近年、自然災害やパンデミック、サイバー攻撃など、企業経営に深刻な影響を与えるリスクが多様化しています。そうした背景のなか、「BCP(Business Continuity Plan)」という言葉を耳にする機会が増えてきた方も多いのではないでしょうか。BCP対策は、もはや一部の大企業だけの課題ではなく、業種や規模を問わず、すべての企業が向き合うべき経営上の重要テーマとなっています。
本記事では、BCPの基本的な定義から策定手順、業種別の取り組み事例、そしてオフィス環境を選ぶ際のBCPの視点まで、幅広く解説します。自社のBCP対策を見直すきっかけとして、ぜひ参考にしてください。
BCP(事業継続計画)対策とは?
BCPとは、「事業継続計画(Business Continuity Plan)」の頭文字をとったものです。緊急事態が発生した際にも、事業を止めず、あるいは可能な限り早く復旧させるための考え方として、近年その重要性が高まっています。特に賃貸オフィスを利用する企業にとっては、BCPを単なる社内ルールとして捉えるのではなく、入居するビルの性能や立地条件も含めて検討することが大切です。ここではまず、BCPの定義や防災・BCMとの違い、そして賃貸オフィスに入居するテナント企業ならではの注意点について整理します。
BCPの定義と本来の目的
中小企業庁の定義では、BCPとは「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のこと」とされています。未曽有の災害や社会的混乱が起こり得る現代において、欠かせないリスク管理の一つといえるでしょう。
BCPの本来の目的は、単に「被害を最小化すること」だけではありません。トラブルが起こった際の社内外への対応方法や、中核事業を優先的に継続・復旧させる手順をあらかじめ整理しておくことで、緊急時においても顧客への供給責任を果たし続け、できる限り従業員や取引先への影響を抑えながら事業を継続できる状態を目指すものです。
実際に、2019年以降のコロナ禍では、緊急時対応や事業継続体制の有無が企業の存続に大きな影響を与えました。BCPを策定していない企業では、緊急事態が発生した際に経営基盤の脆弱性が顕在化し、事業の縮小や廃業に追い込まれるリスクがあります。とりわけ中小企業では、代替拠点や人員の余力が限られる分、その影響がより大きくなりやすい点にも注意が必要です。
「防災」や「BCM(事業継続マネジメント)」との違い
BCPと混同されやすい概念として、「防災」と「BCM(Business Continuity Management:事業継続マネジメント)」があります。それぞれの役割や目的を整理することで、BCPの位置づけがより明確になります。
防災とBCPの違い
防災の主な目的は、「身体・生命の安全確保」と「物的被害の軽減」です。一方、BCPはそれらに加えて、「優先的に継続・復旧すべき重要業務をどう守るか」まで視野に入れた計画です。日本は世界でも有数の地震大国であることから、どうしても「BCP=災害対策・防災」というイメージが先行し、両者が混同されがちな傾向にあります。しかし、防災が“被害を抑えるための備え”であるのに対し、BCPは“事業を止めない、あるいは早期に立て直すための備え”であるという本質的な違いを理解しておくことが、実効性の高い計画づくりには欠かせません。
BCPとBCMの違い
BCPはあくまでも「計画書(Plan)」そのものを指します。一方のBCMは、その計画を策定し、維持し、継続的に改善していくための包括的なマネジメントの枠組みです。計画を立てて終わりにするのではなく、訓練や見直しを重ねながら実効性を高めていく一連の取り組み全体がBCMに当たります。
賃貸オフィスに入居する企業にとって特に重要なのが、「ビル側の対策」と「テナント側の対策」の責任分界点を理解しておくことです。たとえば、非常用電源や給排水、セキュリティ設備のどこまでがビル側の提供範囲で、どこからがテナント側の負担となるのかは、契約前に確認しておくべき重要なポイントです。ビル側の仕様と自社のニーズとのミスマッチに気が付かないまま契約を結んでしまうと、入居後に「ここまで対応されていると思っていた」「自社で準備が必要とは知らなかった」といった想定外の事態を招きかねません。
BCPの定義を知るだけでは、自社の拠点が事業継続の観点から適切かどうかまでは判断できません。まずは自社の事業特性に照らして、必要となるビルスペックの最低要件を整理することが大切です。お気軽にお問い合わせください。
なぜ今、BCP対策が強く求められているのか?
