かつて「工場の街」として日本のものづくりを支えた五反田・大崎エリアは、今や東京を代表する「イノベーションと副都心の街」へと劇的な変貌を遂げています。
山手線南端に位置するこのエリアは、高い交通利便性と職住近接の環境を兼ね備え、スタートアップから大企業まで多種多様なプレイヤーが集まるビジネス拠点として注目を集めています。特に近年は「五反田バレー」と呼ばれるITベンチャーの集積や大崎駅周辺のペデストリアンデッキで結ばれた巨大オフィス群の整備が進み、働き方の多様性に対応できる稀有なエリアとなりました。
本記事では、五反田・大崎エリアがなぜこれほどまでにオフィス立地として選ばれているのか、歴史的背景から現在の街の特徴、そして将来の資産価値を左右する大規模再開発の展望までを解説します。企業の成長を後押しするエリアのポテンシャルをぜひご確認ください。
五反田・大崎エリアの歴史
ここでは、目黒川の水運を利用した江戸時代の物流拠点から始まり、近代工業都市としての発展を経て、現代の先端ビジネス拠点へと至る五反田・大崎エリアの変遷をたどります。
出典:国立国会図書館デジタルコレクション「名所江戸百景 目黒千代か池 (名所江戸百景)」
■江戸〜明治期:目黒川水運と工業集積の基盤形成
五反田・大崎エリアの発展の背景には、江戸時代から目黒川が周辺の暮らしや生業を支える水利として機能し、物資の移動や生産活動の一助となってきた歴史があります。
近代に入ると、1901年に大崎駅、1911年に五反田駅が開業。従来の水利に加えて鉄道という強力な輸送手段が整備されたことで、地域の交通利便性は大きく向上しました。こうした条件に加え、目黒川沿いに広がる平坦な低地は工場操業に適しており、地価や立地条件も相まって、機械・金属加工を中心とする工場や町工場が次第に集積。かつての農村的な土地利用から、現代の都市化・産業集積の礎となる工業的土地利用へと転換を遂げました。
■戦前〜戦後復興期:工業都市としての成長と都市インフラの整備
大正から昭和初期にかけては、明電舎をはじめとする工場群の展開や関連産業の集積により、地域一帯は工業地帯として発展を遂げました。
終戦後には、大崎周辺に東京通信工業(現ソニー)が拠点を構えたことに象徴されるように、日本の先端技術を支えるものづくり拠点としての性格を強めていきます。工場での雇用拡大に伴って活気あるコミュニティが形成され、工場・住居・商店が高密度に融合した、都市近郊ならではの躍動感あふれる街並みへと進化しました。
復興期には都市機能の更新が進み、道路網の整備・拡張や駅周辺の区画整理を通じて、機能的な街の構造へと段階的に再編。物流や人の流れが最適化され、産業活動と日常生活の双方を支える都市インフラの礎が築かれました。
■高度経済成長期〜平成初期:大崎副都心構想と大規模再開発の始動
1970年代以降、産業構造の転換に伴って工場の地方移転が進むと、その広大な跡地は大規模な再開発の舞台となりました。
1982年に東京都の「副都心」の一つに指定されたことを受け、1987年には「大崎ニューシティ」が開業。これを契機にエリアの景観と機能は一新されました。再開発はその後も継続し、1999年には「ゲートシティ大崎」が誕生。
これらの開発では、建物単体の整備にとどまらず、主要施設をペデストリアンデッキや広場で結ぶ「面的な街づくり」が推進されました。結果、駅と各施設がスムーズに結ばれる立体的な都市空間が形成されました。一連の再開発によって、かつての工業的な土地利用から、高度な業務機能が集積するビジネス拠点へと、都市構造の劇的な転換を遂げました。
■平成〜現代:スタートアップ集積とハイブリッド都市への転換
2010年代後半に入ると、五反田エリアでは都心主要駅への良好なアクセス環境や、スタートアップ企業が拠点を選びやすい賃料水準などを背景に、IT系企業の集積が進みました。これにより「五反田バレー」という呼称が定着し、新たな挑戦を支えるビジネスコミュニティとして広く知られるようになっています。
一方、大崎エリアは高機能オフィスと住宅(タワーマンションなど)が共存する、成熟した複合都市へと進化。ビジネス機能と生活機能が近接・融合した、現代的な都市構造を確立しました。
