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トレンド・知識

自社ビル vs 賃貸ビル 企業成長を左右する選択肢とは?

企業の成長を支えるオフィス選び。自社ビルと賃貸ビルのメリット・デメリットを比較し、コスト、働き方、ブランディングの観点から最適な選択肢を見極めるポイントを解説します。

社会の変化や働き方の多様化が進む中、企業を取り巻く経営環境は日々変化しています。オフィスは、これまでのように単なる「働く場」としての役割に留まらず、社員同士の交流を促し、企業文化を育む場としての価値が求められるようになってきました。こうした時代の変化にあわせてオフィス環境を見直すことは、企業の競争力を高め、従業員の満足度向上にもつながっていきます。
2025年7月に当社が実施した調査によると、東京主要7区に所在する上場企業計1,796社(※)のうち、本社の拠点に賃貸ビルを選択している企業が全体の87.2%を占め、自社ビルを保有している企業の12.8%を大きく上回る結果となりました。このデータは、多くの企業が賃貸ビルを選択している現状を示しています。
自社ビルは、長期的な資産形成や独自性のある空間づくり、ブランド強化につながる一方で、固定資産税や修繕費といった維持コストが課題となります。一方、賃貸ビルは、企業の成長や働き方の変化に柔軟に対応できる点が魅力であり、共有スペースや最新設備を活用しやすいという利点もあります。
本記事では、自社ビルと賃貸ビルの特徴やメリット・デメリットを「コスト」「働き方」「ブランディング」の3つの観点から比較し、自社にとって最適な選択肢を見つけるためのポイントを解説します。

※ 東京証券取引所のプライム市場、スタンダード市場、グロース市場に上場している企業を対象としています。

自社ビルと賃貸ビルの特徴を整理!企業に合った選択を考える

自社ビルは「資産形成と自由設計」、賃貸ビルは「初期費用の軽減と柔軟な対応力」が主な特徴です。それぞれのメリット・デメリット、課題を整理することで、資金計画や組織の成長にどのような影響を与えるかを見極めやすくなります。
それでは、自社ビルと賃貸ビルの違いを詳しくご紹介します。

自社ビル

メリット

長期的な財務安定性
自社ビルを保有することで賃料支出が不要となり、長期的に財務基盤が安定しやすくなります。減価償却が進むことで帳簿上の資産価値は減少しますが、キャッシュフローの改善が期待できます。さらに、資産計上が可能となり、バランスシートを強化できる点も魅力です。
自由な設計が可能
自社ビルなら建物の外観や内装を自由に設計でき、企業文化やブランドイメージを反映した空間を作ることができます。例えば、建物正面に社名ロゴを掲げたり、研修施設や福利厚生エリアを整備することで訪問者への印象を強化し、社員満足度の向上を図ることが可能です。
資産価値の向上
地価の上昇により、保有する土地や建物の資産価値が高まり、売却益を得られる可能性があります。また、余剰フロアを賃貸に出すことでインカムゲイン(賃貸収入)を獲得することも可能です。
資本政策の幅が広がる
自社ビルを活用して、グリーンボンド発行やREIT(不動産投資信託)への組み入れを通じて資本政策の選択肢を増やすことができます。さらに、物件を担保とした低利融資を受けやすくなるため、成長フェーズにおける資金活用の幅が広がります。

デメリット

初期費用の大きさ
土地取得から建設、内装・設備工事までを含めると、東京都内では数十億円規模の投資が必要となるケースがあります。特に都心部での建設では高額な資金が必要となり、企業のキャッシュフローに大きな影響を及ぼします。
維持管理コストの負担
自社ビルを保有する場合、固定資産税や都市計画税といった税負担が毎年発生します。また、法定点検や清掃、設備保守などの維持管理業務はすべて自社で対応する必要があり、修繕費や各種メンテナンス費用が継続的に発生する点も考慮が必要です。さらに、ZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)化や耐震補強を行う際には、規模や内容に応じて大きなコストが発生することもあります。これらの負担は、建物の規模や地域、運用方針によって異なるため、慎重な計画が求められます。
災害対策や環境基準への対応
自社ビルでは、非常用発電機や防水ゲートなどの災害対策設備を導入する際に、設備容量や施工内容によって多額のコストがかかる場合があります。また、環境基準に対応するための設備投資や省エネ対策の実施が必要であり、大規模なオフィスビルでは特に負担が大きくなります。
流動性が低い
自社ビルは固定資産であるため、売却や資産の流動化が難しい場合があります。一度取得すると短期間での資産売却が困難となり、経営環境の変化に柔軟に対応することが難しくなる可能性があります。


賃貸ビル

メリット

初期費用の抑制
賃貸ビルでは、一般的に預託金・礼金・内装工事費などの初期費用が発生するものの、自社ビルの購入や建設と比較すれば、土地取得費や建設費が不要であるため、企業のキャッシュフローの負担を軽減できます。
柔軟な拠点調整
事業戦略や組織体制の変化に応じて、面積や拠点構成を柔軟に調整することができます。例えば、以下のような対応が可能です。

