ワンフロアならではの開放感と、東京駅と皇居を臨む抜群のロケーションを活かすため、壁で仕切らずにガラスで空間を区切っている。
1964年の創業以来、クライアントと社会が抱える課題をITの力で解決してきた株式会社アイネス。システムに関わる一貫したサービスと専門性の高いソリューションを提供している。
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株式会社アイネス
代表取締役
専務執行役員
塚原 進氏
60周年事業に向けて新拠点戦略を展開
株式会社アイネスは1987年に上場、1991年より横浜を拠点に事業を展開していた。拠点戦略は創業当時から注力しており、時代に先駆けた先進的な研究所と本部機能を兼ねた建物、さらに近隣には、独身寮と企業内保育園を展開していった。社員の働き方や、その家族の生活にまで配慮して福利厚生を充実させる。この社員ファーストの企業理念がアイネスの拠点戦略の出発点といえる。
近年の拠点戦略は今から10年前、50周年の記念事業として本社を東京に移転したことが端緒となる。その後、オフィス機能を分散させつつ、本社機能は更に都心へ移すという考え方に基づいて拠点戦略が進んでいった。その背景を、代表取締役専務執行役員塚原進氏はこのように振り返る。「当社のお客様は、地方自治体や大手金融機関が中心。そのため、来社するお客様へのレセプション機能を有する本社を、官公庁や金融の中心地に近い丸の内、八重洲、日比谷近辺に置きたいと考えていました。都内各所へのアクセスのしやすさを考えたのです。」
しかし、検討の最中に新型コロナウイルスが流行。拠点戦略も根本的転換を余儀なくされた。「コロナ禍に在宅勤務やテレワークを強力に推進したことにより、出社率は40%台にまで抑えることができましたが、一方で、契約していた民間サテライトオフィスは使いにくいという声も出てきました。そのため、通勤負担の掛からないターミナル駅に自社専用のサテライトオフィスを複数つくり、社員同士の接点となる拠点の設置へと舵を切りました。」サテライトオフィスの条件として、都心の事業所と郊外に住んでいる社員の居住地域の中間にあること。さらに、雨に濡れずに行ける駅から近い距離にあるなどを条件に至急該当する物件を調査。その結果、池袋、三軒茶屋、横浜駅東口、押上にあるリース物件を新拠点とした。
このような状況のなか、2020年以降の中期経営計画に基づくビジネスモデル改革に加え、これまでの働き方改革や、コロナ禍により加速したニューノーマル施策に沿った拠点戦略を展開しつつ本社機能移転の検討を進め、現在のYANMAR TOKYOでの拠点開設に至った。
役員会議室。和というオフィスコンセプトを体現した円卓。
中央フロアとはカーテンで仕切ることで機密性を確保している。
こだわったのは「東京」を感じる立地
YANMAR TOKYOへ拠点を設けるにあたり決め手となったのが、物件の規模感、企業カルチャーへのフィット、そして立地といった条件をすべて満たしていたことだった。
「オフィス規模は、レセプションと合わせて200坪以内を想定していました。本社機能を構える以上、社員が抱く会社への帰属意識やオフィスに対する愛着の観点から、複数階にまたがらないワンフロアオフィスにこだわりました。」そして最後の決め手となったのは、東京駅の目の前という立地だ。「かつて地方から上京した人が最初に目にする建物といえば、このヤンマービルでした。現在でも東京駅を象徴する存在に変わりはありません。北海道から九州まで全国に支社がある当社の社員、そして全国から来社されるお客様、両者が新幹線などで足を運びやすい魅力的な立地だと考えたことが大きいです。」
夜になり業務が落ち着くとバーのような雰囲気に早変わり。
年次や役職の壁を越えて皆で談笑し、社内コミュニケーションの活性化に一役買っている。
「サプライズ・ホスピタリティ・共感性」
新オフィスは「感動してもらえる場所」と「情報を発信する場所」というオフィス全体のコンセプトの体現にも成功している。当初から、レセプション機能をもたせることは決定していた。その機能に加えてクライアントとの何気ない接点の創出につなげたいと考え、営業部署を新オフィスに設置した。