近年では、2024年に「五反田JPビルディング(旧ゆうぽうと跡地)」が開業するなど、五反田でも大規模な複合開発が進展。また、大崎駅西口周辺でも再開発計画が継続しており、かつての工業地帯から、ビジネス・居住・イノベーションが交差する拠点へと、現在進行形でその姿を変え続けています。
五反田・大崎エリアの特徴
ここでは、交通アクセス、オフィスのバリエーション、産業構造、そして周辺環境やビジネス支援体制という5つの視点から、五反田・大崎エリアがオフィス立地として選ばれる具体的な理由を紹介します。
■交通の利便性:山手線・地下鉄・私鉄が重なる広域アクセス
大崎駅はJR山手線・埼京線・湘南新宿ライン、そして東京臨海高速鉄道りんかい線の4路線が利用でき、新宿・渋谷・横浜・大宮・お台場方面へ直通で繋がります。隣接する五反田駅でもJR山手線に加え、都営浅草線と東急池上線が乗り入れており、都心の主要ビジネス街から城南エリアまでを幅広くカバーする優れた機動力を備えています。
空の便へのアクセスも円滑で、都営浅草線の京急線相互直通運転による羽田空港へのダイレクト接続に加え、大崎駅西口バスターミナルからは羽田空港行きのリムジンバスが運行されています。成田空港方面へも鉄道利用を含めた複数のルートが確保されており、国内外を問わないビジネス展開を力強くサポートします。
また、神奈川・埼玉・千葉の周辺3県からもスムーズなアプローチが可能な交通網は、広域からの優秀な人材確保において戦略的なメリットをもたらします。 この充実したアクセス環境は、企業の持続的な成長を支える重要な基盤となるでしょう。
■オフィス集積:大規模再開発ビルと中小ビルが共存する多様なストック
大崎エリアには「ゲートシティ大崎」や「ThinkPark Tower」など、広大な敷地と高いBCP性能、そして効率的な大フロアプレートを備えたハイスペックな大型ビルが集積しており、大規模な本社機能を構えるニーズにも対応できる環境が整っています。
対照的に五反田周辺には、中小規模のオフィスビルや、内装済みのセットアップオフィスが豊富です。柔軟な拠点選定が可能であり、スタートアップから成長フェーズにある企業まで、幅広い選択肢を提供しています。
近年では2024年に「五反田JPビルディング」のような大規模複合ビルも誕生し、エリア内の選択肢はさらに拡充されました。駅前の主要施設とデッキで結ばれた大規模ビルから、機能性を重視した中小規模のビルまで、同一エリア内でシームレスな比較検討が可能です。企業の予算や事業規模の変化に合わせて、エリアを離れることなく拠点を最適化できる「多様な選択肢」は、この街ならではの大きな魅力です。
■産業構造:スタートアップと大企業が混在するハイブリッドなビジネス環境
五反田・大崎エリアは、多様な企業文化や組織が連携し、それぞれの強みを活かして新事業を展開する「ビジネス・エコシステム」が形成されています。
五反田周辺には、セーフィーをはじめとする成長著しいIT企業が「五反田バレー」の象徴として集い、大崎周辺にはローソンやサンリオといった日本有数の企業が本社を構えています。また、ソニーグループも、旧ソニーシティ大崎である「NBF大崎ビル」を主要拠点の一つとして継続利用しており、この地には長年培われた産業の重厚感と革新性が同居しています。
特筆すべきは、スタートアップの機動力と大企業の経営資源が、近接したエリア内で共存している点です。「品川産業支援交流施設(SHIP)」や「一般社団法人五反田バレー」による活動が触媒となり、組織の枠を超えた交流やオープンイノベーションの土壌が育まれています。業種や規模を問わず、多様なプレイヤーが身近に存在するこの環境は、新たなビジネスの創出や提携を検討する企業にとって、可能性を広げる一助となることが期待されます。
■生活・周辺環境:食・住・商業がコンパクトに揃うワーカー向け環境
五反田・大崎エリアは、高度なビジネス機能と豊かな生活利便性が共生する、職住近接に適した環境が整っています。五反田周辺は、定評のある肉料理専門店をはじめ多彩な飲食店が集まるグルメタウンとしての活気に満ち、大崎周辺は駅直結の商業施設による高い利便性を享受できる環境が整備されています。
