洗練された大人の街としてのイメージが強い銀座エリア。高級ブランド店や商業施設が集積しているため、ショッピングを楽しむ人々や、国内外からの観光客で賑わっています。また、交通利便性にも優れているため、近年ではビジネス街としても注目されています。
本記事では、銀座エリアの歴史や特徴、賃貸オフィスの空室率や平均募集賃料などを紹介します。記事後半には、銀座エリアの開発計画についても紹介していますので、ぜひ最後までご一読ください。
銀座の歴史
銀座エリアは、東京駅から徒歩でのアクセスも可能な、抜群の立地を誇るエリアです。そのため、数多くの企業がオフィスを構えており、ビジネス街としても注目されています。現在は高級ブランド店が建ち並ぶ煌びやかな街としてのイメージが一般的ですが、昔はどのような街だったのでしょうか。まずは銀座の歴史をご紹介します。
■「銀座」の由来
江戸時代の銀貨鋳造所、「銀座役所」が静岡県の駿府から現在の銀座二丁目周辺に移転してきたことが始まりです。当時はまだ「銀座」ではなく、「新両替町」という名称でした。その後、1801年に「銀座役所」は現在の日本橋人形町に移転しますが、「銀座」という通称だけが残り、明治時代には正式な町名となりました。当時の「銀座役所」があった場所には「銀座発祥の地」の記念碑が建てられています。
■江戸時代
銀座は「東海道」(現在の「銀座通り」)沿いに位置し、呉服店などの商店が集まっていました。主に金銀の鋳造に関わる職人が住む街でしたが、芝居小屋が建ち並ぶ地域もあったため、能役者や歌舞伎役者も居を構えていました。江戸時代の一等地は現在の日本橋でしたが、その周辺エリアである銀座も、日本橋の盛況とともに発展しました。
■明治時代
明治時代の2度の火災を機に、大規模な区画整理と銀座煉瓦街の建設が始まりました。この政策は、木造住宅が多く火事が頻繁に起こっていた江戸の街を燃えない街にするため、明治政府によって進められました。「銀座通り」は約27mに拡幅され、煉瓦敷きの歩道も整備されました。また、ジョージアン様式(二階に張り出したバルコニーを円い列柱が支え、バルコニーの下には歩廊があるというもの)の煉瓦家屋が通り沿いに建設され、西洋風の街並みへと姿を変えていきました。
その後、商人が多く集まる銀座煉瓦街で新たな商売のスタイルが確立されました。店先にショーウィンドウを設け、客が履物を履いたまま店内で商品を眺めることが出来るというスタイルです。これにより、銀座はウィンドウショッピングを楽しむ人々で賑わい、いわゆる「銀ぶら」と呼ばれる街歩きが流行しました。
■大正時代から終戦後
1923年、関東大震災によって銀座の煉瓦街はほぼ壊滅してしまいましたが、銀座通り沿いの商店は力を合わせて復興へと動き出します。その後、「松坂屋」・「松屋」・「三越」などの百貨店が進出し、日本随一のショッピング街として華やかな復興を遂げましたが、戦争が始まると銀座の賑わいは影を潜めていきました。
終戦後、戦禍を免れた建物もありましたが、それらはGHQに接収され、銀座はしばらく米軍相手の繁華街として賑わっていました。そして1951年、サンフランシスコ講和条約の締結により接収が解除されたことにより、本格的な銀座の復興が始まりました。
■高度経済成長期からバブル経済へ
高度経済成長期には、高速道路の建設、地下鉄の整備、銀座通りの改修などを行い、銀座の街並みは大きな変貌を遂げました。銀座はまさに経済成長を象徴するような繁栄を見せましたが、その後のオイルショックによりブレーキがかかります。
しかしその後、「バブル経済」と呼ばれる好景気が訪れ、銀座には再び華やかな空気が戻ります。戦前期から日本一だった地価はますます高騰し、大型のビルが次々と建ち並び、日本だけでなく世界中の一流メーカーのショールームや高級ブランドの店舗が多数進出しました。
■バブル崩壊後から現在まで
1990年代後半(バブル崩壊後)には都心の再開発がブームとなり、銀座は再び脚光を浴びます。海外の高級ブランド店が中央通りや晴海通りに出店し、現在の高級繁華街としてのイメージも盤石なものとなりました。その後、外国人観光客(インバウンド)が増加したことで、銀座はますます賑やかな繁華街へと成長を遂げました。
幾度もの困難に見舞われながらも、逞しく復活を遂げた銀座は、現在も文化の発信地として世界中から注目されています。
