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オフィス移転のトレンドとは?企業の移転傾向や事例を調査!

本記事では当社で実施したアンケート調査を基に、企業が移転を検討・実施する理由、またその傾向を読み解いていきます。社会情勢に合わせて変化するオフィス移転のトレンドや業種別の傾向、実際の移転事例について詳しく解説します。

オフィス移転を検討するタイミングは企業によって様々ですが、どのような理由で移転することが多いのでしょうか。実際にオフィス移転を実施した、または実施予定の企業の移転理由を調査することで、社会情勢の変化や、働く場所に対する考え方の変化などを読み取ることができます。この記事では、現在のオフィス移転トレンドや、業種別の移転傾向、移転事例などについて解説します。

オフィス移転データから読み解く、「移転トレンド」の変化

当社では、一般事業法人のお客様を対象とした「企業の不動産ニーズに関するアンケート調査」を四半期毎に行っております。
今回は、同調査の2022年Q1と2023年Q1の結果を基に、移転理由の変化を見ていきます。

■オフィス移転を検討中、もしくは実施した企業数
「移転先の物件探索中もしくは過去1年以内にオフィスを移転した」「移転を検討中である」と回答した企業の割合は、2022年Q1の調査では35%でしたが、2023年Q1では27%まで減少しています。

2020年以降は、新型コロナウイルスの影響でテレワークを実施する企業が増加しました。それに伴い、オフィスの在り方を見直す企業も比例して増えたと考えられます。
帝国データバンクの調査によると2022年には、首都圏に本社をおく企業が地方へ本社または本社機能を移転する「脱首都圏」の動きが目立ちました。首都圏から地方へ移転した企業数はコロナ禍前の調査(2019年)と比べると1.4倍に増加し、過去20年で最多となりました。
しかし、2023年に新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことで、取引先との関係構築・人材採用の強化・海外や地方へのアクセス面など、首都圏に本社を置くメリットが再び見直され、「脱首都圏」の動きはコロナ禍に比べて弱まりました。こうした背景から2023年は、オフィス縮小や本社移転を検討する企業が減少したと考えられます。
※参考:帝国データバンク|首都圏・本社移転動向調査(2022年)帝国データバンク|首都圏・本社移転動向調査(2023年上半期)

■オフィス移転における床面積の傾向
「オフィス移転を実施した際の床面積の傾向」においても、2022年と2023年では大きな変化が見られました。 2022年時点では、オフィス移転時の床面積は「大幅に増床」したとの回答が15〜16%でしたが、2023年には30%と約2倍に増えています。コロナ禍後の出社回帰の流れにより、オフィスの増床が必要になったことや、経済活動が活発になったことによる企業の業績向上も理由の一つだと考えられます。

■オフィス移転の理由
「オフィス移転検討・実施の理由」については下記の通りでした。

オフィスの移転検討・実施の理由は、「コスト削減」が最も多く、次いで「建替えや再開発」「業務効率化・生産性向上」「人員増加」「オフィス環境改善」と続きます。2022年Q1の調査と比較すると「建て替えや再開発」「集約・統合」といった回答に変化が見られました。
これらの理由にはどのような背景があるのでしょうか。詳しく解説します。

・コスト削減
コロナ禍にあった2022年と比較して大きな変化が無く、依然としてオフィス移転理由の上位に挙げられたのが「コスト削減」でした。「コスト削減」と一口に言っても、その方法は様々です。
例えば、オフィスの賃料は企業運営において大きなコストの一つです。そのため、より賃料の低いオフィスビルへの移転は、確実なコスト削減に繋がります。近年では、働き方が多様化し、テレワークが定着している企業も増えています。そのため、従来必要とされていたオフィスのスペースが不要になり、特にコロナ禍ではオフィスを縮小してコスト削減を図る企業が増えました。
また、コロナ禍前と後では賃料に変化が見られたオフィスビルもあります。コロナ禍前の高水準な賃料は、現在のマーケットと乖離している場合があるため、それらを見直し、適正な賃料のオフィスビルに移転することもコスト削減と言えます。

・建替え・再開発
現在、都心部を中心に複数の再開発計画が進行しており、多数のオフィスビルが竣工する予定です。これに伴い、建替えや取り壊し予定となっているビルも多く、オフィス移転が急務である企業が増えていると考えられます。

