが生まれていく。アクセラリウムは、入居するすべての企業の知的好奇心を加速させるための場でもあります」

コミュニティ形成の仕掛けは、こうした空間だけではありません。「人だけでなく、デザインや本、アイデアとも出会う。そんな多彩な“出会い”に溢れたオフィスビルを意識しています」と村山氏が語るように、独創性あふれる内装やアクセラリウムに展示されるパブリックアートを通じて、利用者に日常的な刺激を提供する環境を整えています。

さらに、毎週金曜日の夜には、Reboot!内のラウンジでアルコール含むドリンクを1杯サービスする「TGIF-“Thank God It's Friday”」やパブリックビューイングなど、デベロッパー自らが積極的にコミュニティ形成を仕掛けていきます。偶発的な出会いとコミュニケーションが生まれる瞬間を意図的に設計し続けることが、福岡地所のビル運営の根幹にあります。村山氏は続けます。

「ビルをプラットフォームとして活用することで、各企業が単独でコミュニティ施策を行うよりも効果的に従業員のエンゲージメントを高めることができます。数値化は難しいですが、こうした日常的な接点は、社員の定着率向上や組織への愛着形成につながっていきます。そんな日常の積み重ねの結果として“選ばれる会社”の醸成に貢献していく。その土壌を、ビル全体で支えていきたいと思っています」

空間・運営・コミュニティの三位一体で設計することで、天神ビジネスセンターIIは単なるオフィスという枠組みを超えて、人・企業・都市の関係性を編み直す基盤へと進化しようとしています。

ゆとりある基準階面積と高い設計自由度を備えたオフィスフロア。企業の成長や組織変化に合わせて最適化できる、柔軟なワークプレイスを実現する。

画一的なオフィスの限界を超え
空間を企業戦略のインフラへ再定義する

床や天井をあえて仕上げきらない「ハッカブルオフィス」。初期投資や環境負荷を抑えながら、企業ごとの戦略や文化を反映した自社らしい空間づくりを可能にする。

賃貸事業一部長 玉手啓介氏

天神ビジネスセンターIIの革新性は、共用部だけでは完結しません。専有部においても、従来の賃貸オフィスの前提を問い直しています。

賃貸オフィスは「OAフロアに白い壁、システム天井」という、いわゆる“事務所仕様”で作られるのが一般的です。しかし、入居後に既存の内装を解体し、自社仕様へ再施工する企業は少なくありません。さらに退去時には、その自社仕様を元の状態に戻す原状回復が求められます。

作っては壊し、戻してはまた壊す――デベロッパーにとっても、入居する企業にとっても合理性を見出しづらいこの構造には、莫大な初期投資や原状回復費、さらには大量の資材廃棄という無駄が重なっています。天神ビジネスセンターIIでは、こうした非効率な仕組みを改善する取り組みを行っています。具体的には、床や天井をあえて仕上げきらず、企業ごとに自由に設計できる「ハッカブルオフィス」を標準仕様として導入しています。その背景を、玉手氏はこう明かします。

「天神ビッグバンプロジェクトの第一号案件であり、隣接する『天神ビジネスセンター』では、“事務所仕様”の通常オフィスを提供しています。2021年の竣工後に入居企業の実態を詳しく調べてみると、施工したタイルカーペットの約40%が未使用のまま廃棄されていたことがわかったんです。さらにヒアリングを進めると、内装工事にかかる莫大な初期投資や退去時の原状回復工事費が、企業のキャッシュフローや入居するかどうかの意思決定の大きな重荷になっている実態も見えてきました」

コストの壁は、単に金銭的な負担にとどまらず、企業のオフィスづくりそのものに影を落としています。玉手氏は、こうした現状のなかでテナント企業が直面していたジレンマをこう明かします。

