東京駅周辺エリアは、日本を代表するビジネスの要衝として、永年にわたり多くの企業に選ばれ続けてきました。
首都の玄関口という特徴から、東京駅周辺エリアは卓越した交通の利便性を有しており、その結果、国内外の様々な企業にとって、本社や主要拠点を構える魅力的な立地と認識されています。さらに、超高層オフィスビルや商業施設が集積するこのエリアは、防災・BCP対応などのインフラも充実しており、業種や企業規模を問わず、多様なビジネスニーズに対応する機能が整っています。
本記事では、この東京駅エリアが持つ歴史的背景から、現在の高度な都市機能、そして今後を展望する大規模な再開発計画までを多角的に解説します。オフィス移転や新拠点設置を検討する際の参考記事としてご活用ください。
東京駅周辺の歴史
東京駅周辺エリアは、江戸期から現代にかけて政治・経済の要所として発展してきました。各時代の主な出来事を通して、丸の内・八重洲・大手町それぞれの成り立ちを紹介します。
■江戸時代の東京駅周辺エリア
江戸時代において、現在の東京駅周辺にあたるエリアは、江戸城の外濠東側にあたる武家地でした。特に現在の丸の内や大手町に位置する区域には、福井藩、加賀藩、彦根藩などの主要大名の上屋敷が集中していました。これらの屋敷は、将軍への参勤交代や幕府との政務対応の拠点として機能しただけでなく、江戸城の外郭防衛という戦略的な意味合いも持っていたとされます。しかし、明治維新に伴う廃藩置県によって屋敷は解体され、1870年代には原野化が進み、草地や水田が広がる未整備地域へと変化しました。
■明治~大正期の誕生
1890年、三菱の岩崎彌之助が政府から丸の内一帯の土地を取得し、近代的な都市開発が進められます。1894年には、英国出身の建築家ジョサイア・コンドルが設計した「三菱一号館」が竣工し、その後も次々と赤レンガ造の洋風ビルが建設されました。
当時の丸の内は「一丁倫敦」と呼ばれる欧風の街並みを形成し、1914年には東京駅が丸の内側に開業。中央停車場としての機能を担いながら、赤レンガ駅舎は現在も都市の象徴としての役割も果たしています。
開業当時の東京駅丸の内口
出典:国立国会図書館デジタルコレクション「東京百建築」
■昭和初期の災害と発展
1923年の関東大震災では、東京駅の構造体は大きな被害を免れましたが、周辺エリアでは倒壊や火災の被害が広がりました。この経験を機に、耐火建築物への移行や土地区画の再編が進みます。1929年には八重洲口が新設され、駅の東西移動が容易になったことで、八重洲エリアの開発が本格化。これにより東京駅は、丸の内と八重洲の両方向に展開する複合的な交通結節点となっていきました。
■戦後復興~高度経済成長期
第二次世界大戦中の空襲により、東京駅のドーム屋根などが損傷を受けます。戦後は応急修復によって営業を再開し、その後の経済回復に合わせてエリア全体が再構築へと向かいました。1959年に「丸の内総合改造計画」が策定され、耐震性や機能性に配慮したオフィスビルへの建て替えが進行。1964年の東海道新幹線開業に伴い、駅の役割が拡大し、翌年には八重洲地下街も開業します。地下通路と商業施設が連動する構造が整えられ、利用者数の増加にも対応しました。
■大規模再開発と復元
1980年代後半から、丸の内・八重洲エリアでは建物の老朽化に対応する再開発が本格化しました。1988年に「大手町・丸の内・有楽町地区再開発計画推進協議会」を設立。 その後、1995年に旧丸ビルの建替えを発表し、「丸の内再構築」という第3次開発を開始しました。2007年にはJR東日本が「Tokyo Station City構想」を発表し、駅構内と周辺の空間を一体的に見直す方向性が示されました。
2012年には赤レンガ駅舎の創建当時の姿を再現した復元工事が完了し、同時に丸の内駅前広場やグランルーフの整備も実施されました。東京駅周辺は、都市機能と歴史資産が共存するエリアとして高い評価を受けています。
東京駅エリアの特徴
■交通利便性
東京駅は、JR各線と東京メトロ丸ノ内線が接続するターミナル駅です。また、東京駅周辺のビルは地下通路で直結しており、天候や混雑の影響を受けにくい移動環境が整っています。
八重洲口側では、高速バスターミナルや空港行きリムジンバスが発着しており、広域へのアクセスにも対応。成田・羽田両空港へはそれぞれ60分・30分前後で移動でき、国内外の拠点連携が求められる企業にも適した立地といえます。
