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再生可能エネルギーを導入したオフィスビルとは?メリットや種類・注意点を解説

オフィスビルに広がる再生可能エネルギー導入について詳しく解説。太陽光や風力などの種類、導入メリット、注意点を整理し、移転や入居時に押さえておきたいポイントを紹介します。

近年、オフィスビルでは再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいます。地球温暖化対策としての脱炭素化は世界規模で大きな課題です。太陽光や風力などで発電した電力を活用したオフィスビルが大手不動産会社によって次々と建設されています。同時に、オフィスを借りる企業もRE100(企業による100%再生可能エネルギー利用)やSDGs(持続可能な開発目標)、ESG経営(環境・社会・企業統治に配慮した経営)への意識の高まりから、このようなビルへの関心が高まっています。こうした再生可能エネルギー導入は、単なる環境配慮にとどまらず企業戦略の一部となっているといえます。本記事では、オフィスビルと再生可能エネルギーの関連性やメリットを紹介します。

これからのオフィス選び、再生可能エネルギー対応が重要な理由とは

近年、日本国内で再生可能エネルギーを活用したオフィスビルが急速に増加しています。2020年10月、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言しました。さらに2030年度までには温室効果ガス排出量を2013年度比で46%削減する目標を掲げています。国際的にも動きがあり、2023年の気候変動会議では、世界全体の再生可能エネルギーの設備容量を2030年までに3倍にする目標が決まりました。この流れを受け、大手不動産会社も積極的に再生可能エネルギー導入に取り組んでいます。
一方、オフィスを借りる企業からも環境に配慮したビルへの要望が増加。そのため、環境への配慮がオフィス選定におけるひとつの基準となっています。

■企業活動に環境への配慮が欠かせない時代に

企業にとって、自社の温室効果ガス排出量を減らすことが早急に取り組むべき問題となっています。特に重要なのが、Scope2と呼ばれる他社供給の電力使用による間接的な排出量の削減です。この背景には、SDGsやRE100といった国際的枠組みへの対応が求められていることがあります。こうした企業の環境意識の高まりに加え、グローバル企業や機関投資家達も選定基準をサステナビリティ重視へと変えてきました。その結果、取引先からオフィスの再エネ導入状況を問われるケースが増加しています。
さらに、東京都では、大規模事業所に温室効果ガスの排出量削減を義務付ける「キャップ・アンド・トレード制度」など行政施策も再エネ導入を後押ししており、法律による規制と市場からの要求の両方から、再生可能エネルギーを使用するオフィスビルへの需要が高まっているのです。

再生可能エネルギー対応オフィスが企業にもたらす3つのメリット

再生可能エネルギーを使用しているオフィスビルに入居することは、環境への配慮と企業の利益を両立させる賢い選択といえます。具体的にどのようなメリットがあるのか紹介します。

■CO2排出量削減で環境目標を着実に達成

再生可能エネルギーを導入すると、オフィスからのCO2排出量を確実に減らすことが出来ます。日本国内の温室効果ガス排出量のうち、オフィスなどの業務部門が約2割を占めており、この部門の排出源の多くが電力使用(Scope2)であるため、使用する電力を再生可能エネルギーに切り替えることは、確実かつ効果的な対策となります。
こうした取り組みは、企業の取引先も含めた事業全体の削減目標達成にも繋がります。また環境への配慮を求める取引先に対しても、具体的な対策の実績を示せるようになり、ビジネス上の信頼関係も強化できるでしょう。



■法規制や将来的なリスクへの対策

CO2排出量規制の強化やエネルギー価格の上昇に備えることは、企業の将来的な経営にとって重要です。環境性能の高いオフィスを選ぶことで、東京都のような先進的な環境規制が全国に広がる前に、事前に対策を講じることができます。
また、再生可能エネルギーの導入を支援する政府や自治体の補助金や税制優遇を利用すれば、導入にかかる費用を抑えることができます。さらに、今後強化されるかもしれない環境関連の法律や規制にも柔軟に対応できるため、将来の経営リスク軽減にも繋がります。



■環境配慮が企業価値を高める

持続可能な社会づくりに貢献することは、今や企業にとって欠かせない取り組みとなっています。近年、事業運営に必要な電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とした国際イニシアチブに対応した物件が増加しています。これに参加している企業は、トラッキング付非化石証書を利用することで、 発電所の詳細情報(種類、所在地、発電方法など)が可視化され、自社が調達している再生可能エネルギーの詳細を明確に説明できます。
このような環境への配慮は、投資家や取引先に対して、企業の社会的責任への真剣な姿勢を示すことになります。その結果、環境・社会・企業統治を重視するESG投資での評価も高まると期待できます。さらに、具体的な脱炭素化やサステナビリティ経営の実績をアピールでき、企業の年次報告書などでその成果を報告することもできます。
また環境に配慮したオフィスを選ぶことは、企業のブランド価値を大きく高める効果があります。企業のウェブサイトやプレスリリースで「環境に優しいオフィス」への入居を積極的に発信することで、企業の外部イメージを向上させることができるでしょう。

