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【八重洲】進化が続く八重洲の魅力!歴史や今後の開発についてご紹介

再開発が続く八重洲エリアは東京駅に近く、全国各地への交通アクセスも非常に良好です。本記事では、八重洲エリアの歴史や特徴から、潜在空室率や平均募集賃料まで詳しく紹介します。記事後半には、八重洲エリアの開発情報も紹介していますので、ぜひご一読ください。

東京駅東側の八重洲エリアは、江戸時代の舟運拠点から国際ビジネス街へと変化し、現在も高層ビルや交通インフラの再開発が進められています。 JR新幹線・在来線と羽田直通の高速バスが交差する立地は全国や海外との交通アクセスも良好で、採用活動にも有利です。八重洲地下街や東京ミッドタウン八重洲には多種多様な飲食店・商業施設が集まり、観光客のみならずオフィスワーカーにとっても便利な環境が整っています。
本記事では、エリアの歴史や市況の特徴、再開発の状況などについてまとめました。

八重洲エリアの歴史

八重洲は江戸期の水運拠点から鉄道開業、高度経済成長、そして超高層ビルが林立する現代へと常に姿を変えてきました。各時代の転換点を振り返ると、環境変化に合わせて発展してきた経緯がわかります。

■江戸時代
「八重洲」という名称は、徳川家康に仕えたオランダ人航海士ヤン・ヨーステンの和名「耶楊子(やようす)」が「八重洲(やえす)」と転じたことが由来です。ヨーステンの屋敷は当初内堀沿いの丸の内側に置かれましたが、その後“八代洲河岸”と呼ばれた外堀東岸に地名が変わり、荷揚げ場の通称として定着。川沿いの荷揚げ場には材木商や米蔵が集まり、水運と陸送が接続する物流拠点として発展しました。
そして、堀の内側に旗本屋敷が連なり、外側では商人と職人が暮らしていたため、武家文化と町人文化が混在した独特の景観が広がっていたのです。
十八世紀後半には運河改修が進み、行き交う千石船や高瀬舟の帆が町の象徴となりました。周辺には京橋川や日本橋川も流れ、物資の積み替えが絶えず、江戸城下の経済を支える存在でした。

■明治〜昭和初期
明治維新後、八重洲は鉄道建設の波を受けて急速に変化します。1872年の新橋―横浜間開通を皮切りに、旧藩邸の多くは鉄道用地や官庁用地へ転換されました。1914年の東京駅開業時、駅舎は丸の内側のみで、八重洲側の貨物線が広がる煉瓦倉庫群は海運荷物の受け皿として重要な役割を担います。

東京駅開業当時、現在の八重洲口(写真中央)と市街地(写真下部)の間は川で区切られていた
出典:国立国会図書館デジタルコレクション「東京市街高架鉄道建築概要」

1923年に発生した関東大震災を機に、防火帯を兼ねた永代通りが新設され、耐火性に優れた石造ビルが建ち並びました。1926年には「八重洲ビルヂング」が竣工し、近代的オフィス街の兆しが生まれます。
1929年の八重洲口駅舎完成により、駅東側が「八重洲」として定着し、昭和初期には高架下に映画館や食堂が入り、昼夜を問わず人波が絶えなかったと伝えられています。八重洲通りの拡幅や市電の運行も進み、京橋・日本橋との接続によって商業とビジネスの往来が活発になりました。

■戦後復興〜高度経済成長期
第二次世界大戦で甚大な被害を受けた八重洲は、進駐軍関連需要によってオフィスニーズが高まり、戦後復興の起点となります。1948年から1954年にかけて外濠川が埋め立てられ、駅と街を隔てていた水路が姿を消しました。
また、1954年に中央区八重洲が行政地名として正式に設置され、同年には鉄道会館ビルが竣工しました。この複合ビルは百貨店とオフィスからなり、サラリーマン文化の象徴とされました。1964年の東海道新幹線開業により地方都市との距離が縮まり、翌年オープンした八重洲地下街は雨天でも快適に買い物を楽しめる地下都市として注目されます。
1960年代後半には八重洲ダイビルや第一大栄ビルが完成し、銀行や商社の本店が次々と入居しました。高度経済成長の追い風のもと、地上には貸事務所ビルが林立し、地下では消費文化が花開きました。

■大規模再開発〜現代
2000年代に入ると、老朽化したビルの建て替えが本格化します。2007年にグラントウキョウノース・サウスタワーが竣工し、大丸東京店の刷新とハイスペックオフィスの導入によって、東京駅八重洲口前の印象が大きく変わりました。2013年には両タワーを結ぶ大屋根デッキ「グランルーフ」が完成し、歩行者動線と滞留空間の快適性が向上します。
2023年にはスタートアップ支援施設や高級ホテルを備えた、延床約28万㎡の東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワーが竣工を迎え、2028年には東京駅日本橋口側で高さ約390メートルのTOKYO TORCH トーチタワーが竣工を予定しています。連続的な再開発によって、八重洲は東京の玄関口からグローバルビジネスの創発拠点へと進化を続けています。

