1. トップ
  2. オフィスコラム
  3. トレンド・知識
  4. 「セントラル空調」と「個別空調」の違いとは?オフィス選びの時に知っておきたい空調方式の基礎知識

トレンド・知識

「セントラル空調」と「個別空調」の違いとは?オフィス選びの時に知っておきたい空調方式の基礎知識

オフィスビルで広く採用されている「セントラル空調」と「個別空調」。これら2つの空調方式には、それぞれ異なる特徴がありますが、その違いをご存じでしょうか?本記事では、それぞれの空調方式の基礎知識と、賃貸オフィスビルで採用されている空調の料金システムの具体例や、オフィス選定時に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。

オフィス選びの際、空調設備の方式もさることながら、ランニングコストに直結する料金システムを比較検討することが重要です。快適な職場環境を整え、コストを適切に管理するためには、空調設備の基礎知識を契約前にしっかり把握しておく必要があります。
本記事では、オフィスビルで採用されている「セントラル空調」と「個別空調」の違いをはじめ、オフィス選定時に押さえておくべきポイントや料金システムについて、具体例を交えて解説します。

セントラル空調と個別空調の違い

オフィスビルでは、「セントラル空調」と「個別空調」という2つの主要な空調方式が採用されています。これらは仕組みや操作性だけでなく、料金システムにも違いがあるため注意が必要です。ここでは、セントラル空調と個別空調の仕組みの違い、そして料金システムについて詳しく解説します。空調設備の正しい知識を身に着けて、オフィス選定時の判断材料に役立てましょう。

空調設備の仕組みの違い

■建物全体を一括管理する「セントラル空調」
セントラル空調は、建物全体を一元的に管理する方式で、屋上や地下に設置された中央の熱源機器(冷凍機やボイラー)で冷温水を作り、それを各フロアに設置された空気調和機(エアハンドリングユニットやファンコイル)に送り込むことで空調を行います。この方式は、効率的に広範囲を冷暖房できるのが特徴で、大型のオフィスビルや商業施設で多く採用されています。

■各部屋やフロアを個別に管理できる「個別空調」
個別空調は、各部屋やフロアごとに独立した空調機器を設置して管理する方式です。部屋ごとに温度や風量を自由に調整できるため、使用目的に応じた柔軟な空調運用が可能です。この方式は、会議室や執務室のように用途が異なるエリアに適しており、小規模のオフィスや利用時間が限定的なスペースで採用されることが多いのが特徴です。

■最新の大型オフィスビルに導入が広がる「VAV方式」
最近の大型オフィスビルでは、「VAV方式(Variable Air Volume、可変風量方式)」の導入が急速に広がっています。VAV方式はセントラル空調の一種で、各空調ゾーンに設置されたVAVユニットを利用して、ゾーン内の風量を自動的に調整できる仕組みです。さらに、一部のVAV方式では、手元のスイッチを使って、ゾーン内の各エリアごとに風量を個別に調整できる柔軟性も備えています。この仕組みにより、従来のセントラル空調よりも効率的に運用できるようになっています。

上図のように、ゾーン単位で冷暖房の切り替えが可能であり、さらにゾーン内の各エリアごとに風量の調整が可能です。この柔軟性により、日当たりや在席人数など、エリアごとの環境に応じた空調管理が実現します。

VAV方式が導入されたビルは、設備としてはセントラル空調でありながら、ゾーン単位での制御が可能であることから、「個別空調のビル」に近い運用スタイルを実現しています。これに伴い、従量課金型を導入するビルも増えており、実際の空調使用量に応じて費用を支払う料金システムが採用されています。利便性と効率性を兼ね備えたVAV方式は、現代のオフィス環境のニーズに応える空調方式として注目されています。

賃貸オフィスビルの空調料金システムの違い

賃貸オフィスビルの空調料金システムは、一般的に「セントラル空調」と「個別空調」のビルによって分かれます。セントラル空調では、空調費が賃料や共益費に含まれるのが一般的で、通常はコアタイム内の稼働に限られますが、コアタイム外の利用には別途、時間外空調費が発生する場合があります。一方、個別空調では、従量課金型の料金システムが採用され、テナントが空調使用分の電気代を直接負担する仕組みとなっています。この方式は、使用状況に応じた柔軟なコスト管理が可能で、特定のエリアごとに空調を調整する自由度が高い点が特徴です。

■「セントラル空調のビル」の料金システム
近年では、セントラル空調であってもVAV方式を取り入れた、従量課金型のオフィスが増えてきています。このようなビルでは、従来のセントラル空調の一般的な料金システムに比べ、会社の業務形態や使用状況に合わせたフレキシブルな運用が可能となり、ランニングコストを抑えるメリットが期待できます。
それでは、セントラル空調のビルについて、一般的な料金システムとよくある料金システムの例を比較してみましょう。

一般的な料金システム
空調費が賃料や共益費に含まれ、コアタイム内の利用に限定される料金システムです。空調の管理が一元化されており、追加料金が発生しないため、運用がシンプルです。この形式は、業務が標準的な空調の運転時間内に収まり、時間外利用がほとんどない企業に適しています。

時間外利用パターン
コアタイム内の空調費とは別に、時間外空調費を支払うことでコアタイム外の空調利用が可能な料金システムです。時間外空調費は通常の電気代よりも高額なことが多いため、夜間や休日の利用が多い場合、コストが大幅に増加するので注意が必要です。そのため、頻繁にコアタイム外の空調利用が想定される場合には、長期的にみると「個別空調併用パターン」よりもランニングコストが高くなる可能性があります。時間外利用が多い場合は個別空調の併用も検討してみましょう。