銀座の特徴
現在の銀座は、日本屈指の繁華街であるだけでなく、大手企業の本社やオフィスが集まるビジネス街でもあります。ここでは、銀座エリアの特徴を様々な角度から紹介します。
■国内外の高級ブランド店が建ち並ぶ煌びやかな商業エリア
前段でもご紹介しましたが、銀座は1990年以降の再開発により、高級ブランド店が建ち並ぶ日本有数の商業エリアへと成長しました。どの業種にとっても「銀座」というエリアの持つネームバリューは大きく、様々なメリットが期待できます。
例えば、「銀座」と名のつく商店街は国内外に数多く存在しています。東京の「戸越銀座商店街」、「十条銀座商店街」、「砂町銀座商店街」、台湾の「台南銀座」、パラオ共和国の「ギンザドーリ」などです。名称の由来には諸説ありますが、華やかな街・銀座への憧れから名付けられたところが多いようです。
「銀座」というブランドは海外でも広く認知されており、海外ブランドの日本一号店の出店先として選ばれることも多く、文化の玄関口としての役割も果たしています。煌びやかな高級ブランドの店舗が建ち並ぶ街を歩くだけでも、優雅な気分に浸れるのは銀座ならではの魅力です。
■ビジネスの観点から見た銀座
銀座が持つブランド力は、ビジネスにも大きな影響を与えます。銀座にオフィスや店舗があることで付加価値が与えられ、社会的な信用度も高くなるでしょう。企業のブランディングやイメージアップにも繋がるエリアと言えます。
また地方紙や放送局の支店、人材派遣会社や旅行代理店など、様々な業種の企業が集積していることも特徴のひとつです。多くの企業に支持されるエリアのため、賃貸オフィスも多く供給されています。街のイメージから「高級なエリア」と思われがちですが、賃料相場を見ると八重洲や丸の内といったエリアに比べると、多少低い傾向にあります。詳しい賃料相場については後述します。
■交通の利便性が高いエリア
銀座エリアは東京駅から徒歩圏内で、銀座線・丸ノ内線・日比谷線・有楽町線・都営地下鉄が乗り入れており、特に地下鉄のアクセスに優れています。東京駅と、銀座エリアの複数の駅が地下道で繋がっており、天候に左右されることなく移動が可能です。
また、電車だけではなく車での移動も便利です。晴海通り・中央通り・昭和通りといった大通りは、観光・通勤・日々の買い物など、様々な目的で利用されています。2030年以降には東京高速道路(KK線)の全面廃止が決定しており、廃止後は遊歩道として活用される見込みとなっています。
この遊歩道「Tokyo Sky Corridor(東京スカイコリドー)」は歩行者中心の公共的空間となる予定で、2023年5月には体験イベントも開催されました。
この遊歩道の整備が進められることで、観光面にも大きく寄与することでしょう。東京のみならず、日本を代表する観光スポットとなり、ますます銀座エリアへの注目度が高まることが予想されます。
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銀座エリアの空室率・平均募集賃料・推定成約賃料
次に、銀座エリアの空室率や平均募集賃料、推定成約賃料について詳しく解説していきます。
■空室率
2024年10月の主要大型ビルの空室率は1.59%でした。2023年10月の4.27%をピークに、緩やかに下降を続けており直近では1%台となっています。銀座エリアは大型のオフィスビル棟数が中央区の他エリアと比べて少ないため空室率の動きが大きくなる傾向にあります。また、直近の新築計画も限定的であり新規供給が少ないため現在の空室率は低水準で推移しています。
■平均募集賃料
2024年10月の主要大型ビルの平均募集賃料は29,282円/坪でした。大型物件の空室埋め戻しの影響で、2024年7月は少し下降しましたが、基本的に銀座エリアの平均募集賃料は安定しており、30,000円/坪台前後で推移しています。
■推定成約賃料
高級なイメージがある銀座エリアですが、各エリアの推定成約賃料のデータを見ると、銀座は2.6万円〜3.5万円/坪であるのに対し、丸の内・大手町・有楽町・内幸町エリアでは3.3万円〜4.5万円/坪、八重洲・京橋・日本橋エリアでは3.0万円〜4.0万円/坪です。東京駅周辺のエリアとしては、銀座は他と比較しても平均賃料がそれほど高くないことが分かります。