八重洲エリアの特徴

八重洲・京橋・日本橋(YNK)エリアは、空室が出にくいオフィスマーケットです。募集情報が公開されると短期間で申込みが集中することがあるため、社内調整や情報共有を備えておくのがポイント。ここでは、八重洲エリアの特徴を紹介します。

■東京駅八重洲口の特徴
東京駅八重洲口の改札内外に広がる商業ゾーン「グランスタ」や「キッチンストリート」は、出張者の30分ランチや効率的な手土産調達を可能にしています。また、八重洲口地下に整備されたバスターミナル東京八重洲は2022年に第1期が開業し、2028年度には乗降20バース規模の国内最大級高速バスターミナルとして完成を迎える予定です。なお、東京駅はJR東日本の2023年度統計で1日平均乗員者数が403,831人を記録しています。

■交通アクセスの多様さ
東京駅は徒歩10分圏内に他路線の駅出口が複数存在するため、地下通路などを活用した容易な乗り継ぎが可能となっています。なお、2031年度に開業予定の羽田空港アクセス線(仮称)が完成すれば、東京駅と羽田空港間は最速18分となる予定で国際線利用やビジネスの渡航の利便性が大幅に向上する見込みです。東京駅構内については、2024年以降に改札内南通路や地下自由通路の拡幅工事が進行し、2029年から2031年にかけて順次完成が予定されています。通路幅は現行の15メートルから20メートルに広がる計画で、混雑時でもキャリーバッグを持つ来訪者が通行しやすくなるでしょう。また、道路網については東京駅の周辺に首都高速道路の京橋および宝町出入口があるため、営業車を利用する業態でもスムーズな移動が可能です。

■周辺環境と生活利便性
地下街「ヤエチカ」では180店舗が営業しており、ラーメン横丁やカレー専門店ゾーンなど、単価1,000円前後の飲食店が充実しています。
また、銀行本店や証券会社の基幹店も駅前に集中しているため、決済や投資相談もスムーズです。東京駅八重洲口は日本橋・京橋エリアとのアクセスが良く、老舗百貨店での贈答品手配やアート系ミュージアムでの接待が可能な施設が15分圏内に集約。近年は客室200室規模のビジネスホテルが相次いで開業しており、海外パートナーの宿泊先の確保も円滑に進められます。

■オフィスストックと賃料動向
2023年に竣工した東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー(延床約28万㎡、高さ約240m)は、エリアを象徴するフラッグシップです。基準階面積は約4,100㎡(約1,240坪)で、天井高2.9mの無柱空間が特徴。低層部にあるバスターミナルや60店舗の飲食・物販施設とは垂直動線で繋がり、来訪者の導線分散にも繋がります。
グラントウキョウノース・サウスタワーでは、制震ダンパーや二回線ループ受電が導入されており、停電時でも72時間の全館電源維持が可能なBCP仕様が評価されています。また、このエリアは月額賃料坪単価が3.8万〜5.5万円と幅広いレンジで展開されているのも特徴。また、面積のバリエーションも豊富で、シリーズB段階の(スタートアップが初期の成長段階をから一定の収益を生み出し始めた段階のこと)スタートアップ企業などのニーズに合わせた面積にも対応可能です。
2028年には、東京駅日本橋口側で高さ約390メートルのTOKYO TORCH トーチタワーが竣工予定で、大型フロア(1フロア約1,900坪)を求めるグローバル企業の移転候補地として注目されています。

■スタートアップ支援とイノベーション
イノベーション領域では、行政と民間が連携する「グローバルスタートアップ拠点」構想が進んでいます。東京建物が運営するxBridge-Tokyoには41社のスタートアップ企業が入居し、累計107億円の資金調達が行われました。国内随一の高いアクセス性を持ち多様な産業の集積地となっている八重洲の地で、「Bridge」を冠するようにスタートアップ企業と既存企業の架け橋となって新規事業の創出やグローバル展開の場になることが期待されています。
周辺では「Tokyo Torch Startup Hub」やNEDOの実証フィールド支援拠点の開業も予定されており、技術検証から海外展開までを一貫して支援する体制が整いつつあると言えるでしょう。

八重洲エリア(京橋・日本橋周辺含む)の潜在空室率・平均募集賃料

■潜在空室率
2025年8月の主要大型ビルの潜在空室率は0.82%でした。2025年7月までは約1~2%台で推移し、2025年8月には1%を切る水準まで低下しています。

■平均募集賃料
2025年8月の主要大型ビルの平均募集賃料は43,788円/坪でした。八重洲・日本橋エリアでは、2024年に入ってから高価格帯の物件で成約が進み、39,000円/坪台前後まで下落していましたが、2024年11月以降は新築大型ビルが竣工を迎えた影響で、43,000円/坪前後で推移しています。