・業務効率化・生産性向上
例えば会議室の数が少ないために、会議の調整に時間がかかってしまうオフィスや、他部署とのコミュニケーションが取りづらいレイアウトのオフィスでは業務効率に影響を与えます。そこで、会議室エリアや執務室エリアの面積・レイアウトを見直すことで業務効率化を図る企業が増えています。
また、近年では企業に、社員のウェルビーイング(肉体的・精神的・社会的に良好な状態)を意識した経営が求められています。社員食堂やフィットネスジムなどを設けるなど、社員が快適に働けるオフィス環境を整えることは、社員の健康増進や幸福度アップにも繋がり、生産性向上も期待できます。「出社したくなるオフィス」にするため、より効率的なレイアウトを実現できるオフィスや、付帯設備の充実したオフィスビルへの移転を検討する企業も増えています。

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・人員増加
業績の向上や新規事業の展開に伴い、社員数が増えると、既存のオフィススペースが手狭になることがあります。2023年以降は新型コロナウイルスの収束と経済の回復が予測され、企業の採用活動も積極的に行われています。その結果、より広いスペースを確保するために、オフィス移転を検討・実施する企業が増えています。

・オフィス環境改善
総務省の「通信利用動向調査」によると、テレワークの導入割合はコロナ禍の2020年に大きく増え、2021年・2022年はほぼ横ばいの数値を維持しました。テレワークの導入理由は「コロナ対策のため」という回答が一番多いものの、新型コロナウイルスが5類感染症に移行した後もテレワークという働き方が定着していると考えられます。
そのような状況の中で、2023年以降は出社回帰の流れが目立ち始めています。テレワークが定着する一方で、社員が働きやすく、出社したくなるような環境を整備するために、オフィス移転を検討する企業が増えています。 対面でのコミュニケーションなど、テレワークでは得られない機会を生み出すために、オフィス内にカフェを設けたり、フリーアドレス制を導入したり…、といったオフィス環境の改善もアフターコロナ時代の今、重要になっています。
参考:総務省|通信利用動向調査

■オフィス移転で重視すること
「オフィス移転先選定で重視する条件」の上位には「交通利便性」「コスト」「耐震性能」などが挙げられました。

特に「耐震性能」については、2022年Q1の調査では6番目でしたが、2023年Q1では大きく上昇しています。
ここからは上位の条件について順に解説します。

・交通利便性
オフィス移転時に重視する条件として最も多かった回答が、交通利便性です。利便性の高い場所にオフィスがあると、通勤しやすいだけでなく、取引先への移動時間も短縮できます。2023年はアフターコロナの時代に転換し、出社する機会や対面で営業を行うケースも増えてきました。オフィスの立地改善は社員の働きやすさや業務の効率化にも繋がります。

・コスト
賃料や維持費、設備管理費などの観点から、よりコスト効率の良いオフィスビルを選ぶのは、経営戦略でも重要な要素の一つです。また、先述したようにコロナ禍の前後では賃料の変動が見られるオフィスビルも多いため、現在のマーケットに合わせて賃料を見直すことでコスト削減を図る企業も増えています。

・耐震性能
耐震性能は2022年の6位から3位へとランクアップしました。今後、予測されている大地震に備え、地震対策が適切に施されているオフィスビルを選ぶ企業が増えています。建物の老朽化に対する危機意識や災害に対する意識への高まりから、移転時には耐震性能を重視する企業が増えたと考えられます。

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・周辺環境
4位は周辺環境の充実度でした。オフィス周辺にコンビニエンスストアやカフェ、スーパーマーケット、病院などの便利な施設があるかどうかは、社員の働きやすさに影響します。出社回帰の流れにより、毎日出社する社員が増えてきた現在、オフィスの周辺環境は移転先選択における重要な要素となっています。

・快適性
快適なオフィス環境も、移転の際に重視される要素のひとつです。コロナ禍にリモートワークが定着していたため、出社をためらう社員もいるかもしれません。そういった社員が自発的に出社したくなるようなオフィス環境の整備は、アフターコロナ時代の重要なトレンドとなっています。
例えばフィットネスジムなど、社員がリフレッシュや気分転換ができる設備や、社員の健康を考えたメニューの提供がある社員食堂などを備えたオフィスビルを選ぶことで、自然と社員の出社率も高まり、業務効率の向上も期待できるでしょう。

