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フリーレント、均し賃料とは?オフィス賃料削減のカギとなる用語を解説!

オフィス移転時に候補物件を選定する際、「フリーレント」や「均し(ならし)賃料」という言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか。オフィス移転には多額の費用がかかりますが、フリーレントを獲得することで移転後のコストを軽減することが出来ます。この記事では、「フリーレント」や「均し賃料」の他、「レントホリデー」や「段階賃料」といった用語についても詳しく解説します。

オフィス移転を検討している企業にとって、賃料は重要なポイントです。物件を選定する際、第一に面積や賃料をもとに候補物件を挙げることでしょう。その際、「フリーレント」や、「均し(ならし)賃料」という言葉を目にする機会も多いのではないでしょうか。これらの用語は、移転先の賃料条件を理解する上で非常に重要です。この記事では、効果的なオフィス移転を実現させるためのキーポイントとなる「フリーレント」や「均し賃料」について分かりやすく解説します。

フリーレント・均し賃料とは

フリーレントとは「一定期間、賃料が免除となる特約」を、均し賃料は「フリーレント期間も含めた契約期間で賃料総額を按分した平均賃料」を意味します。それぞれ詳しく解説します。

■フリーレントとは
フリーレントとは、契約開始後一定期間の賃料が免除となる特約です。例えばフリーレント1ヶ月の場合、契約開始後最初の1ヶ月間は賃料が免除されます。物件オーナーの視点から考えると、物件が長期間空室である場合の入居率の改善に効果的で、空室期間を短縮することで長期的な賃料収入を確保できるメリットがあります。一方、入居テナントにとっては、フリーレント期間中は初期費用を軽減できることや新オフィスと旧オフィスの賃料の二重支払を防げるというメリットがあります。フリーレントは、オーナーにとっては物件価値の維持、入居者にとっては初期賃料負担の軽減といったメリットがあり、双方に有益な仕組みといえるでしょう。

■均し(ならし)賃料とは
均し賃料は、先述の「フリーレント期間も賃料を支払っている」と仮定し、賃料の総額を契約期間で按分した平均賃料のことです。例えば、契約開始から数ヶ月間の賃料が免除される場合、この免除される期間も含めて契約期間として計算し、その平均賃料を算定します。

フリーレント 契約開始後、一定期間賃料が免除となる賃貸契約
均し賃料 賃料の総額を、(フリーレント期間を含む)契約期間で按分し、毎月の平均賃料単価を算出したもの

均し賃料の計算方法

均し賃料の算出方法は、以下の通りです。

均し賃料 = (賃料総額-フリーレント総額) ÷ 契約期間

例えば賃料が1ヶ月600万円(共益費なし)で契約期間が3年(36ヶ月)、フリーレント期間6ヶ月の場合、以下の計算式となります。

(‭‭216,000,000‬円 -‭ 36,000,000‬円)÷ 36ヶ月 = 均し賃料 :‭ 5,000,000‬円

上記は共益費なしの例ですが、管理費や共益費はフリーレントに含まれないことが多く、光熱費なども免除対象ではないため注意が必要です。
なお、管理費や共益費も免除対象となるフリーレントも存在し、こちらは通常のフリーレントと区別する目的で「完全フリーレント(完フリ)」と表現されることが多いです。ただし、完全フリーレントの場合も、光熱費等の実費負担金は発生するのが一般的です。

フリーレントのメリットと注意点

フリーレントには様々なメリットがある一方で、注意すべき点もあります。
メリットと注意点をしっかり理解することで、自社に適した物件選定が行えます。それぞれ詳しく解説します。

■フリーレントのメリット
フリーレントのメリットは、以下の通りです。

・初期賃料負担が軽減される
・均し賃料で考えた場合に、移転候補物件の選択肢が広がる

初期賃料負担が軽減される
フリーレント期間中は賃料が免除されるため、移転初期の賃料負担が大幅に軽減されます。例えば、移転直後は通常新オフィスの賃料と、旧オフィスの賃料がかかります。(移転後に旧オフィスの原状回復工事が始まるため)このように賃料の二重支払いが発生する期間に、フリーレントが設定されていれば賃料負担を軽減することができます。

均し賃料で考えた場合に、移転候補物件の選択肢が広がる
例えば移転候補物件を選定する際に、予算に対して月額賃料がオーバーしている場合。その物件にフリーレントが設定されていれば、均し賃料で考えることで実は予算内に収まる可能性があります。契約書上の月額賃料ではなく、均し賃料で考えることで物件の選択肢が広がります。

例えば、月額賃料600万円で契約期間3年間(36ヶ月)、フリーレント期間が1年間(12ヶ月)の契約では、契約後12ヶ月間は賃料免除、その後の賃料をフレーレント期間を含めた契約期間で按分できるため、実質的に平均月額賃料の負担が少なくなります。さらにフリーレント期間が長ければ長いほど、費用の軽減効果は増大します。例えば、先述の契約の場合、通常月額賃料600万円・年間賃料7200万‬円ですが、この物件にフリーレント期間が以下のように付与されている場合、その期間により毎月の賃料負担額が変わります。

