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OFFICE MARKET REVIEW 2024(2024年 東京主要5区・7区の空室率・賃料推移総括)

空室率‧平均募集賃料推移

東京主要5区の空室率は、2024年1月末時点の5.99%から回復傾向で推移し、2024年12月末時点では4.56%(前年同月比-1.75pt)となった。主要5区の空室率は新型コロナウイルスの影響と2023年のオフィスビル供給が多かった影響もあり2023年7月末時点では6.88%まで上昇していたが、その後は順調に回復し2024年9月末には2021年1月(3年8ヶ月)ぶりに4%台に到達した。
東京主要7区の空室率は、2024年1月末時点では6.12%であったが、主要5区同様に回復傾向で推移し、2024年10月末には3年9ヶ月ぶりの4%台に到達。2024年12月末時点では、4.66%(前年同月比-1.78pt)となった。

また、2024年12月末時点の平均募集賃料は、東京主要5区において31,738円/坪(前年同月比+1,339円)、東京主要7区においては29,250円/坪(前年同月比+1,097円)であった。

2024年の主要5区、7区の空室率は適正空室率の5%~3%に収まる水準まで回復し、平均募集賃料は主要5区ではやや上昇、7区においてはほぼ横ばいの状況となった。なお、エリアごとの空室率については、昨年同様に差はあるものの、エリア間の差は縮小傾向にあるといえる。

順調に回復し適正空室率に到達。エリアによる状況の差も縮小傾向。

2024年は出社回帰の流れが強まった年であり、そうした背景から増床移転が多い傾向にあった。昨年同様に、「コミュニケーション向上」、「人材確保」、「従業員エンゲージメント向上」を掲げる移転も多く、引き続き千代田区や中央区(東京駅周辺)、渋谷区の需要が特に高い状況であった。
2024年の新築オフィス供給量は、2023年の半分程度となる約19万坪であった。2023年に竣工した物件の空室解消が順調に進み、2024年に竣工した物件についても堅調に埋まっていたことで、空室率は主要5区、7区ともに1年間で2pt近く回復した。また、平均募集賃料についても昨年に引き続き緩やかな回復傾向となった。なお、エリアごとの傾向は、2024年初めに空室率が特に高かった中央区、港区、江東区の回復幅が特に大きく、これまで苦戦していたエリアでの需要の回復が加速した1年であったといえる。

千代田区の空室率は、2024年1月の2.62%から緩やかに下降し、2024年12月末には4年4ヶ月ぶりに1%台となり、1.99%(前年同月比-0.63pt)となった。
平均募集賃料は、2024年12月末時点では40,011円/坪(前年同月比+3,005円)と4万円台に突入しており、東京主要5区の中で最も高い水準で推移した。
千代田区では空室が内部のテナントによる増床で埋まってしまい外部募集にならないケースも多くみられるなど、大丸有エリアを中心にオフィス需要が高い状況であり、新規供給が限定的であることも影響し空室率が低下していると考えられる。

渋谷区の空室率は、2024年2月に4.38%まで上昇したが、それ以降は回復傾向に転じ、2024年10月には2%台に突入し、2024年12月末時点では2.60%(前年同月比-1.37pt)となった。
平均募集賃料は、2024年12月末時点で32,164円/坪(前年同月比+2,585円)まで上昇した。渋谷区(特に渋谷駅周辺エリア)に関しても、IT企業やグローバル企業などの高いオフィスニーズを背景に好調な状況が続いてる。

中央区の空室率は2024年1月末時点では7.40%であったが、2024年12月末時点では5.66%(前年同月比-2.61pt)まで回復した。中央区に関しては、八重洲や日本橋などの東京駅周辺エリアと、晴海などの湾岸部エリアで空室率に大きな差があるが、どちらのエリアも空室率は回復傾向を辿ったことで、区全体の空室率についても下降傾向となった。

港区の空室率は2024年1月末時点では8.53%であったが、年間を通じて下降を続け2024年3月には7%台に、6月には6%台となった。2024年12月末時点では6.31%(前年同月比-2.51pt)まで回復した。特に大型新築・築浅物件が集積する虎ノ門エリアや田町エリアの回復が顕著であり、2024年1月にはともに9%台だったものが、12月末には虎ノ門が5.11%、田町が3.57%にまで回復した。賃貸条件の緩和やフリーレントの付与などの施策と、出社回帰に伴うオフィス需要の高まりが理由と推察される。また、空室率の低下に伴い賃貸条件を引き上げている物件も目立っており、港区の2024年12月末の平均募集賃料は前年同月比+1,752円の33,773円となっている。

エリアによる空室率の差は昨年から継続しているものの、その差は縮小傾向にあるといえ、マーケット全体として回復傾向が強い1年であった。需要が高く、貸し手市場となった千代田区や渋谷区については、この1年間でさらに空室率が低下し物件獲得競争が発生している状況である。空室率が5%を超えるその他のエリアについても、回復の1年であったといえ、その回復幅は千代田区や渋谷区を上回るものであった。リーシング状況についても、現状空室ではあるものの検討者がいるという物件も増えているため、移転を検討している企業には、希望エリアに関わらず早めの準備を行うことが推奨される。