居住エリアとしてのポテンシャルも高く、周辺には閑静な住宅街「城南五山(池田山・島津山・花房山)」の街並みが広がる一方、不動前や戸越銀座といった親しみやすい商店街も日常生活圏内に位置しています。ライフスタイルに合わせて多様な住環境を選択できる点は、このエリアが持つ大きな魅力といえます。
さらに、都市の潤いを演出する目黒川沿いの桜並木や、大規模再開発によって整備された緑豊かな公開空地など、リフレッシュに資する空間も充実しています。ビジネスの効率性とプライベートの心地よさが調和するこの環境は、ワーカーのウェルビーイング向上を支え、企業のさらなる発展を後押しする土壌となります。
■ビジネス支援:行政支援とコミュニティが強いスタートアップ支援網
五反田・大崎エリアが位置する品川区では、スタートアップの成長を後押しするアクセラレーションプログラムや各種助成金制度、さらには「品川産業支援交流施設(SHIP)」による専門的な相談支援など、積極的な創業支援策が展開されています。これに加え、一般社団法人五反田バレーによるイベントや勉強会も活発に行われており、経営者同士のコミュニティ形成や知見の共有を促す環境が整っています。
ハード面においても、コワーキングスペースやシェアオフィスから大規模オフィスまでが充実。スタートアップの創業期から事業拡大期まで、企業の成長フェーズに合わせた多彩なオフィス環境から拠点を選ぶことができます。
こうした行政・民間による多層的な支援と、エリア内に集積する大企業との連携機会が相まって、街全体にビジネスの成長を支えるエコシステムが構築されています。単なる「場所」の提供に留まらず、新たな価値創造を促す「共創の土壌」があるという側面も、多くの企業がこの地を拠点に選ぶ理由の一つとなっています。
大崎駅周辺エリアの潜在空室率・平均募集賃料
※2025年4月末時点データより、募集中の全フロアを対象とした中長期的な市場の供給状況を示す従来の「空室率」を「潜在空室率」と再定義しています。 2026年3月末時点 調査対象ビル棟数 42棟 出所:MRESデータ 2026年3月の主要大型ビルの潜在空室率は0.80%でした。 2026年3月の主要大型ビルの平均募集賃料は29,093円/坪でした。
2025年
3月2025年
4月2025年
5月2025年
6月2025年
7月2025年
8月2025年
9月2025年
10月2025年
11月2025年
12月2026年
1月2026年
2月2026年
3月潜在空室率 2.15% 3.00% 2.89% 3.01% 2.57% 2.36% 2.34% 1.28% 0.96% 0.69% 0.71% 0.43% 0.80% 平均募集賃料/坪 ¥24,724 ¥26,311 ¥26,478 ¥26,911 ¥27,135 ¥27,336 ¥27,285 ¥25,025 ¥24,782 ¥27,535 ¥28,293 ¥26,424 ¥29,093 ■潜在空室率
■平均募集賃料
五反田・大崎エリアの今後の開発について
■大崎リバーウォークガーデン(仮称:大崎コアプロジェクト)
JR大崎駅と五反田駅の中間地点、目黒川に隣接する約1.6haの敷地において、地上20階の業務棟と地上40階の住宅棟「ブランズタワー大崎」を一体的に整備する大規模複合再開発が進められています。
2027年の竣工を目指す業務棟は、基準階面積約775坪(約2,562㎡)のフロアプレートに加え、天井高2.9mを確保した高機能なワークスペースを実現。さらに足元には、目黒川の景観を活かした約1,500㎡の公園や広場、水辺の歩行者ネットワークが整備される計画です。
これにより、両駅間の歩行者動線の強化が図られるとともに、都心にありながら水と緑の潤いを感じられる新たなビジネス環境の創出が期待されています。歴史ある「工場の街」から「次世代の多機能都市」へ。五反田・大崎エリアの変貌を象徴する、新たなランドマークの誕生が近づいています。本プロジェクトは、五反田エリアのスタートアップ文化と大崎エリアの高度な都市機能が融合する新たな結節点として期待されており、業務棟は2027年2月、住宅棟は同年5月の竣工を予定しています。
物件観察「大崎コアプロジェクト」まちの時間に寄り添うオフィスビル計測できない価値がもたらすワーク・イン・ライフ
