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オフィスビルのセキュリティを徹底解説!企業の信頼と従業員の安心を守る方法

企業の信頼と従業員の安心を守るオフィスビルのセキュリティについて、知っておきたい基本情報やメリット・デメリット、選び方のポイントをまとめました。変化する働き方とビジネス環境に合わせ、今知っておくべき情報を凝縮。安全なオフィス環境づくりにお役立てください。

オフィスビルに求められるセキュリティの水準は年々高まっています。人や情報が集まる場所だからこそ、侵入や盗難、災害などのリスクに備えなくてはいけません。一口に「セキュリティ」といっても、ネットワークセキュリティや情報漏洩対策といったデジタル分野から、防犯カメラの設置、入退室管理、災害時の避難誘導など、建物全体での防犯や安全対策まで多岐にわたります。本記事では、特にオフィスビルで実施される「施設や設備を通じたセキュリティ対策」に焦点を当てて解説します。
オフィスビルのセキュリティを理解し、理想的な職場環境づくりにお役立てください。

オフィスビルのセキュリティとは?

オフィスビルのセキュリティとは、企業の大切な資産である「人」や「情報」を守るために行われる様々な対策のことです。これには、防犯カメラや入室管理システムといった設備の導入だけでなく、アクセスルールの設定や情報の取り扱いに関する運用ルールの整備も含まれます。
例えば、来訪者の動線を執務エリアと分けることや、災害時の安全体制を整えることは基本的な対策です。また、機密性の高い資料を管理する書庫に鍵をかけるといった初歩的な取り組みも重要な要素です。こうした対策を通じて、企業は従業員が安心して働ける環境を整え、企業資産を守っています。

■オフィスビルにおけるセキュリティの重要性

労働契約法第5条では、『使用者は労働者がその生命や身体の安全を確保しつつ働ける環境を整える義務を負う』と定められています。この義務は、正社員だけでなく派遣社員や外部委託先の従業員など、同じ環境で働く全ての人に適用されます。そのため、オフィスビルにおいても安全性を確保する取り組みが求められます。
特に、オフィスビルには複数のテナント企業が入居していることが多く、従業員だけでなく、取引先や来訪者など、さまざまな人々が頻繁に行き交う場となります。そのため、ビル全体で安全性やセキュリティ対策を徹底することが重要です。一方で、単独の企業が使用するビルであっても、来訪者の管理や立ち入り制限など、基本的なセキュリティ対策を講じる必要があります。
セキュリティが不十分な場合、具体的なリスクとして以下のような事態が考えられます。

機密情報の漏洩

従業員や外部の人間が不正に情報を持ち出すことで、企業の信用が失墜し、取引先や顧客からの信頼を失うだけでなく、多額の損害賠償につながる可能性があります。

侵入者による危害

不審者がオフィスに侵入し、従業員に危害を加えるといった事件が起こるリスクがあります。

窃盗

現金や貴重品、機密書類の盗難などによる直接的な被害が発生する可能性もあります。



こうしたリスクに対応するためには、物理的なセキュリティ対策と情報管理体制の両面からのアプローチが欠かせません。オフィスビルのセキュリティは、従業員が安心して働ける環境を整えるだけでなく、企業の信用や資産を守るための基盤となります。

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■代表的なセキュリティシステム

オフィスビルの安全を守るためには、さまざまなセキュリティシステムの導入が重要です。ここでは、代表的なセキュリティシステムをいくつかご紹介します。これらのシステムを組み合わせて運用することで、より高いレベルのセキュリティを実現できます。

警備員

警備員

警備員による人的警備は、オフィスビルの安全を守るために重要な役割を担う存在です。受付や巡回業務を通じて、不審者の侵入を防ぎ、建物内の安全を確保します。AIや監視カメラなどのテクノロジーが進化する中でも、警備員を配置することで、機械では感知しにくい異常や不審な行動を発見し、柔軟に対応できる点が大きなメリットです。例えば、不審な行動を取る人物の動きを見極め、速やかに適切な対処を行うことは、警備員ならではの強みと言えるでしょう。
さらに、警備員は来訪者の直接対応や、トラブル時の現場判断、緊急時の避難誘導など、多岐にわたる業務を担います。これにより、機械的なセキュリティシステムの補完役としてだけでなく、心理的な安心感を提供する存在としても、重要な役割を果たします。