再生可能エネルギーを活用したオフィスビルの種類と事例

再生可能エネルギーを活用したオフィスビルとは、太陽光、風力、地熱、バイオマスなどの自然エネルギーを利用して電力を得る建物を指します。これらの再生可能エネルギーは、石油や石炭と違って二酸化炭素(CO2)を出さず、繰り返し利用可能なエネルギーです。
物件の形態としては、共用部のみ再生可能エネルギー化しているものから、テナント専有部まで含めて100%再生可能エネルギーで運用しているものまで様々です。また、新築オフィスビルだけでなく既存ビルにも再生可能エネルギーの導入が進んでいます。
設備導入が難しいオフィスビルでは、非化石証書を利用して間接的に再生可能エネルギーを調達するケースも増えています。

■非化石証書やグリーン電力の仕組み

非化石証書とは、化石燃料を使用しない発電方法(非化石電源)で作られた再生可能エネルギーの「環境価値」を証明する制度です。この制度では、電気の供給と環境価値を分離し、環境価値のみを証書として取引できます。使用する電力が化石燃料由来であっても、証書を組み合わせれば実質的に再生可能エネルギーを使ったとみなされます。
大手不動産会社は、この非化石証書を活用したグリーン電力サービスを展開しています。このサービスの特徴は、テナントごとの利用や導入割合の調整が可能なことです。企業は自社の方針に合わせて段階的に再生可能エネルギーへ移行できます。
非化石証書には、より詳細な情報が記載された「トラッキング付非化石証書」があります。この証書には、発電種別、発電所名、所在地、運転開始時期などの属性情報が含まれています。RE100のような国際的なイニシアチブに報告する際は、このトラッキング付非化石証書の使用が必要です。



■最新の導入事例

丸の内や渋谷などの主要ビジネス街では、100%再生可能エネルギーを導入する物件が増えています。都市部でも再エネへの関心が高まり、建物全体での活用が進みつつあります。
三菱地所、三井不動産、住友不動産といった不動産大手各社は、新しい再エネ導入の仕組みを積極的に展開しています。電力会社との連携を通じて、証書を活用した柔軟なサービスの提供を整えてきました。
地熱発電を使ったオフサイト型の調達方法も注目を集めています。自社の敷地外の発電所から電力を引き込む手法は、場所の制約が厳しい都市部でも効果的な選択肢となるでしょう。
また、テナントごとに再エネプランを選択できる形式も広がりつつあります。これにより、企業は自社のニーズや環境方針に合わせて再エネ利用を調整できるようになっています。

オフィスビルで活用される再生可能エネルギーは、立地条件やビルの特性に応じて多様な種類が導入されています。都市部から郊外まで、それぞれの環境に適した再生可能エネルギーの活用方法を詳しく紹介します。



■再生可能エネルギーの活用

太陽光発電

オフィスビルで特に導入が進んでいるのが太陽光発電です。屋上や駐車場の上部にパネルを設置する方法に加え、外壁や窓に太陽光パネルを組み込む建材一体型太陽光(BIPV)も普及しつつあります。この技術は、都市部の高層ビルでも外観を損なわずに導入できるため、デザイン性、実用性を両立できる利点があります。
発電量が昼間に集中する点は、業務時間帯の需要に適しており、購入電力の削減やピーク料金の抑制に繋がります。さらに余剰電力は電力会社へ売却するだけでなく、近隣施設と共有し、自己託送制度を利用して複数拠点で使う仕組みも整ってきました。このように建物単体のみならず地域全体で再生可能エネルギーを効率的に活用する取り組みが広がっています。

風力発電

風力発電は風の状況に左右されるため適切な立地選びが重要ですが、条件が合えば安定的に電力を得られます。最近では、都市部でも利用可能な小型風力発電機の開発が進んでおり、ビルの屋上や壁面に設置するケースも増えています。風力発電は、夜間も発電可能なため、太陽光発電と組み合わせることで24時間の電力供給に貢献します。

地熱発電

地熱発電は昼夜や天候に影響されにくく、年間を通じて安定した発電が可能です。都市部のビル単体では設置するのは難しいですが、遠隔地の地熱発電所と契約を結び、その電力を供給源として利用する動きが増えています。地熱発電は、CO2排出量が極めて少なく、再生可能エネルギーの中でも特に環境負荷の低い電源として注目されています。

バイオマス発電

廃棄物や木質資源を燃料とするバイオマス発電は清掃工場などで導入され、発電した電力や熱を地域のビルへ供給しています。
バイオマス発電の特徴は、廃棄物の有効利用と再生可能エネルギーの生産を同時に実現できる点です。



