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オフィス移転時は「ペーパーレス化」を推進するチャンス!社内ルール化のポイントなどを解説

オフィス移転は、様々な社内ルールを見直す良い機会となります。書類削減を推進する過程で、「ペーパーレス化」を社内ルールとして導入してみてはいかがでしょうか。本記事ではペーパーレス化のメリットや、導入の手順、注意点について解説します。

オフィス移転時には、新しいオフィスのレイアウトや収納量に合わせて大幅な「紙」書類削減が必要になることがあります。社内全体の書類量を把握し、削減を推進することは負担のかかる業務ですが、これまでの社内ルールを見直して「ペーパーレス化」を導入する良い機会にもなります。書類は削減しようとしない限り、増えていくものです。オフィス移転を検討する段階で、現在の社内の書類量を把握し、適切な収納・管理の方法、削減方法、さらには不要な書類を今後増やさないために、「ペーパーレス化」できる業務についても検討する必要があります。本記事では、オフィス移転時に「ペーパーレス化」を推進する手順などについて解説します。

現オフィスの「紙」書類量を把握する

オフィス移転時に書類量を見直す際には、まず「保管書類量の確認」、その次に新しいオフィスでの「収納スペースの確保」、そして「保管方法の検討」を行います。

■保管書類量の確認
社内の書類は、大きく分けて「個人書類」と「共有書類」があります。共有書類の中には、保管期間が法令で定められている重要書類もあるため、今後も保管が必要な書類と、処分しても問題がない書類の精査を行います。また、保管期間が過ぎた書類の処分漏れが無いかも見直します。保管が必要な書類が多いほど、移転後の収納スペースも多く必要になるうえ、移転作業にも時間がかかるため、慎重に精査しましょう。

また、書類量の単位として「ファイルメーター(fm)」という考え方があります。A4サイズの用紙を1m積み上げた量を「1fm(ファイルメーター)」といいます。(A4用紙約1万枚分)例えば、オフィスで使用される一般的なキャビネット(横幅800mm)1段に満杯の書類が保管されている場合は「0.8fm」となります。(※キャビネットの奥行寸法は考慮しない)このキャビネットが3段の場合は0.8fm×3=2.4fmとなります。
ファイルメーターは、おおよその書類量を把握する際に有効です。現状オフィスの書類量を確認するために、まずはファイルメーターを算出しましょう。個人書類の削減について社内通知をする際にも、削減量の目安としてファイルメーター(単位)を基準にするとわかりやすくなります。

■収納スペースの確保
次に、収納に必要なキャビネット等の数を計算します。移転先のレイアウトに落とし込み、オフィス全体の何%程度が収納スペースとして必要なのか、またどのぐらい書類削減が必要なのかを検討します。

■保管方法の検討
そのまま紙媒体での保管が必要な書類の他、データ化を行った上で廃棄が可能な書類については、移転前に作業を行い、社内ストレージ等へ保存しましょう。また、閲覧頻度が低い重要書類などは外部倉庫で保管するという方法もあります。各書類をどのような形で保管するのか、改めて見直すことをお勧めします。

書類をペーパーレス化する方法

現オフィスの書類量が多く、新オフィスの収納 スペースに収まらない場合 、社内全体で書類の削減を行い、さらに移転後に書類を増やさないためにも「ペーパーレス化」を推進する必要があ ります。まずは、書類削減に関するルールを定め 、ペーパーレス化に向けたツールを選定します。並行して、今後発生する予定の書類をペーパーレス化する手順も同時に確立する必要があります。ここでは、個人書類の削減方法や、既存書類をペーパーレス化する方法などについて説明します。

■個人書類の削減目安を設定する
共有書類だけではなく既存の個人書類についても削減が必要です。例えば一人当たりのファイルメーターを1fmから0.8fmに削減するなど、削減目安を設定することで、個人で行う書類削減の目標が明確化され、作業も進めやすくなります。また、廃棄書類の中には個人情報や機密情報が含まれる場合があります。社内全体でそのような廃棄書類をまとめて、溶解処理を行う(発注する)などの業務も必要になります。