■大崎ステーションレジデンス
大崎副都心の再開発を象徴するプロジェクトの一つとして、2026年2月に竣工を迎えました。大崎駅西口徒歩2分という駅至近の立地に誕生した、地上37階・高さ約143mの超高層複合ビルです。
建物は、約445戸の賃貸住宅を中心に、低層部の2階から5階にはオフィスや店舗、保育所などの公益施設が入居する構成となっています。既存の「ThinkPark Tower」をはじめとする周辺施設とペデストリアンデッキで接続されることで、西口エリアの都市機能が立体的に統合されました。
この整備により、駅から信号を渡らない快適なアプローチが可能になったほか、生活支援施設の充実により、子育て世代を含む多様なワーカーを支える環境が整いました。「住・働・育」の機能が一体となった新たな拠点が加わることで、大崎駅西口エリアの利便性と持続可能性はさらに高まっています。
■大崎駅東口第4西地区/第一種市街地再開発事業(原案段階)
大崎駅東口エリアの拠点性をさらに高める、大規模な都市計画案です。西側のA〜C街区、東側のD街区を中心に、オフィス・住宅・商業施設を一体的に整備。西口側の再開発エリアと連動し、駅の両側で都市機能が高度に調和した「二面型ターミナル」の形成を目指しています。
A街区(業務棟): 地上19階・高さ約100m。駅至近の立地を活かした事務所と店舗の複合ビルで、大崎駅東口の新たなビジネス拠点として期待されています。
B街区(住宅・店舗棟): 地上38階・高さ約140m。低層部に店舗を配した高層タワーマンションを計画。都心居住を推進する良質な住宅供給を担います。
C街区(中層業務棟): 地上7階・高さ約35m。事務所機能を主軸とし、周辺の街並みと調和した景観を形成します。
E街区: 既存の「ブリリアタワー大崎」(2007年竣工・地上29階)を活かしつつ、エリア全体の調和を図ります。
F街区: 新たな公園を整備。周辺の歩行者ネットワークやオープンスペースと連続した、緑豊かな憩いの場を確保する計画です。
本計画により、木造住宅密集地の解消による防災機能の強化とともに、歩行者デッキ等の整備で街全体の回遊性が向上します。西地区・東地区合わせて1,200戸を超える住宅供給と業務機能の集積により、大崎エリアの拠点性は一層強固なものとなるでしょう。2028年度の着工、2032〜2033年度の竣工を目指し、段階的に整備が進められています。
■大崎駅東口第4東地区(D街区)/第一種市街地再開発事業(原案段階)
大崎駅東口第4地区の東側に位置する「D街区」では、地上35階の住宅棟と地上21階のオフィス棟を核とした、高さ約140m級の複合開発が計画されています。ここには住宅に加え、先進的なオフィスや商業施設、地域コミュニティを支える公益施設などが集約される予定です。
本プロジェクトの特徴は、単なる建物の更新に留まらず、地域に開かれた広場や交流施設を整備することで、住民とワーカーが自然に交差する場を創出する点にあります。既に再開発が進む周辺街区と、このD街区が一体となることで、2030年代には大崎駅東口側に大規模なオフィスフロアと良質な居住空間が供給され、エリア内の昼夜を通した活気のさらなる向上が期待されています。
「職住近接」の機能が一段と強化されることで、新たなビジネス機会の創出やコミュニティの活性化に寄与する、大きな可能性を秘めたプロジェクトとして期待が寄せられています。竣工は2032〜2033年度を想定しており、大崎エリアの次世代を象徴するランドマークの一つとして注目されています。
まとめ
五反田・大崎エリアは、交通アクセスの良さはもちろん、スタートアップから大企業までが共存する多様なビジネスエコシステム、そして職住近接を叶える豊かな周辺環境が魅力。コストパフォーマンスのよい中小規模のビルから、最新鋭のハイグレードビルまで選択肢も豊富で、企業のフェーズに合わせた最適なオフィス選びが可能です。さらに、今後も続く大規模再開発により、エリアの利便性とブランド価値は向上し続けるでしょう。成長を見据えた戦略的なオフィス移転先として、ぜひ五反田・大崎エリアをご検討ください。
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