受付

受付

オフィスビルの「受付」は、セキュリティシステムの第一防衛線として重要な役割を担います。訪問者の身元確認や入館手続きを通じて、許可された人物のみが建物内に入れるよう管理し、不審者の侵入を防ぎます。受付スタッフが常駐している場合、直接の応対を通じて不審な挙動を察知し、よりきめ細やかな対応ができる点が大きな特長です。



施錠システム

施錠システム

施錠は、オフィスビルの物理的なセキュリティとして欠かせない基本的な対策です。南京錠や通常の鍵付きドアなど、従来の施錠方法は手軽で導入しやすい一方、近年ではスマートロックや電子錠も広く普及しています。これらはICカードや暗証番号、指紋認証などを活用して、高度なアクセス制御や入退室記録の管理を可能にします。
施設やエリアごとに適切な施錠システムを選ぶことで、不正な立ち入りや情報漏洩を防ぎ、従業員や資産を安全に保護することができます。



セキュリティゲート

セキュリティゲート

セキュリティゲートは、オフィスビルのエントランスや特定のエリアに設置される、駅の改札のような通行ゲートで、ICカードやQRコードをかざす「カードリーダー」や「顔認証」などで認証された人だけが通過できる仕組みです。代表的な形式には、ゲートの中央部分が開閉して通行を制限するフラッパー式、棒状のアームが回転するアーム式などがあります。こうしたセキュリティゲートは、不正な侵入を防ぐだけでなく、入退室の履歴を記録して管理することで、立ち入り制限が必要なエリアへのアクセスを適切にコントロールできます。
セキュリティゲートは、ビルの設計段階で導入される場合もあれば、既存のオフィスビルに後付けで設置することも可能です。この柔軟性により、新築のオフィスビルだけでなく、既存の建物においてもセキュリティを強化する手段として活用されています。



エレベーター不停止機能

エレベーター不停止機能

エレベーター不停止機能は、鍵やICカード、生体認証と連動してフロアごとのアクセスを制御する機能です。認証できない場合はエレベーターが呼べなかったり、特定の階にしか停止できなかったり、不正利用や侵入を防ぎながら、フロアごとのセキュリティを高めることができます。



監視カメラ

監視カメラ

監視カメラは、オフィスビル内外の様子を記録・監視するセキュリティ設備で、不審者の侵入防止やトラブル発生時の原因究明に役立ちます。最近では、24時間常時録画に加え、管理者が遠隔地からリアルタイムで映像を確認できるシステムも普及しています。さらに、AIを搭載したカメラでは、不審な動きや特定の人物を自動で検知し、効率的な監視が可能となっています。



警備ロボット

警備ロボット

自律走行型警備ロボットは、ビル内を自動で巡回し、不審者の検知や異常の発見を行うセキュリティ設備です。搭載されたカメラやセンサーを活用し、監視カメラではカバーしきれないエリアも巡回が可能です。AI技術により、不審な動きや物音を検知すると管理者に通知する機能を備えており、効率的な警備と防犯を実現します。

セキュリティがあることのメリット・デメリット

オフィスビルにセキュリティシステムを導入する目的は、不審者の侵入防止や従業員の安全確保だけではありません。日々の業務を効率化したり、顧客からの信頼を高めたりと、企業の成長を支える多くのメリットが期待できます。ただし、導入にはコストがかかるだけでなく、従業員の働きやすさやプライバシーへの配慮も必要になります。ここでは、セキュリティシステムがもたらすメリットとデメリットの両面を分かりやすく解説します。