業種別オフィス移転傾向

ここからは、業種別の移転傾向を見ていきましょう。

2023年Q1の調査によると、「物件探索中、もしくはオフィス移転を行った」、または「移転を検討中」の割合が最も多かった業種は「情報通信業」でした。次いで、「卸売業・小売業」「サービス業」「製造業」と続きます。
移転検討割合が最も高い「情報通信業」は、オフィス移転後の面積が「増床」と「減床」で二極化しています。業績向上による人員増加・事業拡大のための増床や、テレワークの定着による減床などが理由だと考えられます。
「卸売業・小売業」は、アフターコロナへの転換でインバウンド需要が復活する、といった業績の回復が理由でオフィスの移転を検討・実施していると考えられます。また、移転検討中の割合が最も少ない「建設業」は、移転時には面積が増える傾向が見られました。

ここからは、回答結果に特徴的な傾向が見られる「情報通信業」「卸売業・小売業」「建設業」について詳しく解説します。

■情報通信業の傾向
情報通信業は、オフィス移転の検討・実施の割合が最も高い業種です。コロナ禍でも業績の落ち込みが少なく、今後の需要や将来性も高いと予測される業種です。業績向上や新規事業展開に伴い、2023年においても、増床移転が予測されます。一方で、テレワークに対応しやすい業種でもあるため、オフィスを縮小する企業も存在します。その結果、情報通信業ではオフィス移転時の面積傾向が二極化していると考えられます。

■卸売業・小売業の傾向
卸売業・小売業も、情報通信業に次いで移転の検討・実施の割合が高い業種です。前年の調査から9ポイント上昇し、移転時の面積は増床傾向にあります。アフターコロナによる外出機会の増加やインバウンド需要の復活などにより業績が回復したことに伴い、オフィス環境を整えるための移転が増えていると考えられます。

■建設業の傾向
建設業では、オフィス移転予定なしとの回答が71%と高い一方で、移転を実施もしくは検討中の企業の回答は全て「増床」となりました。2023年、建設業は資材の高騰や人手不足、社員の高齢化、法律・制度の改正により倒産企業も増加しました。しかし、コロナ禍を経て需要が増加しているという一面もあり、業績の良い企業と倒産する企業、という二極化が進んでいるのが現状です。

オフィス移転の事例

ここまで、「企業の不動産ニーズに関するアンケート調査」を基に企業の移転理由や、移転の際に重視するポイントなどを解説してきました。
ここからは、実際にオフィス移転を行った企業の移転理由やオフィス課題解決の手法を見ていきましょう。
当社が行ったインタビュー記事を基にご紹介します。

・事例1
新型コロナウイルスの影響でこれまで契約していたサテライトオフィスの使い勝手が悪くなり、拠点戦略の根本的転換を図ることに。通勤負担の少ないターミナル駅に自社専用のサテライトオフィスを複数設け、社員同士の接点となる拠点を設置。
【株式会社アイネス】好立地とレセプション機能で 全国と“つながる”ワンフロアオフィス

・事例2
築60年という社屋の老朽化に加え、事業強化のための人員増から建替え・一時移転が決定。働きやすくコミュニケーションもとりやすいオフィスを目指し、移転を実施。
【株式会社新興出版社啓林館】社屋老朽化と人員増で建て替え・ 一時移転が決定

・事例3
近年の業績拡大や「原則出社・固定席」という働き方、社員数や今後の増員を考えると、以前のオフィスは手狭だったため移転を決断。旧オフィスの2倍近い面積の新オフィスに移転し、会議室不足などの課題も解決。
【株式会社ダブルスタンダード】コミュニケーションを重視した"出社したくなる”オフィス

・事例4
社員数増加によるスペース不足や、コミュニケーションの取り辛さから契約更新の時期に合わせて移転を検討。今後長期にわたり働く若手社員を中心に積極的にアイデアを募り、年齢や部署に関わらず様々な人と円滑なコミュニケーションがとれる環境のオフィスを構築。
【明治安田アセットマネジメント株式会社】若手発信で「風通しのよい 自由に働けるオフィス」を実現

まとめ

コロナ禍にあった2022年は本社機能の地方移転や、オフィスの縮小傾向が見られました。しかし、アフターコロナへ転換した2023年には出社回帰の流れとなり、オフィス環境の改善が促され、オフィス移転のトレンドにも変化が見られました。オフィス移転は単なる職場の引っ越しではなく、生産性の向上やコストの削減、働きやすさの改善など様々な効果をもたらします。

三菱地所リアルエステートサービスでは、オフィス移転に関する業務のトータルサポートを行っております。現在のオフィスの現状調査から移転完了後のアフターフォローまでをワンストップでサポートいたしますので、オフィス移転をご検討中の方はぜひご相談ください。


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