■既存の書類をペーパーレス化する
既存の書類をペーパーレス化する方法としては、スキャナーで読み取りを行い、電子化する方法が主流です。書類が大量にある場合には、書類を全て電子化してくれるスキャニングサービスを利用する等、アウトソーシングを検討するのもひとつの方法です。手書きの書類においては、OCR(※)を活用するのもおすすめです。昨今では「AI-OCR技術」が進歩しており、かなり正確な文字認識が可能となっています。
また、書類をペーパーレス化(電子ファイル化)した後は社内ストレージへ保存し、きちんと社内共有を行い、いつでも過去書類を簡単に検索できる環境にしておくことも大切です。
(※Optical Character Recognitionの略で、活字や手書き文字などを画像データとして取り込み、編集可能なテキストデータに変換する技術のこと)

■今後発生する書類をペーパーレス化する
書類の発生をおさえるために、取引先へ送付する帳票や請求書を電子ファイル化するなど、ペーパーレス化を推進するツールの導入も検討しましょう。送ったデータを社内ストレージに保存しておけば、書類のようにキャビネット内を探す手間が省けるため、業務効率化にも繋がります。
例えば、社外との契約関連業務では、電子署名ツールなどを導入することもできます。契約書原本の発送や押印などをWebシステム上で行うことができ、出社や郵送の手間も省けます。
また、社内システムにおいても、会計システムや人事管理システム、電子決裁システムなどを導入する方法があります。領収書や給与明細をペーパーレスで共有・処理できる仕組みを構築することで担当部署の業務負担も軽減できます。稟議書などもWeb上で確認ができるため、書類回覧に時間をかけずスムーズに業務を完結できます。また、各書類を電子ファイル化することで管理が容易になるうえ、書類格納日や申請日などもデータとして残すことができます。このように、業務電子化のメリットは数多く挙げられます。

業務ペーパーレス化の流れ

社内の「ペーパーレス化」を円滑に進めるためには、下記の手順を踏むことが重要です。

・関係者の理解を得る
・書類を使用している業務を洗い出す
・必要な機器やシステムを選定する
・社員に書類削減方法、新たなルールを周知する
・運用を開始する

新たなツールやフローを導入する際は、社員がその運用に慣れるまで時間がかかります。ペーパーレス化においても業務効率の向上を実感できるまで、しばらく時間を要するでしょう。社内へのこまめな周知や関係各所との調整を綿密に行い、円滑に進められるように手順に沿って行いましょう。

■関係者の理解を得る
まず、経営者層など関係者の理解を得るところから始めます。ペーパーレス化を目指す目的と、自社にとっての必要性をしっかり伝える必要があります。万が一、決裁者がペーパーレス化に前向きでない場合は、まずツールの使いやすさや業務効率化が図れることを十分に説明し、理解してもらいましょう。

■書類を使用している業務を洗い出す
ペーパーレス化によってどの業務が効率化できるかを判断するためにも、書類を扱っている部署・業務の洗い出しを行います。一般的には契約書や領収証・請求書、給与明細などを扱う管理部門が該当します。法令により紙での保管義務がある書類などもあるので、ペーパーレス化を行う際には担当部署に確認し、精査することが必要です。
ペーパーレス化によって、請求書のコピーや給与明細の封入作業、社員から預かった領収書のファイリングなど、多くの工数を削減できることが予測されます。また、先述した社内書類(稟議書・決裁書類など)についても電子決裁システムを活用することで、書類削減だけではなく、業務の効率化にもつながります。

■必要な機器やシステムを選定する
次に、目的に合ったシステムの選定を行います。書類を電子化するためのツール(スキャナーなど)のほか、各業務をペーパーレス化するための電子決裁システムや、経費精算システム、電子署名システムなどを検討します。しかし、ツールの選定を誤ると業務効率化どころか余計な工数の増加につながります。書類を使用している業務を洗い出す段階で、業務の担当部署に業務フローの確認などを行い、既存業務の問題点などもしっかり把握しておきましょう。

■現場の社員に周知する
ペーパーレス化のための新しいシステム・ルールが決まり次第、社内全体に周知します。説明会などを実施し、運用方法の共有と、ツールを使用することで得られるメリットなどを伝えます。新しいツールの導入は、少なからず従来の運用方法を変えることになります。運用方法の変更による現場の混乱を軽減するためにも、きちんと変更点を周知しておくことが大切です。