「従来の仕様のオフィスでは、企業が『自社らしいデザインにしたい』と思っても、入居時の内装工事に加えて、退去時の原状回復のための費用も発生します。そのため、どうしてもオフィスへの投資判断が慎重になります。もちろん作り込みができないわけではありませんが、一連のコストを考えると、理想とする空間づくりを十分に実現できないまま入居する企業も少なくありませんでした。これは単なるコスト制約ではなく、企業らしさを空間に表現する機会を失っていることでもあります。こうしたオフィスづくりの現実に直面し、企業が本当に求めているものは何かを追求した結果、天神ビジネスセンターIIでは、通常仕様のオフィスは1フロアに絞って、企業ごとに柔軟な設計が可能な『ハッカブルオフィス』と、内装付きで即入居が可能な『セットアップオフィス』を主軸に据えることにしたのです。本音を言えば『なぜ、天井を張っていないのか』とネガティブに受け取られるのでは、という不安もありました。しかし、環境負荷の観点から見ても、『作って壊す』の反復は合理的とは言えません。結果として、『まさにこういうオフィスが欲しかった』という声を想像以上にいただき、ほっとしています」

入居する企業にとっては、いずれも初期投資と原状回復コストを大幅に圧縮できる設計です。サテライト拠点としてのスモールスタートにも対応しており、拡大を続ける福岡経済圏への参入を、リスクを抑えつつも小さく始めて大きく育てていけます。

オフィスを企業の成長戦略や組織文化に合わせて最適化し続けられる“余白”を残して提供する。この発想は、オフィスを単なる箱ではなく、企業のブランドと戦略を体現する動的なインフラへと再定義する試みでもあります。

事業環境の刷新サイクルが加速する時代に、オフィスに求められるのは“完成された空間”ではなく、企業の成長や組織変化に寄り添い続けられる“適応力”なのかもしれません。

企業の意思決定を支える
見えない資産への投資

企業が安心して成長戦略を描くためには、華やかな空間だけでなく、事業継続を支える確かな基盤も欠かせない。天神ビジネスセンターIIは、その両立を追求している。

企業の顔とも言える開放的なオフィスロビー。木を基調とした温かみのあるデザインや、コミュニケーションを誘発する大階段を配置し、入居企業のブランドイメージと来訪者体験の向上を支える洗練された空間。

Reboot!内に設けられたスパ&サウナ。単なる福利厚生設備ではなく、働く人のコンディションを整え、創造性や生産性を引き出すための“環境投資”として位置付けられている。

ランニングマシンやバイクなどの機器を備えたReboot!内のジム。習慣的な運動はもちろん、隙間時間の軽いワークアウトにも活用でき、働く人の心身を健やかに整える。

セミナーや研修、顧客向けイベントなど幅広い用途に対応するカンファレンス。企業の成長や組織づくりを支える共用機能のひとつとして整備されている。

「天神ビッグバン」では、国家戦略特区制度(※1)などを活用しながら、高機能なオフィスビルの建て替えを促進するための規制緩和が実施されてきました。航空法による高さ制限の緩和もそのひとつで、天神ビジネスセンターIIが位置する天神明治通り地区の東側では、建物の高さ上限が従来の67メートルから最高約100メートルへと緩和されました。村山氏はこう語ります。

「福岡は、世界でも稀な都市と空港が近接したコンパクトシティです。飛行機が日常的に飛ぶことを前提に都市が形成されてきたので、空港と都市機能が自然に共存しています」

ビル自体の安全性という観点では、新耐震基準の1.5倍相当(※2)の強度を確保した大規模免震構造を採用しています。福岡県内の大規模オフィスビルとしても希少な仕様であり、1階床下にも免震装置を取り入れています。その意図を、玉手氏はこう説明します。

「福岡県は、国内の主要都市のなかでも比較的地震リスクが低いエリアとして認識されています。この地理的な特性を理由に、バックアップ拠点の候補地として福岡県を選ぶ企業は増えています。こうした都市のポテンシャルを最大限に活かし、企業のBCP戦略をより確実なものにするため、本物件では希少な大規模免震構造を採用しました。単に建物の倒壊を防ぐだけでなく、激しい揺れそのものを抑えることで、ワーカーの安全確保や、サーバーをはじめとする重要な事業資産の損壊軽減を目指した設計となっています。近年多くの企業がオフィス選定において重視する、実効性の高いBCPをインフラの側面から力強く支える役割を果たしています」