なお、成約賃料についてもほぼすべてのエリアで上昇しており、マーケットの回復が色濃く反映されたといえる。下記に、2024年12月末時点における各エリアの推定成約賃料を示す。

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新築の供給量と空室率、開発状況

2024年の東京主要5区オフィスビル新規供給量は約19万坪であり、供給が多かった2023年の約40万坪の半分程度の供給となった。2023年に竣工した物件の空室解消が順調に進み、2024年に竣工した物件についても堅調に埋まっていたことで、マーケットは回復傾向となった。なお、新築物件に関しては、働き方改革関連法の影響により、工期が伸びて竣工が後ろ倒しになっている物件も出てきており、2025年以降の竣工予定物件への影響も懸念される。

2024年に竣工した大型ビルのうち、青朋ビル、住友不動産中野駅前ビル、住友不動産秋葉原東ビル、新虎安田ビル、渋谷アクシュ、関電不動産渋谷ビル、ヒューリック将棋会館千駄ヶ谷ビルなどは、ほぼ満床状態で稼働している。空室率の低いエリアを中心に、竣工前に満床となる物件もあるなど、一定以上のビルスペックをもつ新築ビルの需要は高いといえる。

移転傾向

昨年に引き続き、「働き方改革」を前提としながら、対面でのコミュニケーションによって生み出されるシナジーを重要視し、コミュニケーションの促進・向上を目的としたオフィス構築を行う企業がさらに増加。拠点の集約や1フロア化を実現した移転も多かった。また、今年は出社回帰の傾向が高まる中で、強制的に企業が出社を促すのではなく、従業員が出社することでメリットを享受でき、自発的に出社したくなるようなオフィス環境の構築を目指した移転も目立ったほか、昨年同様に人材確保や従業員エンゲージメント向上を目的とした移転も多かった。

例えば、自社ビルから2024年2月に住友不動産飯田橋ファーストビルに移転した良品計画は、業務効率や快適性の向上、部門間のコミュニケーション円滑化など、働く場の環境改善をテーマに移転を実施。旧本社時代から、「完成させないオフィス」をコンセプトとしており、新オフィスでは旧本社での課題を解決した。具体的には、コミュニケーション向上を企図したフロア数の減少や、対面で部門横断のコミュニケーションが気軽にとれるコミュニケーションスペースの増設など。また、オンライン打ち合わせの増加に対応する電話ブースの設置や、子育て中の社員や妊婦社員の休憩を想定したマザールームの設置なども行い、コミュニケーション向上や新たな働き方への対応を実現した。

2024年の日経ニューオフィス賞を受賞したオフィスについても、「働き方改革」を前提に「コミュニケーション向上」や「エンゲージメント向上」を企図したものが多く、オフィスで自社らしさを表現する企業も増加。また、コミュニケーション向上の観点からか集中ブースの設置企業は減少傾向となった一方で、働き方改革の一環としてリラックススペースを設置する企業が増加した。

2024年1月に虎ノ門ヒルズステーションタワーに移転したオカモトヤは、分散する拠点の集約と人的資本経営を背景に移転を実施。働く空間と働かない空間の融合をコンセプトに、従業員が自由に利用できるアメニティ(アロマオイルやホットアイマスク、マッサージグッズなど)が取り揃えられた「セルフメンテナンスルーム」が設置されており、従業員の気分転換を後押ししている。また、接待にも活用可能なゴルフシュミレーターを設置するなど健康促進への取り組みや、会社のDNA承継を企図し受付スペース壁に沿革を掲載するなど、エンゲージメント向上やブランディング向上に寄与する施策も行われている。

虎ノ門ヒルズ森タワーに移転した日本設計は、「社員みんなが実空間で出会い・考え・つくることができる拠点」を目指す一方で、リモートワークなどの様々な働き方も推進。チームごとにコアタイムを定める「共有フレックス」を採用しており、働く場所やスケジュールの共有方法もチームで決めることで、多様な働き方を推進しながら、チームの協働を深化させている。2フロアのオフィスには内階段が設置されフロア間の回遊性が向上。執務空間は2層を周回する「ミチ」と呼ばれる通路を挟んで窓際の「ソト」とコア側の「ウチ」の3部構成となっている。「ウチ」は執務スペース、「ソト」は多様性や開放感を表現したコミュニケーションエリアとなっており空間の違いが明確化されている。このように、ソフト(制度)とハード(オフィス)の両方を整備することで、出社とテレワークを融合させながら創造性と生産性を向上させることを目指している。

このように、自社に適した働き方改革を実践しながら、コミュニケーションの向上やエンゲージメントの向上などを実現させる移転が多かった。オフィスを単なる「コスト」ではなく、事業成長や従業員への「投資」と考える企業が一層増加したといえるだろう。


● 当社集計対象:延床面積3,000坪以上のオフィスビル
● 東京主要5区、7区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区+品川区、江東区
● 当社集計の空室率について:現在空室の物件と今後空室予定の物件含めた空室率を算出しております。
 また、新築物件に関しては竣工時に空室率へ反映をしています。
● 移転傾向については、日経不動産マーケット情報を基に当社にて独自調査を行い作成しています。
● 掲載データは2024年1月1日~2024年12月31日のデータを集計したものとなります。

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