■ツールを使った運用を開始する
社内への周知後は、いよいよツールの導入です。導入して終わりではなく、定期的に振り返りを行いましょう。正しく運用されているか、運用ルールは適切かなどの振り返りと併せて、どれほどの業務効率化が実現できているのかも確認すると良いでしょう。新しい取り組みには、現場の混乱や問題発生がつきものです。その都度原因を解明し、必要に応じて運用ルールをブラッシュアップしていくことも重要です。

業務ペーパーレス化のメリット

紙媒体での業務に慣れている場合、直接メモを書き込める便利さや、手元に書類がある方が説明しやすいといった理由から、ペーパーレス化になかなか前向きになれないケースもあります。また、電子ファイルはシステム障害の影響で一時的に閲覧できなくなったり、情報が流出するリスクがあるため、セキュリティの観点からも経営層をはじめ、関係者がペーパーレス化に消極的になることも考えられます。
さらに、導入コストがかかる点でもペーパーレス化が敬遠されることがあります。新たなツールやクラウドサービスの契約が必要になるので、多少のコストがかかってしまうのは避けられません。しかし、書類を電子ファイル化する手間を考えると導入の設備投資は有効といえます。
業務のペーパーレス化は、オフィスの収納スペース削減、書類管理の簡略化など多くのメリットがあります。データでのやり取りを主流にすることでリモートワークなどの多様な働き方にも対応しやすくなります。

ウイングアーク1st株式会社が、売上100億円以上の企業の請求書関連業務に携わる会社員531名を対象に実施した「企業間取引の電子化に関する実態調査」(2023年)によると、「社外との商取引に関して、どの程度電子化が進んでいますか」という質問に対して、「完全電子化」との回答が7.9%、「80%以上電子化」が19.4%、「50%以上80%未満の範囲で電子化」が24.7%でした。合わせて52.0%の企業で電子化が進んでいるという調査結果でした。
同社の前年の調査と比較すると、完全電子化した企業が2.7pt増加しており、電子帳簿保存法やインボイス制度に向けた対応に伴い、対応が進んだと考えられます。また、SDGsの観点からも今後ますますペーパーレスが主流になっていくでしょう。
参考:ウイングアーク1st株式会社/「企業間取引の電子化に関する実態調査」を実施/2023年2022年

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オフィスのペーパーレス化を推進する際の注意点

ここまで、ペーパーレス化を推進する上での手順やメリットなどもご紹介しましたが、いくつか注意点もあります。

■社員や経営層のICTスキルを考慮する
ペーパーレス化に向けたツールの選定をする際に、社員や経営層のICTスキル(※)を考慮することも重要です。ICTスキルと一口に言っても、文字入力などの基本操作からデータ分析・プログラミング等までそのレベルは実に幅広く、個人差があるものです。社内全体のスキルレベルを見極め、スキルが低い人でも使える、分かりやすいツールを選定しましょう。
例えば、定期的に社員向けの研修を行うことでスキルレベルの底上げを図る方法もあります。新しいツールの使用に苦手意識を持つ社員に対しては研修期間を設けるなど、円滑にペーパーレス化を進められるようにしましょう。
(※デジタルデバイスやデジタルツールといったテクノロジーを有効に活用するスキルを指す)

■ペーパーレス化対象外の書類を把握しておく
書類の中にはペーパーレス化しない方が良いものもあります。具体的には防災マニュアルや、法令で保管が義務付けられている書類、緊急時にすぐ閲覧する必要がある書類などです。
特に災害時には電気が使えないという事態も想定されるため、避難経路や緊急連絡網などを記載した防災マニュアルなどは紙媒体で保管し、すぐに確認できるようにしておきましょう。

■通信障害やシステム障害に備えておく
システム障害の影響などで一時的にデータを閲覧できなくなるリスクがあるため、事前に対策をしておきましょう。例えば、データのバックアップを取っておいてシステム障害時にも運用できる環境を構築したり、クラウドサービスを活用して障害が起こった場合でも通常通り業務を行える環境を整えておく、などが挙げられます。


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