八重洲周辺の今後の開発について

東京駅前で進む国家戦略特区の超高層ビル群は、バスターミナルと地下歩行者ネットワークを一体化した“立体ターミナルシティ”構想を形成します。2025年以降はオフィス床の大量供給と都市機能の拡張が同時に進み、企業誘致やインバウンド需要の高まりが予測されます。ここでは、八重洲周辺の開発情報を紹介します。

■TOFROM YAESU(八重洲一丁目東A・B地区)
東京駅の東側に位置する再開発プロジェクト「TOFROM YAESU」は、A地区とB地区の2棟で構成されています。
A地区「TOFROM YAESU THE FRONT」は、地上10階・延床約1万2,000㎡で、2026年に竣工予定です。B地区「TOFROM YAESU TOWER」は、高さ約250m・延床約22万5,000㎡。こちらも2026年に竣工を予定しています。地下で東京駅と直結し、劇場・医療フロア・住宅を併設したミクストユース型施設となっています。また、オフィス部分には基準階約760坪の無柱空間が採用されており、レイアウトの自由度と事業継続性の両立を図っています。
共用施設も充実しています。41階「YAESU SKY LOUNGE」には瞑想室や温浴ブースが設置されています。13階の共用フロア「Wab.」ではイベントキッチンや緑化ラウンジなど、ウェルビーイングを意識した空間づくりが進められています。 アクセス面では、羽田アクセス線と連動する第二期バスターミナル(計20バース)が整備される予定です。歩行者デッキにより、丸の内や日本橋へも雨天時に濡れずに移動できる導線が設けられています。 2025年5月時点で、B地区は51階まで鉄骨建方が完了。外装カーテンウォールの取り付けも終盤に差しかかっています。街区名「TOFROM」は「行き来」を意味しており、ヒト・モノ・コトが集う結節点としての役割を担う構想です。
物件観察「TOFROM YAESU TOWER」次世代の新しい働き方の羅針盤八重洲の歴史に“ウェルビーイング”を刻む

■八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業
八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業は、2024年8月に着工、2029年1月の竣工が予定されているエリア最大規模のプロジェクトです。敷地面積は約2.2ヘクタール、延床面積は約39万㎡。基準階1,900坪超のオフィスを中心に、劇場、サービスアパートメント、インターナショナルスクール、バスターミナルなどを整備する計画です。
オフィス部分はZEB Readyを取得し、地域エネルギーセンターとの連携により一次エネルギー使用量の削減を図ります。災害時にはガス発電によって最大72時間の電力供給が可能となる設計で、BCP対応も意識されています。また、外装にはダブルスキン構造のガラスを採用し、断熱性能と省エネ性の両立が図られる見込みです。
低層部には八重洲ブックセンターが再出店し、カフェを併設した形でリニューアルされる予定です。書店と飲食機能が組み合わさることで、ワーカーの休憩や交流を支える文化拠点としての役割も担います。地下経由で東京ミッドタウン八重洲や八重洲地下街と接続される動線が整備され、雨天時でも濡れずに行き来できます。さらに、地下1~2階にバスターミナルが設けられるほか、京橋エドグランともシームレスにつながる計画です。また、夜間経済の活性化を意図した約1,500席の劇場も整備される予定で、周辺のホテルや商業施設との相乗効果が見込まれています。

■八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業
八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業では、外堀通り北端、日本橋川に面した敷地に再開発が進められています。計画では、地上44階・高さ約218mの超高層棟(南街区)と、2階建ての商業棟(北街区)が建設される予定です。南街区は2029年7月の竣工を予定しており、10〜43階に設けられるオフィスフロアは基準階約860坪となる見込みで、6〜9階には、国際的なゲストの宿泊や会議の対応が可能なラグジュアリーホテル「SEN/KA TOKYO by The Crest Collection」が入居すると予定されています。
また、2階には高度金融人材を支援するワークラウンジが設けられ、海外企業の進出を促すための機能も整備。敷地東側、日本橋川沿いには水辺テラスや桜並木、クルーズ船の発着桟橋が整備され、リフレッシュや接待の場としての活用も想定されています。また、地下階では東京駅・日本橋駅・大手町駅を結ぶ歩行者ネットワークとの一体化が進められており、将来的には首都高地下化後に整備される親水空間との連動も計画されています。本プロジェクトは国土交通大臣認定の「優良民間都市再生事業計画」に位置づけられており、金融・観光分野における国際競争力の向上を目指す旗艦拠点として、八重洲全体のブランド価値向上にも貢献すると見られています。

まとめ

八重洲は東京駅を玄関口とし、再開発により今後新たに大規模床供給が進むエリアです。スタートアップや外資系企業の入居が周辺の商業環境を活性化させ、日本橋・京橋との面的な連携も進展する見込みです。第二・第三期バスターミナルの稼働に伴い、空港直結バスの増便が見込まれ、街全体の回遊性もさらに高まるでしょう。

移転や拠点集約を検討する企業は、竣工の2年前から賃料や募集区画の動きを注視し、レイアウト検討を早めに始めることが重要です。現在公開されている物件情報や空室リスト、条件に合う区画の有無について詳しく確認したい方は、下記よりご相談ください。


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