また本プロジェクトでは、コロナ禍を経て大きく変化したオフィスへのニーズにも積極的に対応しています。換気設備や自然換気スリット、非接触でのエレベーターシステムなど、感染症対策と快適性を両立する最新のオフィス性能を実装しています。さらに、災害などによる停電時の備えとして、非常用発電機の燃料は都市ガスと重油で二重化。都市ガスによる発電で最大約10日間連続、ビルで備蓄している重油による発電で約3日間連続での電力供給を確保しており、万が一の際でも事業継続をサポートする体制を構築しています。環境面では、「CASBEE(※3)福岡Aランク」、「ZEB Oriented(設計段階)(※4)」に加え、「DBJ Green Building認証(※5)4つ星」の予備認証を取得しています。

内覧の場では華やかな空間に目を奪われがちで、こうした仕様は派手に語られることはありません。しかし、企業の事業継続を支える“見えない安心感”へ、どのような投資が行われているかは、拠点選定をする際の最終的な意思決定の拠り所になります。

経営合理性と都市特性を接続した天神ビジネスセンターIIでは、福岡ならではの豊かな働き方がより現実味を帯びてきます。玉手氏はこう話します。

企業の顔とも言える開放的なオフィスロビー。木を基調とした温かみのあるデザインや、コミュニケーションを誘発する大階段を配置し、入居企業のブランドイメージと来訪者体験の向上を支える洗練された空間。

Reboot!内に設けられたスパ&サウナ。単なる福利厚生設備ではなく、働く人のコンディションを整え、創造性や生産性を引き出すための“環境投資”として位置付けられている。

ランニングマシンやバイクなどの機器を備えたReboot!内のジム。習慣的な運動はもちろん、隙間時間の軽いワークアウトにも活用でき、働く人の心身を健やかに整える。

セミナーや研修、顧客向けイベントなど幅広い用途に対応するカンファレンス。企業の成長や組織づくりを支える共用機能のひとつとして整備されている。

天神ビジネスセンターIIの構想を語る福岡地所の玉手啓介氏(左)と村山智紀氏(右)。福岡の都市力を活かし、「人が企業を呼び、企業が人を呼ぶ」という新たな成長循環の創出に挑戦している。

「大自然に囲まれていて、職住近接に適した福岡では、生活の質と仕事の質を連動させる働き方こそ“福岡らしい”と言えます。『人が企業を呼び、企業が人を呼ぶ』。この連鎖によって、まち全体のエネルギーが底上げされていく。私たちが提供したいのは、そうした未来の体験になります」

かつて"器が足りない"と言われた福岡市は、天神ビッグバンと博多コネクティッドという二つの都市戦略によって、そのポテンシャルを着実に形にしつつあります。天神ビジネスセンターIIは、その変化をさらに加速させる都市基盤として、人材を惹きつける環境づくり、企業同士の新たな出会いを生むコミュニティ設計、変化に対応できる柔軟な専有部、そして事業継続を支える高い安全性を備えています。

拠点を選ぶという経営判断は、単に場所を選定することではありません。どこで人を育て、どこから未来を描くのかという企業の意思表明であり、重要な経営戦略でもあります。

「福岡という土地の特性」と「このビルの機能」が掛け合わさることで初めて生まれる可能性、企業だけでは手の届かなかった領域に、天神ビジネスセンターIIはアプローチしています。街に、企業に、人にとことん向き合って磨き上げられた本物件。“次世代のインフラ”として新しい福岡の姿を体現するオフィスビルはまもなく開業し、福岡をリブートする循環のエンジンとして始動します。

※1 国家戦略特区制度
地域ごとに規制を緩和し、新しいビジネスや産業の創出を促進する仕組み。自治体や企業が柔軟に取り組める環境を整え、日本の経済成長を後押しすることを目的としている。

