1. トップ
  2. オフィスコラム
  3. トレンド・知識
  4. 定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違いとは?オフィスで 借りるときのポイントも解説

トレンド・知識

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違いとは?オフィスで 借りるときのポイントも解説

オフィスや住宅に限らず、賃貸物件には「普通建物賃貸借契約」と、「定期建物賃貸借契約」という契約があります。日本国内では平成11年12月15日に公布された「良質な賃貸住宅などの供給の促進に関する特別措置法」に基づき導入された賃貸借の契約の制度です。 自分のスタイルに見合った賃貸物件を探す上で、こうした賃貸借契約の形態の違いについて知っておくと役立つでしょう。今回は、定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違いについて解説します。

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違い

「定期建物賃貸借契約」は契約期間が決められており、期間が満了すれば終了する契約です。一方、契約期間満了後、期間更新によって同じ賃貸物件に長く住み続けられる契約を「普通建物賃貸借契約」といいます。以下では、それぞれの契約制度について特徴を解説していきます。

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違い
種類 概要
定期建物賃貸借契約 ・契約期間が満了すると、物件を貸主に明け渡す必要がある契約
・契約期間が満了しても、条件次第で再契約が可能
・貸主側は契約期間を明確に定め、公正証書などの書面で契約する必要がある
普通建物賃貸借契約 ・契約期間の更新ができ、同じ賃貸物件に長く住み続けられる契約
・正当な理由がない限り、貸主からの一方的な解約や契約更新を拒否できない
・中途解約をする際は、解約を希望する1ヶ月以上前に貸主に告知する必要がある

■定期建物賃貸借契約の特徴
定期建物賃貸借契約は「定借(ていしゃく)」とも呼ばれ、契約期間が満了すると、物件を貸主に明け渡す必要がある契約です。定期建物賃貸借契約として提供される物件には、さまざまな理由があります。例えば、建て替え予定があるビルや再開発予定地に建っている物件、貸主がいずれ活用する計画がある物件などの理由が考えられるでしょう。そのため、契約更新はありません。
ただし、貸主と借主の意向が合致し、契約条件に合意した場合は、再度、賃貸借契約を締結することができます。この時、契約更新という概念ではなく、再契約という形になるため、新規契約時と同じだけの費用がかかる可能性があります。実際は、敷金や礼金を請求しないケースの方が多く見られます。
また、定期建物賃貸借契約は公正証書などの書面で契約する必要があり、貸主側は契約期間を明確に定めなければなりません。さらに、貸主は契約満了となる日の1年前から半年までの間に、その旨を借主に伝える義務があります。

■普通建物賃貸借契約の特徴
現在、日本の不動産会社で一般的に紹介されている物件の多くが「普通建物賃貸借契約」です。契約期間が満了する度に更新され、正当な理由がない限り、貸主からの一方的な解約や契約更新を拒否できません。また、契約期間は貸主が自由に決められますが、1年以上に設定する必要があります。
一方、借主は中途解約が可能です。ただし、解約を希望する1ヶ月以上前には貸主に告知をする必要があります。契約時の特約で違約金に触れられていない限り、中途解約でも違約金は発生しません。契約形態は、定期建物賃貸借契約とは異なり、書面だけではなく口頭での契約でも問題ないとされています。とはいえ、後々トラブルにならないためにも書面での契約をしておく方が無難でしょう。

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約のメリットと注意点

賃貸物件を探す上で、定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約のメリットを把握しておくと、より適した物件を選びやすくなります。また、それぞれに注意点もあるので、事前に把握しておくとトラブルを回避するのに役立つでしょう。続いては、定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約それぞれのメリットと注意点を解説します。

■定期建物賃貸借契約のメリット
定期建物賃貸借契約の大きな利点は、賃料が安い傾向にある点です。加えて、定期建物賃貸借契約は、契約内容によっては1年未満といった短期で借りられるのも魅力です。また、借主は、保証人をつけなくても借りられるケースがあります。物件を借りたくても、審査に通らない人も少なくありません。この他、定期建物賃貸借契約は、契約期間内の賃料変動がないため見通しが立てやすいといったメリットもあります。