個別空調併用パターン
個別空調併用パターンは、コアタイム内の空調費とは別に、テナントが設置した個別空調の電気代を従量課金型で支払う料金システムです。24時間稼働が必要な設備を持つ企業や、特定の空間で独自の温度管理が求められる企業に適しています。セントラル空調の時間外空調費よりも安価で、必要な場所だけ効率的に空調を稼働させることで、無駄のない運用が可能です。ただし、個別空調の導入には初期設置費用や定期的なメンテナンス費用が発生するため、導入前に長期的なランニングコストを慎重に検討する必要があります。

セントラル空調と個別空調のメリット・デメリット

セントラル空調と個別空調にはそれぞれ特徴があり、運用の自由度や利便性に違いがあります。オフィス選びをする際には、2つの空調のメリット・デメリットを理解しておくことが重要です。

セントラル空調のメリット・デメリット

■メリット
セントラル空調は、建物全体を一元的に管理することで、各フロアや部屋の温度を均一に保ちやすく、快適で安定した室内環境を実現します。また、音の出る機器を屋外に設置するため、室内は静かに保たれます。さらに、大型機器を室内に配置する必要がないため、空間を有効活用でき、内装デザインを損なうこともなく、建物の外観も整然と保てるのが特徴です。このように、広い範囲を一元的且つ効率的に管理できるため、設備管理の手間が省ける点もメリットと言えます。

■デメリット
セントラル空調は建物全体を一元的に管理するため、一部の部屋だけ空調を止めたり、温度を個別に調整したりすることが難しく、部署やエリアごとの異なる空調ニーズに柔軟に対応するのが困難です。また、空調の稼働時間(コアタイム)が固定されている場合が多く、時間外で利用する際には手動での切替や追加の設定が必要になることがあります。さらに、設備が建物全体に連動しているため、故障が発生した際には広範囲に影響が及ぶ可能性があり、修理やメンテナンスの際には全体的な調整が必要になる点も課題です。 また、会議室や個室が多い企業では、吹き出し口の設置数が増えると管理や風量調整が難しくなるため、個別空調を導入した方が効率的な場合があります。

個別空調のメリット・デメリット

■メリット
個別空調は、各部屋ごとに温度や風量を独立して調整できるため、用途に応じた細やかな環境設定が可能です。これにより、オフィス内の異なるエリアでも快適な環境を作りやすくなり、サーバールームのような特定の温度管理が求められるスペースにも柔軟に対応できます。また、必要な時だけ空調を稼働できるため、残業やシフト制の現場など、特定の時間帯やタイミングに合わせた効率的な運用が可能です。

■デメリット
個別空調は、部屋ごとに自由に操作できるメリットがある一方で、空調機器を各部屋に設置する必要があるため、設置場所の確保が課題になる場合があります。また、機器が複数に分かれることで、それぞれの故障対応や点検・清掃の手間が増加する点もデメリットです。さらに、個別空調であっても、建物の仕様や設備によっては一部のゾーンで細かい調整ができないケースもあります。これらの点を踏まえ、運用時には適切な管理が求められます。

オフィス選定時に確認しておきたいポイント

オフィス選びの際には、空調方式や料金システムを事前に確認することで、快適な職場環境を実現し、無駄なコストを抑えることができます。以下のチェックポイントを参考に、移転先ビルの空調システムが自社の業務形態や運用方法に適しているかを判断しましょう。

☑  空調費が賃料や共益費に含まれているか?従量課金か?
☑  フロア全体を同じ時間帯で使用するか?
☑  サーバールームや独立した温度管理が必要な部屋があるか?
☑  月々の電気料金、メンテナンス費用などを把握したか?
☑  残業が多いなどコアタイム外の利用が多い場合、コストが増えないか?

空調方式を理解して、納得できるオフィス選びを

セントラル空調と個別空調、それぞれの仕組みや特徴を理解することは、快適で効率的なオフィス環境を実現するための重要なステップです。空調方式は、利用範囲や運用の自由度だけでなく、料金システムにも大きな影響を与えます。たとえば、セントラル空調ではコアタイム内の空調費が賃料や共益費に含まれる場合が多い一方、時間外利用には追加料金が発生するケースがあります。一方で、個別空調は従量課金型のため、使用時間や場所に応じて柔軟にコストを調整することが可能です。
自社の業務形態や将来的な成長を見据えた運用プランを立てることで、空調方式や料金システムのメリットを最大限に活かし、満足のいくオフィス移転を実現できるでしょう。

三菱地所リアルエステートサービスの賃貸オフィス検索サイトでは、賃料・最寄駅からの所要時間・面積など、こだわり条件を設定して物件をお探しいただけます。様々なエリアの賃貸オフィス情報をご用意しております。ビジネスの発展を見越したオフィス探しにぜひお役立てください。

▽オフィスをお探しの方
オフィス検索はこちらから

▽お問い合わせ
賃貸オフィスのお問い合わせはこちら

CONTACT US お問い合わせ

オフィスをお探しのみなさま

掲載中の物件以外にも、多数物件を取り扱っております。お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

三菱地所リアルエステートサービス株式会社
ビル営業部

お問い合わせはお電話でも承ります。
お気軽にお問い合わせください。

受付時間 9:30 〜 17:30(平日)