「たとえば、上京した地方自治体のクライアントが帰りの新幹線が出発するまで、あるいは官公庁での打ち合わせまでの空き時間などに、当社に気軽に寄ってもらえる場所にしたいと考えていました。そこで、お客様専用のサテライトスペースも設置。その裏に、営業社員の執務スペースを置くというオフィスレイアウトを採用しました。」
デザインのキーワードとなったのは「サプライズ・ホスピタリティ(親和性)・共感性」。サプライズの一つ目の仕掛けは、来社してすぐのエントランスにある。暗闇を導くように、 壁の真ん中を水平に一筋の光が走ることで、将来へ向かう企業姿勢を大胆に表現。もう一つは、二つの顔を持つオフィスの空間だ。昼の落ち着いた雰囲気から一変し、夜になるとバーのようなコミュニケーションスペースへ。東京駅を眼下に、年次や役職に関係なく皆が談笑し、寛げる場に様変わりする。
ホスピタリティは、地方自治体が主となるクライアントに親しみや居心地よさを感じてもらえる空間づくりに表れている。白色を基調とした空間に木目調のデスクやチェアを配置。日頃の仕事や打ち合わせをするときと似た感覚で、仕事や議論ができるように計算されているのだ。
そして、共感性。ステークホルダー同士で「和」を保っていくことの大切さを表現した。「役員会議室には円卓が置いてありますが、『役員はみな対等であり、同じ和(輪)で働こう』というメッセージを込めました。そして社内だけでなく、社外のお客様や同業他社へと、その「和」が広がっていくように、という想いを発信しています。」
照明を落としたエントランス空間に、色が変化する一筋の光が企業ロゴとともに浮かびあがることで、来訪者に“サプライズ”を与える演出がとられている。
挑戦する気持ちを八重洲オフィスに込めて
ここ数年は一貫して、オフィスのABW(Activity Based Working)化、ワークライフバランスを意識したオフィス利用の推進を徹底してきた。戦略的なオフィス改革は、仕事の進め方にも変革をもたらしたといえる。「今後、立地やデザインなどの魅力あふれるこの拠点が強みになると思っています。たとえば、採用活動の面でも良い影響を及ぼし、優秀な人材の確保につながると期待しています。」このあと、グループの本拠地となる本部機能も新たな拠点へ移す計画がある。これが完了すれば、一連の拠点戦略は大きな区切りを迎える。塚原氏は拠点戦略のこれまでを振り返りつつ、今後の展望を次のように語った。
「上場以降、拠点となっていた横浜事業所には、会社のアイデンティティが詰まっていました。そのアイデンティティは新たなビルへと拠点が移っても、伝統として継承したいですね。一方で、新しいカルチャーやビジネスモデルといった挑戦する気持ちは、八重洲オフィスに定着させていこうと考えています。エントランスのデザインイメージは、その精神をまさに体現するもの。社内と社外の隔たりをなくし、これまでアイネスの拠点になかった新しい発想でオフィスづくりに励みたいです。そのためには、既成概念に囚われない若い人がたくさん集まるオフィスにしたいですね。」
今後、創業60周年キャンペーンの一環として若い社員たちに向けた内覧会なども計画している。八重洲オフィスを体感してもらい、「この素晴らしい空間がアイネスのアイデンティティ」という認識を持ってもらうのが狙いだ。各拠点で特色を持たせながら、この八重洲オフィスはさらなる新しいカルチャーを生み出し、発展させていく場として機能していくだろう。
営業部署スペースはフリーアドレスを採用しているが、お互いの位置がすぐ把握できるようにレイアウトを工夫。
自由闊達なディスカッションが自然と発生しやすくなる。
(左)木目調が印象的な落ち着いた会議室。
(右)クライアント用のサテライトオフィスとして活用できるミニスペースを設けている。
YANMAR TOKYO
所在地: 東京都中央区八重洲2丁目1-1
規模: 地下3階 地上14階 塔屋1階
構造: S造、一部SRC造、中間免震構造
延床面積: 21,775.59m²(約6,587.11坪)
竣工: 2022年8月
交通: JR各線「東京」駅 徒歩2分
東京メトロ銀座線「京橋」駅 徒歩7分
東京メトロ丸ノ内線「東京」駅 徒歩7分
東京メトロ東西線、銀座線「日本橋」駅 徒歩7分
都営浅草線「日本橋」駅 徒歩7分
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