メリット デメリット
安全面 ・セキュリティ設備の存在自体が犯罪の抑止力になる
・不審者の侵入を物理的に防ぎ、早期検知できる
・始業・終業時など、利用者が集中する時間帯にゲート付近で混雑が発生する可能性がある
業務効率・管理面 ・勤怠管理システムと連携し、打刻の自動化や集計作業を効率化できる
・入退室データを分析し、オフィス利用状況の可視化やレイアウト改善に活用できる
・入退館履歴を正確に記録・管理できる
・システム障害や停電時に、入退館ができなくなり業務が停止するリスクがある (BCPの策定が必要)
・入退館履歴は個人情報にあたるため、保存期間の設定など適切な管理体制が必要
従業員・職場環境 ・従業員が安心して働ける環境を提供できる
・従業員満足度の向上や人材定着に繋がる
・監視カメラの存在や行動履歴の記録が、従業員の心理的な圧迫感に繋がる可能性がある
信頼性・コスト面 ・顧客や取引先からの信頼性が向上し、企業ブランドイメージの強化に繋がる
・会社や関わる人たちが安心して活動できるように、安全面での責任をしっかり果たすことができる
・初期投資だけでなく、保守・点検などの継続的な運用コストがかかる
・ICカードの管理やシステムの運用など、担当部署の負担が発生する
緊急時の対応 ・防災設備と連動し、迅速な避難経路の確保や一斉周知が円滑に行える ・システムを有効に機能させるため、定期的な避難訓練の実施が不可欠

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進化するオフィスビルのセキュリティ

AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)といった技術の発展により、オフィスビルのセキュリティは日々進化し、利便性と安全性の両立が進んでいます。ここでは、オフィスビルのセキュリティがどのように進化してきたのか、簡単に説明します。


■大型ビルで加速する最新技術の導入

最近の大型オフィスビルでは、入退館の効率化や安全性の向上を目的に、顔認証やAI監視、ロボット警備などの先進技術が積極的に導入されています。これらの技術を組み合わせることで、よりスマートで安全なビル運用が実現しています。

例えば、非接触型の顔認証や指紋認証を使うことで、混雑時でもスムーズに人の出入りを管理できます。また、施設の重要なエリアでは、複数の認証システムを併用することでセキュリティレベルをさらに高めています。さらに、人感センサーやAI搭載の監視カメラによって不審な動きなどの異常が自動検知され、24時間体制での迅速な対応が可能になっています。

これらのセキュリティ設備は、BMS(ビル管理システム)によって統合管理が進み、セキュリティ対策だけでなく、空調や照明の制御、災害時の非常用電源への自動切り替えも一元化され、ビル全体の運用効率と安全性が大幅に向上しました。

■区画内で追加できるテナント独自の対策

テナントでは、自社区画に合わせて独自のセキュリティ対策を加えることができます。 スマートロックは製品によっては簡単に設置でき、スマートフォンや指紋による解錠に対応している機種も多くあります。鍵付き書庫と併用すれば、部署単位でのアクセス制御も可能です。 視線対策にはパーテーションやパネルの設置が有効で、フィルターと併用することで覗き見を防止できます。音の漏洩対策としては、サウンドマスキングが効果的です。サウンドマスキングは、空間に「ホワイトノイズ」や心地よい音を流すことで、会話や音声を聞き取りにくくする仕組みです。これにより、会議室や執務スペースでのプライバシーを保護できます。 さらに、防犯カメラの独自設置も広がっており、クラウド録画に対応した機器なら遠隔確認も行えます。

■ビルシステムと連動したテナントセキュリティ

効率的な運用には、ビル全体とテナント設備の連携が重要です。
共用ICカードを使えば、エントランスから執務エリア、複合機まで一体管理が可能です。社員証にICチップを搭載すれば、入退室と勤怠の連携運用も行えます。
新しい設備導入時は、ビル管理会社との事前協議が必要です。連携方法や緊急対応、費用分担、保守体制を明確にしておきましょう。

■中小規模ビルでも導入が進む高度なセキュリティ

かつて、多段階認証やセキュリティゲートといった高度なセキュリティは、大規模なオフィスビルでなければ導入が難しいものでした。しかし近年、企業のセキュリティ意識の高まりとともにその常識は変わり、中小規模のオフィスビルでも高いセキュリティを誇る物件が次々と竣工し注目されています。
これにより、企業の成長フェーズや規模に合わせて、最適なサイズの高セキュリティなオフィスを選択することが可能になりました。
例えば、三菱地所が展開するコンパクトオフィス「CIRCLES(サークルズ)」シリーズは、こうした潮流を汲むオフィスです。ICカードや顔認証によるセキュリティシステムを導入し、ワンフロア専有によるプライベート性の高さと、安全性の高さも両立させています。
このように、最新のセキュリティはもはやビルの規模を問いません。自社の事業内容や取り扱う情報、従業員数に合った規模のビルを選びながら、同時に高いレベルの安全性を確保するという、新しいオフィス選びの視点が生まれています。

