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地震発生時の被害を抑える!耐震・制振・免震について解説

地震大国と言われるほど地震が多い日本の建物は、建築基準法に則り耐震構造が施されていますが、建築された年代によって耐震構造の基準が異なっています。本記事では、オフィスビルにおける耐震構造にはどのようなものがあるのか、防災効果や注意点について解説します。

近年、規模にかかわらず多数の地震が発生しています。大規模地震では、企業経営そのものが困難になるダメージを受けてしまうことは珍しくありません。
企業経営において、「自社のビルの適切な耐震性」を知っておくことは重要であり、耐震基準などを正しく理解しておくことは防災にも直結します。
本記事では、オフィスビルにおいて基本となる耐震構造や、「制振」「免震」といった地震に強いオフィスビルの構造についての知識を解説します。


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地震発生時にビルが受ける影響

オフィスで地震に見舞われた際、どのようなリスクや被害の可能性があるか把握していますか?
地震が発生した際には、次のような被害を受けることが考えられます。

 ・停電
 ・機器やオフィス什器などの損傷
 ・天井や壁などの破損
 ・断水や火災

会社経営には“地震などの災害に強いオフィスづくり”も重要です。まずは、具体的にどのような影響を受けるか想定しておきましょう。

■停電によるエレベーターの停止
地震が発生すると、地震時管制運転システムがついている場合、震度4程度の地震発生時に自動的に最寄階へ停止し、扉が開放されます。
ただし、築古のビルの場合、地震時管制運転システムが未設置である既存不適格のケース(建築時に適法であった建物が、その後の法改正により不適合になった状態)もあり、停電などによってエレベーターが停止することが想定されます。エレベーターが停止すると乗っている人は閉じ込められてしまいます。過去には、2018年6月の大阪府北部地震でエレベーターが停止してから救助までに最大5時間かかったケースもありました。

■機器やオフィス什器の損傷
地震で、オフィス機器や什器が壊れてしまうケースはよく見られます。オフィスには、デスクやコピー機、収納棚等様々な機器やオフィス什器があります。
しかし、それら全てが固定されているケースはほとんどなく、地震で落下した器物によって怪我をしてしまうことも想定できます。機器や什器を設置した時点で、落下防止の対策など地震対策を講じておくことをお勧めします。

■天井や壁の破損
地震が発生すると、建物そのものが大きく揺れます。それにより、天井や壁にヒビが入ったり、さらには天井が落下したり壁が剥がれたりする可能性もあります。避難中の怪我や避難経路が塞がれてしまう可能性がありますので、耐震性能が備わっているかを確認し、天井や壁が破損してしまう危険性を想定し、対策を講じておきましょう。

■断水や火災
地震によるビルへの被害には、断水や火災も考えられます。特に、建物内にはオフィス機器の設置に合わせて電気配線が敷設されています。
地震発生後には断線などにより漏電が起こり、火災に繋がるリスクがあります。火災により有毒ガスが発生することもあるので、避難訓練等を通し、日頃から従業員に避難経路を周知しましょう。

地震に強いビルに必要なこと

地震に対する建物の強さである耐震性能は、建築時に法令で定められていた耐震基準や、耐震等級によって異なります。
ビル選びにおいて、耐震性能を確認し安全なオフィス環境を整えましょう。

■耐震性能はどうして必要なのか
耐震性能は、建物が崩壊・倒壊しづらくビルの中にいる人の安全を守るために必要です。
阪神・淡路大震災では、亡くなった方の8割が建物の倒壊によるものだったという調査結果もあります。従業員やビルの来館者が安心・安全に過ごせるようにするためにも耐震性能が必要です。

■旧耐震基準と新耐震基準の違い
耐震基準には、“旧耐震基準”と“新耐震基準”があります。
そもそも、耐震基準は建築基準法の制定に伴い1950年に制定されたものが始まりでした。その当時の耐震基準(現在の旧耐震基準)は、【震度5程度の地震に対して、家屋などが倒壊・崩壊しない耐震性】と設定されており、震度5強以上の揺れは想定されていませんでした。
また、耐震技術の開発も追いついておらず、想定以上の地震が発生した時には対応できないという状態でした。それに対して、1981年に施行された“新耐震基準”は【震度5程度の地震で建物がほとんど崩壊しないこと+震度6〜7程度の地震で建物が崩壊・倒壊しない耐震性】となっており、震度5を超える地震に対する規定が制定されました。
なお、耐震基準は建築基準法によって義務付けられており、どの建物でも遵守しなければならないものです。

■耐震等級について
耐震基準とは別の指標として、耐震等級というものがあります。耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づき任意に取得ができるもので、1〜3のランクに分かれています。耐震等級1は建物に最低限備わるべきレベル(建築基準法で定められている最低限の耐震性能を備えている)であり、震度6〜7に相当する地震に耐えられるとする等級です。
2や3になるとさらに耐震性は向上します。特に、耐震等級3は耐震等級1と比較すると1.5倍の耐震性です。入居を検討中のオフィスビルや自社ビルの耐震等級を確認しておくことをお勧めします。

