御茶ノ水エリアは、東京科学大学 Science Tokyo(旧:東京医科歯科大学・東京工業大学)や順天堂大学、明治大学など、数多くの大学が集積しており、順天堂大学医学部附属順天堂医院などの医療施設も充実している、学問と医療の集積地です。さらに、神田川沿いのこの地は、江戸時代には湯島聖堂をはじめとする学問所が置かれ、明治以降は文豪の夏目漱石や森鴎外が足繁く通った場所としても知られています。そのため、古くから学者や文人に愛され、「知の拠点」としての歴史を歩んできました。
近年では、JR御茶ノ水駅の改良工事や周辺エリアの再開発が進み、オフィスビルや商業施設の整備が進行中。「ワテラス」や「御茶ノ水ソラシティ」といった新しいランドマークが誕生し、伝統的な街並みと現代的な都市機能が調和する魅力的なエリアへと変貌を遂げつつあります。本記事では、御茶ノ水エリアの歴史や魅力、そして再開発情報について詳しくご紹介します。
御茶ノ水エリアの歴史
御茶ノ水エリアは、大学や専門学校、そして病院が集まる「学問の街」として知られており、そのルーツは江戸時代にまで遡ります。学問所や文人たちの足跡が刻まれた歴史深いエリア、御茶ノ水の歴史を紐解いていきます。
■江戸時代の御茶ノ水エリア

「御茶ノ水」という地名の由来には諸説ありますが、その起源は江戸時代にまで遡ります。2代将軍・徳川秀忠が神田川の北岸にあった「高林寺」を訪れた際、境内の湧き水で点てたお茶を気に入り、その水が将軍家の茶の湯に用いられたことに由来しています。他にも、湯島聖堂近くの湧水や茶屋に由来する説などがあり、いずれもこの地が清らかな湧水に恵まれていたことを物語っています。
さらに、江戸時代初期には徳川家康の都市整備の一環として神田川の開削が行われました。これは江戸城の外堀の一部を形成し、洪水対策や物資輸送の効率化を目的とした重要な事業でした。これにより周辺の土地が整備され、武家屋敷が建ち並び、神田川沿いは交通や物流の拠点として発展しました。
そして、御茶ノ水周辺には、幕府直轄の教育機関である「昌平坂学問所」(現在の湯島聖堂)が設立され、全国から学問を志す人々が集う場となりました。また、近隣には書物を扱う商人が集まり、後の神田古書店街の基盤が形成されるなど、学問と文化の中心地としての役割を果たしました。
出典:国立国会図書館「錦絵でたのしむ江戸の名所」
■明治時代の御茶ノ水エリア

明治時代に入ると、昌平坂学問所(湯島聖堂)が廃止され、その跡地に東京大学の前身である「大学南校」が設立されました。その後、東京医科歯科大学(現:東京科学大学)や順天堂大学などの教育機関が次々と設立され、御茶ノ水エリアは学問の中心地として発展します。
1889年には東京市区改正条例に基づき「お茶の水橋」の建設が計画され、1891年に完成。交通利便性が向上し、多くの人々が往来するエリアとなりました。また、同時期に西洋建築の導入が進み、1891年完成の東京復活大聖堂(ニコライ堂)が新たなランドマークとなりました。その後、鉄道網の整備や商業施設の増加も相まって、御茶ノ水エリアは文教地区としてだけでなく、文化と商業が交錯する活気ある街へと成長していきました。
出典:国立国会図書館「写真の中の明治・大正」
■昭和時代の御茶ノ水エリア

昭和時代に入ると、御茶ノ水エリアは学生街としての特色をさらに強め、多くの大学や専門学校が集積しました。これに伴い、学術書や専門書を扱う書店が軒を連ね、情報や知識の集積地として学術関係者にとって欠かせないエリアとなりました。
しかし、太平洋戦争中には空襲による被害を受け、多くの施設が破壊されました。戦後は復興が進められ、文教地区としての活気を取り戻すとともに、都市整備によって商業施設や交通網の再構築が進行。これにより、学生だけでなく企業や研究機関にとっても利便性の高い地域へと発展しました。
昭和後期になると、学問や文化に関心が高い若者たちが集まり、御茶ノ水エリアは新たな文化的拠点としての側面が強くなります。学生たちが音楽サークルやバンドを結成する動きが活発化し、やがて楽器店が増加。御茶ノ水エリアは音楽ファンやミュージシャンにとっての聖地とも呼ばれる街へと変貌しました。また、学生や文化人が集う喫茶店も増え、知的交流や創作活動が行われる場として親しまれるようになりました。
出典:明治大学史資料センター所蔵「御茶ノ水駅(1970年代)」
■平成・令和時代の御茶ノ水エリア
平成以降、御茶ノ水エリアでは再開発が進み、商業施設やオフィスビルが新たに建設される一方で、ニコライ堂や湯島聖堂といった歴史的建造物は丁寧に保存され、歴史と未来が調和する街として発展しました。また、地域活性化を目的の一つとしている、神田明神を中心とした祭りや音楽イベント、書籍関連のフェアなど、さまざまな取り組みにより、観光客の誘致も進められています。
こうした発展により、御茶ノ水エリアは学問と文化の伝統を守りつつ、働く人、暮らす人、訪れる人にとって快適で、多様なニーズに対応した便利で魅力あふれる都市空間へと発展しています。
御茶ノ水エリアの特徴
御茶ノ水エリアは、優れたアクセスと多様なオフィス環境が揃い、ビジネスワーカーにとって働きやすい街として注目されています。ここでは、御茶ノ水エリアが持つ利便性や魅力について詳しくご紹介します。
■交通の利便性が高い
御茶ノ水エリアは、優れた交通アクセスが魅力の地域です。JR中央線(快速)、JR中央・総武線(各駅停車)、東京メトロ丸ノ内線が利用可能で、東京駅や新宿駅など主要エリアへの移動もスムーズです。