銀座エリアの開発状況
銀座は、国内外の高級ブランド店舗が集積する一方で、ビジネス街としても発展を続けるエリアです。次に、銀座エリアの開発状況についてご紹介します。
■Ginza Sony Parkプロジェクト
Ginza Sony Parkプロジェクトは、ソニービル開業50年目にあたり、2017年から進められてきたプロジェクトです。旧ソニービルの営業を2017年に一旦終了し、2018年に「都会の中にある、変わり続ける実験的な公園」として、「Ginza Sony Park」を開園しました。その後2021年9月末に閉園し、現在は2024年中の完成を目指して新ビルの建設工事中です。「銀座の街に開かれた施設」というソニービルのコンセプトに立ち戻り、「都会の中の公園」を目標として計画が進められています。
■東京エディション銀座
日本初の「エディション」ブランドホテルである東京エディション虎ノ門に続き、東京エディション銀座が開業予定です。客室だけではなく、フィットネスやレストラン、ルーフトップバーなどを備えたこのラグジュアリーホテルは、銀座エリアの新たなランドマークとして注目されています。建物は2021年に竣工しており、ホテルの開業は2023年内となる見込みです。
銀座の中央通りからほど近い好立地で、国内だけではなく海外からのインバウンド需要も期待されています。
■GINZA SIX
GINZA SIXは、銀座六丁目の再開発事業により2017年4月に誕生した大型複合施設です。「銀座六丁目の象徴として、5つ星を超える6つ星級の価値をもった施設」を目指して、名付けられました。
GINZA SIXには約4,000㎡の屋上庭園「GINZA SIXガーデン」があり、銀座を訪れた人や働く人々の憩いの場となっています。さらに、観光案内拠点となる「ツーリストサービスセンター」や、銀座初の観光バス乗降所、文化・交流施設「観世能楽堂」なども併設されており、地域の利便性や快適性向上に貢献しています。
また、7〜13階はオフィスフロアとなっており、1フロアの貸室面積(基準階)は都内最大級の約6,100㎡です。地下鉄連絡通路に直結しているため、雨の日や日差しが強い夏の日でも快適に通勤することができます。
■東宝日比谷プロムナードビル
ここまでご紹介した銀座エリアからは少し離れますが、エリア周辺の再開発として東宝日比谷プロムナードビルをご紹介します。
東宝日比谷プロムナードビルは、2023年3月に開業した大型複合施設です。商業ゾーンは4フロアで構成され、魅力的な飲食店、物販・サービス店舗が集積しています。日比谷・有楽町・丸の内・銀座の4つの街が交差する場所に位置し、東京メトロ日比谷駅と直結しており、周辺駅からも徒歩でアクセスが可能なため、ビジネスにおいても便利な立地です。
また、東宝日比谷プロムナードビルは「CASBEEスマートウェルネスオフィス評価認定」の最高評価であるSランクを取得しています。この認定は、オフィスワーカーの健康や快適性の維持・向上をサポートしてくれる設備の仕様・性能・取り組みを評価するためのものです。
評価対象となるオフィス区画からは、皇宮外苑や日比谷公園の緑豊かな自然が望めるほか、オフィスビル周辺には東京宝塚劇場・帝国劇場・シアタークリエなどの劇場や映画館、日比谷シャンテなどの商業施設が集積しています。「都市」と「自然」、「エンタメ」と「ビジネス」が融合した街で、オフィスワーカーがオンとオフを切り替えることが出来る環境が整っていると言えます。また、最上階には広々としたコワーキングスペースや、ビデオ会議などに対応するサイレントブース、開放感あふれるプライベートバルコニーも設置されています。気軽に社員同士のコミュニケーションがとれる場や、一人で仕事に集中できる空間が設置されていることで、仕事の生産性向上も期待できます。
銀座エリアで賃貸オフィスをお探しの方へ
銀座エリアは、高級ブランド店が集積する「洗練された大人の街」のイメージがある一方で、複合ビルが建ち並び、オフィス街としての一面も併せ持つ場所です。国内外で広く認知されている「銀座」ブランドを持つオフィスを選択することは、企業のイメージ戦略にも寄与するでしょう。
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