耐震性能を確保するための構造

耐震性能を確保するための構造としては、主に次の3つがあります。

 ・耐震構造(揺れに耐えて建物の倒壊・崩壊を防ぐ)
 ・制振構造(建物の揺れを吸収する)
 ・免震構造(地震の揺れを吸収する)

ここからは、それぞれの構造について解説します。

耐震構造の基本を知る

耐震構造とは、地震の揺れに対して強い構造のことです。

■耐震構造とは
地震による揺れは、上下左右に揺れるだけでなく、壁や天井などに回転しようとする力を生じさせます。そのため、倒壊・崩壊から守るために、あらゆる力に耐えられるような構造で建物を作る必要があるのです。
耐震構造は、建物そのものを頑丈に造るのが特徴で、土台や柱、梁など建物の構造体を強くすることによって地震に対抗するものです。筋交いを入れたり、接合部分を丈夫な金物で固定したりすることで補強し、建物の耐震性能を高め、地震の被害を少なくすることができます。

制振構造の基本を知る

制振構造は、地震や風の揺れを吸収し、建物の安全性と居住性を向上させる技術です。

■制振構造とは
「制振構造」とは、揺れの軽減・吸収を目的とした構造です。建物内部にダンパー(振動を軽減する装置)を組み込むことで、地震エネルギーを吸収します。
耐震構造は建物が地震の揺れをダイレクトに受けてしまうため、建物自体の損傷を低減するために制振構造が有効になります。

■制振構造が必要な理由
制振構造とは、建物にクッション性を持たせる構造です。
そのため、居住性の向上や揺れを抑えることで緊急時の恐怖心の減少が期待できます。また、制振構造は地震だけでなく風の揺れにも効果があるため、日常生活への影響も軽減されます。

免震構造の基本を知る

地震が起きた際、免震構造の建物は揺れの影響を軽減できます。

■免震構造とは
免震構造は、揺れを建物に伝えないためのものです。
免震装置(積層ゴムやダンパーなど)によって、地面からの揺れの影響を小さく抑えることができます。地震の揺れが大きく吸収されることで高層ビルでも安心して避難するなど冷静な対応をすることができます。
なお、免震構造は横揺れには効果的であるものの縦揺れには対応していません。横揺れは縦揺れよりも振れ幅が大きく什器の破損など被害が大きくなりますが、縦揺れは垂直方向の揺れのため一般的に被害が小さく、前者に対応した構造となっています。

地震に強い賃貸オフィスを探そう

オフィスは、従業員にとって快適な環境を求めるだけでなく有事の際の災害対策を講じておかなければなりません。
これからの賃貸オフィス選びの際には、地震などの災害に強い構造もポイントになります。特に押さえておきたい点を解説します。

■耐震基準を予測
耐震基準は、借りたいと考えているオフィスビル建物の建築年によって異なります。
まずは、その建物の耐震基準が新しいものか古いものかを予測しておきましょう。
なお、“旧耐震基準”の建物は1981年5月31日以前に建築確認されたもの、“新耐震基準”は1981年6月1日以降に建築確認されたものです。建物の完成日や表示登記日ではないことに注意が必要です。

■ハイブリッドな地震対策
一般的に「制振」「免震」2つの技術を組み合わせたものが 、“ハイブリッド型”と呼ばれる地震対策です。
地上の揺れを地盤と建物の間に設置されたダンパーである程度吸収し、吸収できなかった分は構造に組み込まれたダンパーで吸収します。このように、それぞれの機能をうまく組み合わせることで建物にあった地震対策を行うことができます。

■ハザードマップのチェック
ハザードマップとは、河川の氾濫や堤防の決壊など、水害や土砂災害の被害を最小限にとどめることを目的として作られたものです。
地震が起こると、津波や河川の氾濫などの水害が発生することも考えられます。自治体が作成しているハザードマップで内容を確認しておきましょう。

■避難経路をチェック
賃貸オフィスを借りる際には、避難経路のチェックも欠かせません。
最寄りの避難場所はどこか、どのルートで避難すれば良いのかなどを事前に調べておくことで、地震が起こった際にも安全かつ冷静に避難行動をとることができます。

■オフィス機器の固定やガラス飛散対策なども重要
地震に強いオフィスづくりは、前述したポイントだけでなく機器の固定やガラスの飛散対策も必要です。新たに賃貸オフィスを借りる時には、地震に強い建物を探すと同時に災害対策グッズ等も活用し、可能な対策を行うようにしましょう。
これから借りる予定のオフィスのレイアウトを検討するとき、一緒に地震対策も検討されることをおすすめします。

まとめ

今回は、地震が発生したときにオフィスに起こりうるリスクや耐震構造などの概要について解説しました。
賃貸オフィスを検討するとき、どのような条件で選びますか?賃料や立地やこだわりなど、あらゆる条件をもとに候補を絞っていくことになりますが、今後は、地震が起こった時の対策なども考慮して賃貸オフィス選びをしてみてはいかがでしょうか。

三菱地所リアルエステートサービスでは、不動産仲介の経験を存分に活かした最適なご提案で皆様の賃貸オフィス選びをサポートします。
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