また、新御茶ノ水駅、淡路町駅、小川町駅、秋葉原駅も徒歩圏内のため、目的地に応じて複数駅を使い分けることもできます。このような交通利便性の高さから、御茶ノ水エリアは通勤や出張の拠点としてビジネスパーソンにとって理想的なロケーションと言えます。
■多様なオフィス環境の選択肢
「御茶ノ水ソラシティ」「ワテラスタワー」をはじめとする、大規模な複合施設が建設され、快適で効率的なワークスペースが提供されることで、企業活動の環境が大幅に向上しています。
一方で、リノベーションによって再生された特徴的なオフィスビルも存在します。例えば、老朽化した建物を改修し、シェアオフィスやコワーキングスペースとして活用することで、新たな価値を生み出す取り組みも進んでいます。
このように、御茶ノ水エリアにはスタートアップ向けの小規模オフィスから、最新の設備仕様を備えた大規模ビルまで、様々な企業規模や働き方に対応できる多様な物件がそろっています。
■次世代ビジネスを支える共創空間
神田小川町のオフィス街に位置する「axle 御茶ノ水」は、トヨタグループをはじめとする大企業とベンチャー企業、さらには異業種の人材が集い、新たな出会いと交流を通じてイノベーションを促進するインキュベーション施設です。地下1階から6階までのフロアには、シェアオフィス、コワーキングスペース、ラウンジ、イベントスペース、オフィス、プロジェクトルームなど多彩な施設が配置されており、入居者同士の出会いや交流を通じて、新たなビジネスやプロジェクトを生み出す都心型イノベーション拠点として注目されています。
axle御茶ノ水
■御茶ノ水エリアの街並み
御茶ノ水エリアは、忙しい日常の中でも、ゆったりとした時間を楽しむことができる街です。神田川沿いには緑豊かな景観が広がり、四季折々の風情を楽しむことができます。また、神田明神や湯島聖堂といった歴史的名所が点在し、散策を通して街の文化や伝統を感じることができるのも魅力のひとつです。
ランチタイムには、学生やビジネスパーソンが行き交う街並みがさらに賑わいを見せ、小さなカフェやレストラン、昔ながらの定食屋など、バラエティ豊かな飲食店が並ぶ通りでお気に入りのお店を探す楽しみがあります。さらに、楽器店や古書店が軒を連ねるエリアを歩けば、音楽や文学に触れるひとときを過ごすこともできます。
御茶ノ水エリア(神田・秋葉原周辺含む)の空室率・平均募集賃料

■空室率
2025年2月の主要大型ビルの空室率は1.81%でした。2024年5月には、大型ビルの解約の影響により、4%台まで上昇しましたが、その後は順調に回復し、2025年に入ってからは1.8%台を推移しています。
■平均募集賃料
2025年2月の主要大型ビルの平均募集賃料は31,652円/坪でした。このエリアの平均募集賃料は比較的安定しており、30,000円/坪前後で推移しています。
御茶ノ水エリアの開発について
御茶ノ水エリアでは、JR御茶ノ水駅の改良工事や周辺環境の整備が進められています。商業施設や公共スペースが充実し、より快適な環境が整いつつあります。ここでは、御茶ノ水エリアの開発状況についてご紹介します。
■JR御茶ノ水駅の大規模改良工事
JR御茶ノ水駅では、2012年から大規模な改良工事が進められ、2023年12月に新しい駅舎(聖橋口駅舎)と改札口がオープンしました。この改良工事では、バリアフリー化を目的にエスカレーターやエレベーターの設置、人工地盤を用いた橋上駅舎の構築など、利便性と安全性が大幅に向上しました。また、駅舎内には、商業施設『エキュートエディション御茶ノ水』もオープンし、日々の利便性を高めるとともに、多様なニーズに応える空間として期待されています。
さらに、千代田区と連携して進められてきた聖橋口駅前広場の整備も完了し、2025年3月31日から全面的に利用可能となりました。広場は約500平方メートルの広さを誇り、聖橋との間に新設された階段によりアクセスが大幅に改善されます。駅周辺と一体となったまちづくりも引き続き進められ、御茶ノ水エリアの利便性と魅力がさらに高まることが期待されています。
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御茶ノ水エリアは、歴史と文化が息づく街並みと、近年進む再開発による現代的な利便性が調和した魅力的な地域です。交通アクセスの良さに加え、大学や医療機関が集積する特性を活かした環境整備が進み、ビジネス拠点としても注目を集めています。駅舎の改良工事や周辺開発により、快適性と利便性がさらに向上し、多様なニーズに応える街として発展を続けています。このエリアでは、スタートアップ向けの小規模オフィスから大企業向けのハイスペックなオフィスビルまで、幅広い選択肢が揃っています。事業に最適な物件をぜひご検討ください。
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