※2 新耐震基準の1.5倍相当
新耐震基準は全国一律ではなく、過去の地震被害や発生頻度に基づき「地震地域係数」によって地域ごとに地震の想定荷重が割り引かれており、天神ビジネスセンターIIは福岡市建築基準法施行条例基準の耐震基準の1.5倍相当で設計されている。

※3 CASBEE福岡
福岡市が、「省エネ・省資源」や「室内の快適性」「周辺環境への配慮」などの視点から建築物の環境性能を総合的に評価・格付けする制度。

※4 ZEB Oriented
最新の省エネ技術により、一般的なビルと比較して一次エネルギー消費量を30〜40%以上削減することを目指す国内の設計基準。

※5 DBJ Green Building
日本政策投資銀行(DBJ)が、「環境性能」や「BCP(防災)」「快適性」などの視点から不動産を評価する国内の認証制度。

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天神ビジネスセンターIIの構想を語る福岡地所の玉手啓介氏(左)と村山智紀氏(右)。福岡の都市力を活かし、「人が企業を呼び、企業が人を呼ぶ」という新たな成長循環の創出に挑戦している。

物件
紹介

天神ビジネスセンターⅡ

物件
紹介

天神ビジネスセンターⅡ

物件概要
所在地
福岡県福岡市中央区天神1丁目10番10号
アクセス
福岡市地下鉄「天神」・「天神南」駅及び、「西鉄福岡(天神)」駅に地下で接続
主要用途
事務所、店舗、駐車場等
構造
鉄骨造、一部鉄筋コンクリート造
階数
地下2階、地上18階、塔屋2階
高さ
約87.5m
敷地面積
約4,085m2
延床面積
約62,720m2
エレベーター
オフィス用12基(高層バンク6基、低層バンク6基)、人荷用兼非常用2基、共用(地下2~5階)1基、共用(地下1階~1階)1基
駐車場
90台(機械式:普通車74台、ハイルーフ車16台※内EV対応2台)、荷捌き10台、敷地外37台
駐輪場
地下276台(自転車・原付用※月極時間貸し併用)、地上12台(自動二輪用※月極)
竣工
2026年6月30日
事業主
福岡地所株式会社、天神一丁目761プロジェクト合同会社(福岡地所株式会社、九州電力株式会社、株式会社クラフティアで構成される特別目的会社)
基本設計・実施設計・監理
前田建設工業・俊設計設計監理共同企業体(構成員:前田建設工業株式会社、株式会社俊設計)
施工
前田・旭特定建設工事共同企業体(構成員:前田建設工業株式会社、株式会社旭工務店)
設備概要
BCP
・特別高圧22kV、3回線スポットネットワーク方式により、3回線中1回線が故障しても、他の2回線から受電可能。
・ビル用非常用発電機により、停電時も都市ガス(中圧ガス)で連続250時間、ビル備蓄の重油で連続72時間の電力供給が可能(専有部供給:15VA/m2
・テナント用の非常用発電機の設置スペースを確保(150kVA×4台、オイルタンク950ℓ×4基/50kVA×2台、オイルタンク200ℓ×2基)
賃室概要
基準階賃室面積
約2,595.21m2(約785.05坪)※階によって面積が異なります。
想定天井高
2,800mm(6・7階)、3,000mm(8階~18階)
床荷重
500kg/m2(ヘビーデューティーゾーン1,000kg/m2※8階~18階)
OAフロア
100mm
コンセント容量
60VA/m2(一般系統45VA/m2、非常用発電機系統15VA/m2
空調方式
電気式ビル用マルチエアコン(冷暖フリー、インテリア側空調機の50%に除菌ユニットを搭載)
外気処理
直膨コイル付き全熱交換ユニット(外気取込口にPM2.5対策用フィルター設置)
その他
防災備蓄倉庫・テナント倉庫
防災備蓄倉庫:6~10階/計5ヶ所、テナント倉庫:11・12・14・16・17階/計5ヶ所

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