これらの方式は立地や設備条件に合わせた導入が求められますが、組み合わせて利用することで電力の安定性を高め、環境負荷の低減にも役立ちます。

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■オフサイト型PPA(電力購入契約)の活用

都心のオフィスビルは敷地が限られるため、太陽光パネルを十分に設置できないケースがよくあります。この課題に対応するために活用されているのがオフサイト型PPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)です。
オフサイト型PPAは遠隔地の再生可能エネルギー発電所と長期契約を結び、そこで発電した電力を都市部のビルで利用する仕組みです。電源は太陽光に限定せず、風力や地熱発電など複数の再生可能エネルギー源を組み合わせることも可能です。また蓄電池を取り入れて、供給を安定させる取り組みも行われています。この仕組みの大きな利点は、ビル自体に発電設備を設置しなくても再生可能エネルギーを使用できることです。また、長期契約を結ぶことで電力価格の変動を抑制でき、企業にとってはエネルギーコストの予測が立てやすくなります。
さらに、オフサイト型PPAを通じて再生可能エネルギーを安定的に確保できることは、企業の脱炭素経営を推進する上で重要な役割を果たします。このように、オフサイト型PPAは都市部のビルにおける再生可能エネルギー利用を促進し、持続可能な都市開発に貢献する有効な手段となっています。

再生可能エネルギー対応オフィスを選ぶときの注意点

オフィスビルで再生可能エネルギーを導入する動きは広がっています。ただし導入の方法や契約条件は物件ごとに異なります。ここでは、知っておきたい注意点を紹介します。

■「再エネ比率」や導入範囲の違いに注意

ビルによっては、再生可能エネルギー(再エネ)の導入範囲が共用部のみに限定されている場合があります。このような物件では、テナントが専有部で使用する電気は従来の電源と変わらない可能性があります。そのため、契約前に自社が使用する区画が再エネ導入の対象に含まれているかを確認することが重要です。また「100%再エネ」と表示されていても、建物全体に適用されているのか一部のエリアだけなのかで意味が大きく変わります。さらに非化石証書やグリーン電力証書などを利用する場合は、どの年度に発行されたものか、償却(使用済み処理)が正しく行われているかも確認しなければなりません。テナントとして入居を検討する際や、自社ビルでの再エネ導入を計画する際には、これらの詳細を十分に確認し、実際の再エネ利用状況を正確に把握することが大切です。



■コスト面や入居条件の最新動向

再生可能エネルギーを利用する電気料金には、従来の契約と比較して、高めになる場合もあれば、大きな違いが生じないこともあります。中には、入居者に追加費用を求めない仕組みを採用しているビルもあるため、各物件の条件を細部まで確認することが重要です。長期契約を前提とする再エネ契約の場合、料金の安定性というメリットがある一方で、契約期間中に条件を変更することが難しいという点に注意が必要です。また、再エネ利用の証明に用いられる非化石証書やグリーン電力証書の取り扱いも、物件によって異なります。これらの証書の取得や償却(使用済み処理)をビル側が代行するケースもあれば、入居者が直接対応するケースもあります。
これらの点を事前に確認し、理解しておくことで、入居後に想定外の負担や手続きが発生するリスクを軽減できます。



■今後増える新しい導入モデル

再生可能エネルギーの導入方法は近年多様化が進んでいます。自家発電と電力会社からの調達を組み合わせるハイブリッド方式は、安定した電力を確保しながら再エネを有効活用出来る方法として利用が広がっています。さらに進んだ取り組みとして、バーチャルパワープラント(VPP)の仕組みを活用する例も増えています。VPPは複数の拠点をネットワークで結び、電力の需給を効率的に調整する仕組みで、より柔軟で効率的な電力利用が可能になります。
また、地域レベルでの電力の有効活用も進んでいます。余剰電力を地域内で融通し合うモデルの整備が進み、電気をより効率的に利用する動きが広がっています。
これらの新しい方法は、今後の再エネ利用の主流になると予測されます。そのため、オフィスビルを選択する際には、建物自体の設備だけでなく、こうした先進的な電力利用の仕組みが導入されているかどうかにも注目することが重要です。

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これからのオフィスビル選びでは、サステナビリティ視点が重要

オフィスビルを選ぶ際には、省エネ性能や再生可能エネルギーの導入状況など、環境への配慮が大きな判断基準になっています。社会や投資家の環境への関心が高まる中で、サステナビリティ経営やCO2削減を重視する企業にとって、再エネを取り入れたビルへの入居は、社会的信頼や企業イメージの向上につながる可能性があります。
移転や新規入居を検討する際には、導入されている再エネの種類(太陽光、風力など)や利用範囲(共用部のみか専有部も含むか)に加え、非化石証書やグリーン電力証書の取得・管理に関するサポート体制も比較して確認することが欠かせません。
こうした環境面での視点を持つことが、これからのオフィス選びにおいて重要です。環境への取り組みが企業評価に直結する時代において、オフィス選びは単なる物件選定ではなく、経営戦略の一環として捉える必要があるでしょう。

当社では環境に配慮した物件も多く取り扱っております。オフィスに関するご相談は下記URLよりお気軽にお問合せ下さい。


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