柔軟な拠点調整
利便性の高い立地や高品質な物件へのアクセス
賃貸ビルの多くは、交通アクセスの良い都心部やビジネス街に位置しており、利便性の高い立地を確保しやすい点が魅力です。また、最新のグレードAビルや、設備の整った物件も賃貸で利用できるため、企業イメージの向上にも寄与します。こうした物件は、オフィス環境を重視する優秀な人材の確保や、顧客との信頼関係構築にもつながる重要な要素となります。
最新設備の利用
賃貸ビルには、以下のような設備があらかじめ整備された物件が増えています。

最新設備の利用

多額の設備投資をすることなく最新の設備を利用できるため、余剰資金を企業の成長や他の優先事項に充当することが可能です。
維持管理の手間が省ける
建物の維持管理はオーナー側が行うため、自社内での管理業務の負担が大幅に軽減されます。これにより、企業は本業に集中しやすくなるというメリットがあります。

デメリット

賃料変動リスク
賃料は市況に応じて変動するため、長期的なコスト管理にはリスクが伴います。
人気エリアや需要が高いエリアでは、賃料が大幅に上昇する可能性があり、契約更新時に想定以上の賃料改定が発生すれば、予算やキャッシュフローに影響を与える場合があります。
契約期間と原状回復の義務
賃貸借契約には、契約期間が定められている場合があり、契約条件によっては自由に解約できないことがデメリットとなることがあります。また、退去時には原状回復義務が課されるため、内装や設備の内容によっては原状回復工事費が増額する可能性があります。
内装・設備変更の制約
内装や設備を変更する際には、貸主の承諾を得る必要があります。特に、空調や電気などのインフラ工事においては、自由度に規制がかかる場合があり、希望どおりの改修が難しいことがあります。
必要なスペースの確保リスク
空室率が低いエリアでは、大型フロアや希望する条件の物件を、希望のタイミングで確保できないリスクがあります。特に、都市部や需要の集中するエリアでは、選択肢が限られる場合もあるため、事業計画に影響を及ぼす可能性が考えられます。
空室率の詳細データやエリアごとの市場傾向については、空室率マーケットレポートをご覧ください。
BCP(事業継続計画)対応の制約
BCPを目的とした設備導入を検討する場合、賃貸ビルでは設備容量や物理的な制約があるため、自由に設置できない場合があります。これに伴い、追加費用が発生するリスクも考慮する必要があります。
長期的なキャッシュフローの見通しが必要
賃貸ビルでは、賃料変動や契約更新時の条件変更など、不確定要素が多いため、長期的なキャッシュフローの見通しや、移転計画を綿密に立てることが重要です。これを怠ると、予算管理や事業計画に悪影響を及ぼす可能性があります。

多くの企業が「賃貸」を選ぶ理由

当社が2025年7月に実施した調査では、東京主要7区に所在する上場企業の87.2%が、本社の拠点に賃貸ビルを利用しており、自社ビルを保有する企業の割合(12.8%)を大きく上回る結果となりました。多くの企業が賃貸を選ぶ背景には、経済環境の変化や働き方の多様化が関係しています。以下にその主な理由を簡単に整理します。

東京主要7区の上場企業が選ぶ本社オフィス形態の傾向

東京主要7区の上場企業が選ぶ本社オフィス形態の傾向
※ 当社調べ(2025年7月時点、東京主要7区に所在する上場企業:プライム・スタンダード・グロース計1,796社を対象)

■柔軟性を活かしたリスク分散

賃貸オフィスは、事業拡大や縮小、オフィス移転などに柔軟に対応できるのが大きな特徴です。また、分散型オフィスやフレキシブルオフィスを活用することで、リスク分散やBCPの強化にもつながります。

■多様な働き方を支援し、企業価値を向上

ハイブリッドワークやフレキシブルオフィスの普及により、賃貸の柔軟性が多様な働き方を支えています。こうしたオフィス環境は、ESGやサステナビリティの観点から企業価値を高め、ブランドイメージの向上や人材確保にも貢献します。

■最先端のオフィス環境を手軽に活用

賃貸ビルの中には、スマートビルやウェルネス設備など、最先端の環境が整備されているものも多く、入居した企業はこれらを手軽に活用することができます。また、管理や設備投資がオーナー側に委ねられるため、企業は自社のコア業務に専念しやすくなります。
さらに、最新の賃貸ビルには、従業員の満足度やウェルビーイングを向上させるために、フィットネスセンターやリラクゼーションスペース、カフェテリアといった付帯施設が充実しているケースもあります。これらの施設は、従業員の働く意欲を高めるだけでなく、企業の魅力を向上させ、優秀な人材の採用・定着にも寄与します。
ウェルネスを重視したオフィス環境は、生産性の向上やサステナブルな成長を支える重要な要素です。

自社ビル保有は最適か?迷ったら、まずはご相談を!

オフィスの選択は、企業の経営方針や成長戦略に深く関わる重要な課題です。自社ビルの保有は、資産形成やブランド価値の向上といった多くの利点をもたらす一方で、初期費用や維持管理の負担といった課題も伴います。一方、賃貸ビルは柔軟性やコスト面のメリットを活かし、変化するビジネス環境に対応する選択肢として広く支持されています。
自社にとって最適なオフィス環境を選ぶことは、企業の将来を左右する重要な決断です。三菱地所リアルエステートサービスでは、専門的な知見を活かし、企業の成長を支える最適な選択をご提案します。ぜひお気軽にご相談ください!


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