企業が人を呼び、人が企業を呼ぶ「新たな成長の連鎖」
地下2階から地上5階までを貫く7層吹き抜けの「アクセラリウム」。地下鉄駅や周辺通路から地上へと連続する構成のなかで、行き交う人の流れ、そこから生まれる交流、そして多様な活動が自然に重なり合う、同ビルを象徴する空間のひとつ。
開発事業二部長 村山智紀氏
アジアのゲートウェイ空港である福岡空港から地下鉄で11分。福岡市の中心部・天神駅から地上に出ると、ガラスウォールをまとった新しいビル群が立ち並び、福岡の都市景観が目に見えて変わり始めていることに気づきます。そんな街全体から伝わってくるのは、次のフェーズへ進もうとする高揚感です。その中心部でひときわ存在感を放っているのが、2026年6月30日に竣工し8月4日に開業を予定しているオフィスビル「天神ビジネスセンターII」です。
福岡市が推進する大規模な都市再開発誘導事業「天神ビッグバン」において、その第一号案件「天神ビジネスセンター」を主導した福岡地所株式会社。同社は第一号案件で優良企業を惹きつけるため圧倒的なハイスペックを追求し、福岡市における高機能オフィスの新たな基準を切り拓きました。その先見性や知見をさらに発展させ、人が集まり企業が育つオフィスのひとつの答えとして送り出すのが、同社の旗艦プロジェクト・天神ビジネスセンターIIです。
このオフィスビルの高層階から街を見渡すと、空港から市街地までがほどよい距離感で広がっているのが見て取れます。東京や大阪のような大都市とは異なる、“コンパクトシティ福岡”ならではの働き方、その輪郭が浮かび上がってきます。天神ビジネスセンターIIの開発を手掛けた、開発事業二部長の村山智紀氏は、「福岡らしい働き方」についてこう語ります。
「単に“働きやすい”ということではないと思っています。福岡市は、都市機能がコンパクトに集積していて働く場所と住む場所の距離がとても近い。海や山、豊かな自然にも気軽にアクセスできるので、仕事終わりに自然の中で気持ちを切り替える人も多いです。“生活の幸福度を高める働き方”は、これからの都市やオフィスに求められる重要なテーマのひとつですが、福岡市は都市構造そのものが、それを実現しやすい環境になっています。“仕事か、生活か”ではなく、“仕事も、生活も”を無理なく両立できる。この感覚をオフィスに持ち込めるのが、福岡市ならではの価値ではないでしょうか」
その一方で、福岡市のオフィスマーケットには長年にわたって解消されてこなかった課題もありました。村山氏はこう振り返ります。
開発事業二部長 村山智紀氏
「ひとつは、オフィスビルの老朽化です。博多・天神エリアには築30〜40年を超える建物が数多く残っていました。福岡空港が近接していることで高さ制限があり、たとえ建て替えをしたとしても劇的に床面積を増やせるわけではありませんでした。オーナー側も建て替えに踏み切るメリットを見出しづらく、結果としてオフィスの更新が進みにくい状況が続いていました。さらに、東京や大阪のように大規模な本社機能を持つ企業が集中している都市と比べると、福岡市は支店経済の色合いが強く、地場企業も含めてオフィス規模が比較的小さい。そのため、企業側も従業員の知的創造性や満足度を高めるための投資が必要だと理解していましたが、実行に移しづらかった。そうした構造的なジレンマが、マーケット全体を停滞させていました」
こうした課題は同時に、人材の流出という形で都市の未来にも影響を及ぼしていました。村山氏はその実態について次のように指摘します。
「福岡には九州大学などの大学が集積しており、優秀な学生が数多く集まっています。しかし、これまでは“福岡で働きたい”という意思があっても、その受け皿となる企業や環境が東京や大阪と比較すると十分ではなく、優秀な人材が流出してしまっていました。つまり、ポテンシャルはありながらも、それを受け止める『器』が足りなかったんです」
そこで打ち出されたのが、官民連携による都市戦略「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」です。「天神ビッグバン」は、天神エリアにおける航空法による高さ制限や容積率の緩和を通じて高機能オフィスへの建て替えを促進します。一方の「博多コネクティッド」では、博多エリアを中心に駅周辺の再整備や交通結節機能の強化によって賑わいのあるまちづくりを促進します。どちらも“働く環境”を磨き上げることで、福岡市を“働きたい都市”へと変え、都市の競争力を根底から底上げすることを目指しています。
こうした流れを受けて誕生したのが、天神ビジネスセンターIIです。その立ち位置について、リーシングを担当する賃貸事業一部長の玉手啓介氏はこう語ります。
「コロナ禍を境にオフィスをコストとしてではなく、人への投資として捉える企業が増え、オフィスに求める価値は大きく変わりました。具体的には、機能や立地に加えて、人を惹きつけ、企業を成長させる環境が求められるようになっています。そうした変化のなかでも、私たちが一貫して重視してきたことは変わりません。福岡をもっと活性化させたい、もっとおもしろく、挑戦が生まれるまちにしたいという想いです。その実現のために私たちは、ここに集う人たちが、“この場所で働きたい”と思える環境を追求してきました。『企業が人を呼び、人が企業を呼ぶ』。この連鎖が、新たな産業や賑わいを生み、街と企業双方のブランド価値を押し上げていく。天神ビジネスセンターIIが、その循環を支える都市のエンジンになるよう育てていきたいと考えています」
人材獲得競争が激化する昨今、福岡市が持つポテンシャルは数字にも裏付けられています。全国的に人口減少が進むなか、福岡市とその近郊都市圏は人口・世帯数ともに増加基調が続いており、若い世代が流入する数少ない都市のひとつです。人を惹きつける魅力をもともと持っているこの都市だからこそ、優秀な人材を受け入れられる“器”が揃えば、その相乗効果は計り知れません。優秀な人材の流出を防ぐにとどまらず、優秀な人材が集まる都市へと成長できるはずです。
さらに注目したいのは、企業側の動きです。2024年における本社数の増加は東京に次ぐ全国2位と、福岡県への上場企業の本社進出も加速しています。福岡県を成長の舞台として選ぶ企業の裾野は、大企業からスタートアップまで急速に広がっています。
拠点をどこに置くか。その経営判断が、採用力・組織力・ブランド力を左右する時代において、福岡という選択肢はかつてないほどの現実味と優位性を帯びています。“人への投資”という視点から「福岡という土地が持つ独自の地域性」と「オフィス機能」を掛け合わせた天神ビジネスセンターIIは、働く場所を超えて、企業成長と都市価値の新しい関係性を提示しようとしています。