■商業・飲食・アメニティ
丸の内・八重洲・大手町エリアは、多様な飲食店や物販店舗が充実しており、ビジネスにおける昼食や商談・打ち合わせに最適な環境です。東京駅周辺には、駅直結の「グランスタ」や再開発で整備された「KITTE丸の内」、「八重洲地下街」など、主要な商業施設が集積しています。
また、周辺に立地する高級ホテルや大規模カンファレンス施設により、重要な来訪者の迎賓やイベントの開催にも柔軟に対応可能です。更に日常業務をサポートする各種店舗・サービスも整備されており、高い利便性を誇るビジネス拠点として機能しています。
■ビジネス集積とネットワーク
丸の内・大手町地区には、日本を代表する企業本社や大手金融機関が多く進出しており、ビジネスの中枢を形成しています。一方、八重洲・京橋エリアにおいては、外資系企業やスタートアップの進出が活発化し、多様な業種が共存するダイナミズムを呈しています。これらの地域にはイノベーション拠点が点在し、コワーキングスペースなどが業種・企業規模を超えた交流と新たなビジネス創出の場を提供しています。加えて、東京都、千代田区、中央区による官民連携の都市施策が積極的に展開されており、強固なビジネスネットワークの形成と新産業の創出を強力に後押ししています。
■先進的なオフィス環境
東京駅周辺のハイグレードオフィスビルは、企業の競争力を高める機能を厳選し、次世代のワークプレイスへと進化しています。最新の再開発ビルでは、入居者専用の交流ラウンジや、質の高い食事を提供するテナント食堂といったアメニティが整備され、社内外のコラボレーションと「健康経営」を支援します。また、高耐震性能に加え、複数系統の受電や長時間稼働の非常用電源が万一の事態をカバーし、再生可能エネルギーの導入や高性能省エネ設備が、脱炭素社会への貢献とランニングコストの最適化を両立しています。
■防災・BCP対策
東京駅周辺では、新築・大規模改修ビルが免震・制振構造や非常用発電設備を導入し、建物の安全確保と業務継続(BCP)を高度化する一方、丸の内側は不燃性の高い街区特性と広場資源を活かした一時滞在支援と広域連携を、また八重洲側はターミナル機能を持つがゆえの地下空間の安全対策や帰宅困難者支援を特に強化するなど、エリア特性に応じた対策を講じることで、建物単体を超えた地域一体の防災レジリエンスを確立しています。
■ブランド価値とイメージ
「千代田区丸の内」「中央区八重洲」といった所在地は、企業の信頼性や先進性を対外的に示す材料のひとつです。東京駅周辺に拠点を置くことで、採用活動や商談の場面でも企業認知や印象に影響を与える可能性があります。首都圏の主要交通拠点という立地条件も加わり、国際的なビジネスシーンでも存在感を発揮しやすいエリアです。
周辺エリア別の特徴
東京駅を起点に、丸の内・八重洲・大手町の各エリアには異なる特徴があります。業務の内容や企業の方向性に応じて、立地の選択肢が広がることも特徴のひとつです。
■丸の内エリアのポイント
丸の内は、日本初の近代オフィス街として発展してきたエリアで、計画的な開発によって統一感のある都市景観が構築されています。皇居に隣接する立地や、丸の内仲通りに代表される歩行者中心の街路空間も特徴のひとつです。「丸の内NEXTステージ」では、次世代に対応した都市機能の整備を進めており、歴史性と将来性の両立を図るエリアづくりを目指しています。
丸の内エリア特集
■八重洲エリアのポイント
東京駅東側の八重洲は、再開発によって大規模複合施設の整備が進み、都市機能が高度化。東京ミッドタウン八重洲やグランルーフの整備により、ビジネスと商業の機能を兼ね備えたエリアとして注目されています。物流やアクセスの利便性から、オフィスと店舗を併設する複合施設の展開にも向いているエリアです。
八重洲エリア特集
■大手町エリアのポイント
大手町は、大手企業、金融機関の本社が集まる、日本屈指のビジネスエリアです。大手町駅には東京メトロ5路線が乗り入れ、通勤や都内主要拠点への移動も容易です。政策連携や金融業務の拠点を構える企業にとって利便性が高く、常盤橋地区「TOKYO TORCH」を中心とする再開発では、防災性やICTインフラの強化も進行しています。
大手町エリア特集
東京駅周辺の今後の開発について
東京駅周辺では、複数の街区で大規模な再開発が進行中です。これらの開発は、単なる建て替えにとどまらず、中長期的な都市機能の強化や地域価値の向上を目的とした取り組みです。ここから、現在進行中の5つの再開発計画を紹介します。