●月額賃料600万円/契約期間3年(36ヶ月)の場合

フリーレント期間 実際の賃料支払期間 支払総額 均し賃料(月額)
6ヶ月 30ヶ月 ‭180,000,000‬円 ‭5,000,000‬円
12ヶ月 24ヶ月 ‭144,000,000‬円 ‭4,000,000‬円

このように、フリーレント期間が長いほど、均し賃料が低くなり、賃料負担が軽減されることが分かります。
もちろん、フリーレントを含む契約期間終了後、次回の契約更新時にはフリーレント期間が設定されないため、賃料負担が増える点には注意が必要です。

■フリーレントの注意点
フリーレントの注意点は、以下の通りです。

・会計上の処理について
・フリーレント期間中、全てが免除対象ではない
・中途解約の際に違約金が発生することも

メリットだけなく注意点の確認も必要です。それぞれ詳しく解説します。

会計上の処理
毎月の賃料を契約書上の月額賃料ではなく、均し賃料で会計処理するには、以下の2点の適用条件を満たすことが必要です。

・契約期間が定まっていること
・途中解約ができないこと

具体的には「定期建物賃貸借契約」の場合、もしくは「普通建物賃貸借契約」で契約期間中に解約した際に、残存期間分の賃料相当額を違約金として支払う特約(中途解約違約金条項)がある場合です。これらの条件を満たしている場合、毎月の賃料をフリーレント期間を含めた全期間で按分計算する「均し賃料」で、計上することが可能です。
例えば、月額賃料600万円で契約期間3年間(36ヶ月)、フリーレント期間が1年間(12ヶ月)の場合。1億4400万円を3年間の契約期間全体で按分し、年間賃料4800万円として計上します。これにより、実際の賃料負担がない期間でも平均賃料負担額の計上が可能なため、適切な経費計算が可能になります。なお、会計上の処理に関しては、国や地域の会計基準や法規制により異なるため、処理を行う際には、専門家の意見を求めることが重要です。

▽関連記事
定期建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約の違いとは?オフィスで 借りるときのポイントも解説


フリーレント期間中、全てが免除対象ではない
フリーレント期間中でも、契約内容によっては管理費や共益費が発生するため予め確認が必要です。先述した通り、「完全フリーレント」という特約がある物件も存在します。この場合、賃料だけではなく共益費相当額も免除されるため、初期費用をさらに軽減できます。しかし、完全フリーレントの特約は物件によって異なるため、契約前に必ず条件を確認し、どの費用が免除されるのかを明確に理解することが重要です。

中途解約の際に違約金が発生することも
フリーレント期間を含む賃貸借契約では、中途解約に際し違約金が発生する場合がほとんどです。中途解約の可能性がある場合は、違約金の金額や支払条件を事前に確認しておくことが重要です。必要に応じて税務や保険に関する専門家のアドバイスを求めることが望ましいでしょう。

その他の賃料免除方法

フリーレントの他にも、移転費用負担を軽減させることができる仕組みとして以下のようなものがあります。

・段階賃料
・レントホリデー

それぞれ詳しく解説します。

■段階賃料
段階賃料はフリーレントと似ていますが、一定期間の賃料を免除するのではなく、契約開始時の賃料を低く設定し、段階的に賃料を引き上げる契約です。この契約は特にオフィス移転の際に効果的で、旧オフィスと新オフィスの賃料の二重支払いが発生する期間がある場合、初期の費用負担を軽減することが出来ます。段階賃料の具体例は、以下の通りです。

・契約開始後の月額賃料を、1年目は300万円、2年目は350万円、3年目以降は400万円とする
・契約開始後の月額賃料を、1年目は25%減、2年目は15%減、3年目以降は契約書上の賃料とする

このように段階的に賃料を上げ、残期間ごとに割引率を減らしていくパターンが一般的です。
段階賃料の仕組みは、初期段階での賃料負担を軽減できるため、ビジネスの成長過程にあるベンチャー企業などにとってメリットが大きい契約方法です。

■レントホリデー
レントホリデーは、契約期間内に分割して賃料免除期間が設定される仕組みです。フリーレントは契約開始直後の一定期間の賃料を免除する契約ですが、レントホリデーは契約期間中、任意の時期に賃料免除期間を設定できます。初期費用を抑えたい場合はフリーレント、毎年の費用を抑えたい場合はレントホリデーが適しています。具体的例は以下の通りです。

・3年契約で6ヶ月のレントホリデーの場合、3年間は毎年(任意の期間で)2ヶ月分の賃料が免除される。


ここまでにご紹介した様々な契約について、まとめると以下の通りです。

賃料免除方法 特徴
フリーレント 契約開始後、一定期間賃料が免除となる賃貸借契約 契約開始から数ヶ月間、賃料免除
段階賃料 契約開始時の賃料を低めに設定し、段階的に賃料を上げる賃貸借契約 移転後1年目は月額300万円、2年目は350万円、3年間目以降は400万円
レントホリデー 契約期間内の任意の時期に、分割して賃料免除期間が設定される賃貸借契約 5年契約で5か月のレントホリデーの場合、毎年1ヶ月の賃料免除

まとめ

オフィス移転には多額のコストがかかります。特に、新オフィスの賃料は今後の経営にも関わる大きなポイントです。フリーレントや段階賃料、レントホリデーといった契約方法、また均し賃料という考え方を理解していると、移転候補先選定の際にも役立つでしょう。

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