■定期建物賃貸借契約の注意点
定期建物賃貸借契約の場合、いくら物件が気に入ったとしても、更新はできません。また、再契約するためには、貸主にも再契約の意向があり、さらに条件が合致しなくてはなりません。再契約できたとしても、時には賃料増額の可能性があり、普通建物賃貸借契約と比べてコストアップのリスクが高いでしょう。
また、定期建物賃貸借契約が満了となる場合、貸主からの告知が1年前から半年前の間に行われます。この間に、次の移転先を見つける必要がありますが、移転先が見つからないなどの理由で、退去時期を伸ばしてしまえば、損害賠償を請求される可能性もあるでしょう。

■普通建物賃貸借契約のメリット
普通建物賃貸借契約では、基本的に更新が行われるため、長期的に入居できる点がポイントです。契約更新もスムーズで、貸主と借主の合意があれば、更新できます。さらに、貸主は、正当な理由がない限り、借主との更新を拒絶できません。
普通建物賃貸借契約は、借主を保護するために、借地借家法で定められた「法定更新」が適用されます。ここでいう法定更新とは、貸主が借主に対して、一定期間より以前に契約更新する旨を伝えなかった場合、従来の契約内容と同様に更新されるというルールです。そのため、急に立ち退きを要請されることはありません。
また、契約方法も、定期建物賃貸借契約と比べてシンプルであり、手間がかからない点も魅力です。賃貸物件としてはポピュラーな契約制度なので、物件数が圧倒的に多く、希望の物件が見つかりやすいでしょう。

■普通建物賃貸借契約の注意点
基本的に、普通建物賃貸借契約では、借主を保護する観点で契約手続きが行われます。その1つとして、法定更新がありますが、貸主だけではなく借主もルールを守らなければなりません。契約更新をしない場合は、貸主同様に借主も一定期間以前にその旨を伝える必要があります。契約解除のタイミングは、物件や不動産会社によって異なるため、賃貸借契約書を必ずチェックしておきましょう。
賃料は、定期建物賃貸借契約よりも高く設定されているケースが多いです。 例えば、定期建物賃貸借契約で募集されていた物件と同じエリアにあり、間取りが似通っていたとしても賃料負担が大きく異なる可能性があります。また、普通建物賃貸借契約では更新可能ですが、更新料の支払いが必要です。

■原状回復について
定期建物賃貸借契約、普通建物賃貸借契約を問わず、契約が終わり退去する際には、借主が原状回復をしなければなりません。特に、事業を行うために賃貸物件を借りていた場合、住居利用よりも原状回復の範囲が広く、工事費もかさむでしょう。
原状回復は、法律で義務付けられているルールであり、把握しないままオフィスを借りてしまうと、原状回復にかかる条件でトラブルになりかねません。特に、経年劣化や通常損耗に関しての原状回復は注意が必要です。住居物件の場合、貸主の負担となるのが一般的ですが、オフィスの場合は壁紙や床材の劣化なども借主が負担することが一般的です。
オフィスを借りる場合は、退去時に発生する義務や費用に関することも理解しておくことが大切です。オフィスに関わる原状回復については、以下のページで紹介していますのでご確認ください。

オフィスの原状回復にかかる費用を支払うのは借主?その理由とは

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約どちらを選ぶべき?

オフィスを借りる場合、業種や目的によって、適合する契約形態が異なります。すでに、借りたいオフィス候補が絞られている場合、契約する前に定期建物賃貸借契約か普通建物賃貸借契約のどちらであるかを確認しておく必要があるでしょう。続いては、それぞれの契約制度に向いている業務形態について解説します 。

定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約どちらを選ぶべき?
種類 こんな企業におすすめ
定期建物賃貸借契約 ・定期的または頻繁にオフィスを移転している企業
・事業を立ち上げたばかりのベンチャー企業など
普通建物賃貸借契約 ・オフィス移転の必要性が低い企業
・オフィスを長期的な拠点とする中小企業・大企業など

■定期建物賃貸借契約がおすすめの企業
賃料が比較的低めの定期建物賃貸借契約は、事業を立ち上げたばかりのベンチャー企業に向いています。短期間だけ借りられるケースも多いので、事業が軌道に乗るまでの間に活用しやすいでしょう。
また、定期建物賃貸借契約は、取り壊し予定がある物件に導入されるケースもあります。例えば、一等地にある物件でも定期建物賃貸借契約であれば、安く借りられる可能性があるでしょう。そのため、資金はないけれど、都心や市街地で店舗を開き認知度を上げたい場合にも利用しやすいのが魅力です。そのほか、定期的にオフィスや店舗を移転している企業にも向いています。移転することを前提としてスペースを探している場合は、定期建物賃貸借契約の物件を選ぶと良いでしょう。