▽CIRCLESに関する詳しい情報は、公式サイトをご覧ください。
CIRCLES | 人、想い、物語をつなぐオフィス。三菱地所グループの賃貸オフィスビルシリーズ
CIRCLES | 人、想い、物語をつなぐオフィス。三菱地所グループの賃貸オフィスビルシリーズ

セキュリティを維持・向上させるためのポイント

オフィスビルのセキュリティは、一度導入して終わりではありません。企業の成長や周囲の環境変化に応じて、常に最適な状態を維持するための継続的な見直しが求められます。
近年では、セキュリティ設備も進化を続け、最新技術の活用により安全性と快適性が向上しています。ただし、その性能を十分に発揮するためには、定期的な点検やアップデートが必要です。
ここでは、セキュリティを見直すべき具体的な「タイミング」と、効率的な「見直し方」のポイントを解説します。

■セキュリティを見直すタイミング

オフィス移転・レイアウト変更時

新しい環境で業務効率と安全性を両立させるための最適な設備(ゲート、入退室管理システムなど)を導入する絶好の機会です。

企業規模や事業内容の変更時

従業員の増加、サテライトオフィスの開設、または取り扱う機密情報・個人情報が増加した際は、現在のアクセス権限や監視体制が適切かを確認する必要があります。

関連法規の改正時

個人情報保護法や労働安全衛生法などの関連法規が改正された場合、法令遵守(コンプライアンス)の観点から物理的な対策も見直しが求められます。

技術トレンドの変化時

より高精度な顔認証システムや、不審者を自動検知できるAI監視カメラなど、新しい技術が登場した際も、見直しを検討するよい機会です。最新技術へのアップデートにより、セキュリティの強化はもちろんのこと、従業員のスムーズな入退場や、運用コストの削減も期待できます。

関連記事 オフィス移転時のスケジュールや社内手続きをチェックリストと共に解説!



■効率的な見直し方のポイント

見直しを行う際は、単に設備を入れ替えるのではなく、以下の観点から戦略的に進めることが大切です

現状の利用実態調査

誰が、いつ、どこにアクセスしているか、利用頻度が低い設備はないかなど、現場の従業員へのヒアリングやデータをもとに現状の課題を洗い出します。

ビル管理会社との連携

ビル側のセキュリティシステム(BMSなど)のアップデート情報や、共用部のセキュリティポリシーをビル管理会社と密に共有することで、テナント側の設備との連携強化を図り、重複投資を避けることができます。

費用対効果の再評価

最新技術は高機能ですが、必ずしも高額とは限りません。クラウド型のサービスを活用するなど、初期投資だけでなく長期的な運用コスト全体を見て、自社の予算とリスク許容度に合った最適なバランス点を探ります。

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自社に合ったセキュリティ水準で安全なオフィスビル選びを

本記事では、オフィスビルのセキュリティの重要性から、具体的なシステム、メリット・デメリット、そして最新の技術動向までを解説しました。

高水準のセキュリティは従業員に安心をもたらしますが、過度な強化は業務の柔軟性を損ない、コストを膨らませる可能性もあります。重要なのは、自社の事業内容や企業規模、取り扱う情報の種類に応じて、安全性と働きやすさ、そしてコスト効率の最適なバランスを見極めることです。
例えば、金融業界では高度な認証技術が求められる一方、クリエイティブ業界では自由度や開放性とのバランスが重視されるでしょう。また、個人情報保護法などの関連法規も随時改正されるため、法令遵守の観点からも継続的な対応が欠かせません。
こうした取り組みには、初期投資だけでなく維持や更新にかかるコストも見据えた長期的な計画が求められます。課題や不明点がある場合は、専門家に早めに相談することで、自社に合った体制を効率的に整えることができるでしょう。

三菱地所リアルエステートサービスでは、現状のオフィス課題の調査から最適なオフィス選び、移転のサポートまで、ワンストップでご提供しています。セキュリティを始め快適で安全なオフィス選びに関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。


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