■TOKYO TORCH 常盤橋タワー
「TOKYO TORCH」は、三菱地所が推進する常盤橋街区での大規模再開発で、国家戦略特区にも指定されています。
2021年に竣工した「常盤橋タワー」は地上38階建・高さ約212m。高機能オフィスに加えて、商業施設「TOKYO TORCH Terrace」や約7,000㎡の緑地広場「TOKYO TORCH Park」も整備される予定で、歩行者の回遊性や来街者の利用動線にも配慮しています。2028年度には、地上63階・高さ約390mの「Torch Tower」も竣工予定で、国内最高層の建築物となる見込みです。オフィスの他、ラグジュアリーホテル、多目的ホール、住宅、展望施設なども備えた複合施設です。街区全体では、「世界を明るく灯す」というコンセプトを掲げ、様々な機能が連動するエリアづくりが進められています。
TOKYO TORCH 公式サイト
■TOFROM YAESU TOWER(八重洲一丁目東A・B地区)
「TOFROM YAESU」は、東京建物を開発主体とした八重洲中央口正面の複合再開発です。A地区では「TOFROM YAESU THE FRONT」が2026年の竣工を予定しており、地上10階建・基準階面積約258坪、天井高2.8mのオフィスビルとして建設が進められています。
隣接するB地区には、「TOFROM YAESU TOWER」が建設される予定です。地上51階建・高さ約250m、基準階面積は約760坪の高層ビルで、オフィスを中心に、劇場、カンファレンス施設、医療フロアなどを配置します。
上層階にはスカイラウンジ、13階にはウェルビーイングに対応した専用フロア「Wab.」を設置。働く環境や利用者の滞在性にも配慮した構成です。低層部にはバスターミナルを整備し、東京駅との接続性を活かし、広域移動に対応した交通拠点とする計画となっています。
物件観察「TOFROM YAESU TOWER」次世代の新しい働き方の羅針盤八重洲の歴史に“ウェルビーイング”を刻む
■八重洲二丁目中地区第一種市街地再開発事業
東京駅八重洲口に隣接する八重洲二丁目中地区では、敷地面積約2.2ha、延床面積約39万㎡の再開発計画が進められています。中核施設は、地上43階建・高さ約227mの超高層ビルで、基準階は約1,900坪と都内でも有数の規模を有しています。
本計画では、オフィス機能の他に、商業施設、劇場、インターナショナルスクール、地域連携型広場といった複数の都市機能が整備の対象です。地下部には「バスターミナル東京八重洲(第3期)」が整備され、周辺の東京ミッドタウン八重洲との連携を視野に入れたエネルギー・防災ネットワークの構築も進められる予定です。2024年に着工し、2029年1月の竣工が予定されています。
■八重洲一丁目北地区第一種市街地再開発事業
八重洲北地区では、地上44階建・高さ約218mの複合高層ビルを建設する計画です。オフィスの他、商業施設、国際金融支援施設、ホテル、レジデンスなどを組み合わせた構成で、ビジネス・宿泊(滞在)・居住のあらゆる目的に対応します。
2029年度下期には、宿泊・接遇用途を担う高級ホテル「SEN/KA TOKYO」の開業が予定されています。広域地下歩行者ネットワークにも接続され、東京駅・日本橋駅・大手町駅との動線確保も視野に入れた設計となっています。
■(仮称)丸の内3-1プロジェクト
三菱地所・東宝・出光美術館は、1962年竣工の国際ビルと1966年竣工の帝劇ビルを一体で建て替えを進めています。新ビルは地上29階・地下4階建、高さ約155mの複合施設として2025年度に解体工事を開始し、2030年度の完成を予定。低層部には新たな「帝国劇場」や出光美術館、商業施設が入り、中高層部には最新設備を備えたオフィスフロアを設けます。
皇居に近接する立地と文化施設の連携を活かし、多様な都市機能を集約した施設として開発が進行中です。
まとめ
東京駅エリアは、交通アクセスの広域性、商業・業務機能の集積、そして複数の再開発計画による機能向上が進むエリアです。時代背景と先進的な都市基盤が共存しており、企業の拠点整備において検討対象となる立地条件が揃っています。
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