■普通建物賃貸借契約がおすすめの企業
長期的な契約が可能な普通建物賃貸借契約は、オフィス移転の可能性が少ない企業に向いています。特に、長期的な拠点としてオフィスを構えたいと考えている場合は、定期建物賃貸借契約よりも普通建物賃貸借契約を選んだ方が良いでしょう。大きな予算をかけて店舗を作り込みたい時も、普通建物賃貸借契約がおすすめです。
ただし、定期建物賃貸借契約と比べると審査が厳しい傾向にあるので、財務状況が安定している必要があります。

■定期建物賃貸借契約か普通建物賃貸借契約かを調べる方法
事業用として賃貸物件を選ぶ場合は、業種や目的に沿った契約形態を選ぶことが大切です。
とはいえ、定借・普通借の契約形態までオフィシャルサイト上に公開している賃貸オフィスは少ない上、同一物件でもケースによって異なることもあります。そのため、気になる物件があれば直接お問合せ頂くのがおすすめです。「複数のオフィスを比較検討したい!」「自社に最適なオフィスを探したい!」という企業担当者の方であれば、三菱地所リアルエステートサービスの「賃貸オフィス検索サイト」を利用してみてはいかがでしょうか。
新しい賃貸オフィスへの移転を考えている方や、賃貸オフィスに関する情報を探している方は、以下のページをぜひご参照ください。

オフィス検索はこちらから

賃貸オフィスを契約する前に気をつけたいこと

スムーズに賃貸オフィスの契約をするためには、後のトラブルを回避するため、ポイントを押さえておく必要があります。続いては、事業内容や物件を借りる目的を踏まえた上で、賃貸オフィスを契約する前に気をつけたいことを解説します。

■契約の特徴を把握しておく
何よりも押さえておきたいのが、定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約それぞれの特徴についてです。更新の有無だけではなく、契約形態や中途解約の可否など細かい点も把握しておくと、物件候補を検討する指標となります。例えば、定期建物賃貸借契約の特徴を確認せずに物件を借りてしまうと、全く意図していなかったタイミングで退去せざるを得ない可能性があります。

■業務内容と照らし合わせて契約形態を選ぶ
契約形態を選ぶためには、事業内容やオフィスを借りる目的を明確にする必要があります。将来的な展開なども踏まえてオフィスの契約形態を選ばなければ、結果的に必要のない負担をする可能性もあるでしょう。
例えば、賃料が安いだけの理由で定期建物賃貸借契約の物件を選んでしまうと、契約満了時に再び別の物件を探さなければなりません。また、貸主から再契約できるといわれていたとしても、時が経ち事情が変われば、再契約できなくなるケースも考えられます。
一方、宣伝効果の目的でスポット的にオフィスや店舗を構えたい場合は、普通建物賃貸借契約よりも定期建物賃貸借契約がおすすめです。このように事業の目的がはっきりしていれば、契約形態を選びやすくなります。

■契約方法を契約書面で確認する
オフィスを借りる際には、契約書の確認が欠かせません。契約書には、契約形態や契約解除に関わる基準、禁止事項などが記載されています。
また、条文も見落とさないように注意しましょう。条文には、契約更新に関わる手数料に加えて、退去時にかかる原状回復についての記載もあります。確認せずに契約すれば、退去する際に思わぬ出費が発生しかねません。

まとめ

今回は、定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違いについて解説をしました。オフィスを借りるためには、契約形態の違いを正しく理解しておくことが大切です。定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の特徴だけではなく、注意点についても把握しておきましょう。
特に、定期建物賃貸借契約の物件には、取り壊しが決まっているなどさまざまな理由があります。そのため、気に入った物件だとしても、再契約ができない可能性も少なくありません。自社の業務形態がどちらの契約にマッチするかをよく検討してから契約するようにしましょう。

CONTACT US お問い合わせ

オフィスをお探しのみなさま

掲載中の物件以外にも、多数物件を取り扱っております。お電話またはお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。

三菱地所リアルエステートサービス株式会社
ビル営業部

お問い合わせはお電話でも承ります。
お気軽にお問い合わせください。

営業時間 9:30 〜 17:30(平日)