BCP対策への関心は年々高まっています。帝国データバンクが2025年に実施した「事業継続計画(BCP)に対する企業の意識調査」によると、「BCPを策定している」企業の割合は20.4%となり、2016年の調査開始以来、初めて2割を超えました。一方で、策定していない企業も依然として多く、BCPの必要性は理解されながらも、実際の整備が追いついていない実態が見えてきます。
では、なぜ今各企業にBCP対策が求められているのでしょうか。ここでは、その背景を順に見ていきます。
多様化するリスク(自然災害、パンデミック、サイバー攻撃など)
企業が直面するリスクは、かつてのように自然災害だけを想定していればよい時代ではなくなっています。帝国データバンクの同調査でも、企業が事業活動において想定するリスクとして「自然災害」が最も多く挙げられる一方で、サイバー攻撃などの「情報セキュリティ上のリスク」に対する危機意識も高いことが示されています。実際、2024年6月には国内大手出版社が大規模なサイバー攻撃を受けたほか、2025年に入ってからも製造業・インフラ関連企業を標的とした攻撃事例が報告されました。こうした事例は、多くの企業にとってデジタルリスクへの備えを再認識する契機となりました。
また、内閣府の「事業継続ガイドライン(2023年3月改定)」でも、近年のサイバー攻撃の増加や新型コロナウイルスによるテレワーク普及を踏まえた見直しが行われており、従業員へのサイバー教育や場所を問わず業務を継続できる組織体制の構築などのソフト面でのBCP対策の重要性が一段と高まっています。つまり、自然災害に備えたハード面の対策だけでなく、ソフト面の対策も、今やBCPの中核を成すテーマになっているのです。
BCPを策定しない場合の3つのリスク(顧客離れ、現場の混乱、競争力低下)
BCPを策定しないまま緊急事態を迎えた場合、企業が直面するリスクは大きく3つに整理できます。
顧客離れ
業務が停止した際、顧客は代替の取引先を探します。その状態が長引けば、関係を元に戻すことは容易ではありません。東日本大震災では、直接の被害が少なかったにもかかわらず、供給が途絶えたことで顧客が離れ、結果として廃業・倒産に至った企業事例も報告されています。
現場の混乱
緊急時の意思決定ルールや連絡体制が定まっていないと、誰が何を判断すべきかが曖昧になり、初動対応が遅れます。その遅れが、二次被害や復旧の長期化につながることもあります。
競争力低下
復旧までに時間がかかるほど、競合他社との差は広がります。同業他社がBCPに基づいて迅速に事業を再開している一方で、自社だけが立ち遅れれば、シェアや信頼の面で不利になる可能性があります。
このように、BCPの未策定は単なる準備不足ではなく、売上・信用・競争力のすべてに影響し得る経営課題といえます。
業種を問わず広がるBCP策定の義務化・必須化の動き
BCP策定の重要性は、特定の業種にとどまらず、広く一般企業にまで及んできています。その象徴的な事例として、介護・福祉分野における制度対応の強化が挙げられます。2021年度の介護報酬改定では、感染症や自然災害に備えた業務継続計画(BCP)の整備等が求められ、2024年度の介護報酬改定では、BCP未策定減算が導入されました。※
さらに、こうした制度面の動きは介護業界だけの話ではありません。製造業やITインフラ企業では、取引先選定時の事実上の必須条件として「BCPを策定していること」が求められるケースが増えています。つまり、BCP未策定は単なるリスクではなく、取引機会の喪失に直結する要因になりつつあるのです。
加えて、オフィス市場においても変化が見られます。近年、賃料水準が相対的に高くても、BCPや働く環境の質を重視して高グレードのビルへの移転を選択する企業が増えており、こうした動向を踏まえてオフィスを選ぶことが、入居企業側にとっても重要になっています。制度対応・取引先要件・拠点機能の3つが同時に問われる時代だからこそ、BCPは「計画書を持っているかどうか」だけでなく、「その計画を支えられる拠点かどうか」まで含めて見直す必要があります。
「自社には関係ない」と思っていたBCP対策が、いつの間にか「取引先から問われる事項」に変わっている。そうした変化に早期に気づき、準備を進めることが大切です。最新の市況データをもとに、同業他社がどのグレードのビルでどの程度の“安全コスト”を払っているか、相場観を知ることから始めてみましょう。
※サービス類型等により、減算率や適用条件、経過措置の内容は異なります。
企業がBCP対策を行うことで得られるメリット
BCP策定は、緊急時への備えという側面だけでなく、平常時においても企業にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、BCPに取り組むことで得られる代表的なメリットを整理します。
緊急事態に対応できる強靭な経営体制の構築
BCPの策定プロセスでは、自社の業務を網羅的に棚卸しし、「緊急時に最優先で守るべき中核事業」を特定します。この作業を通じて、平時には見えにくい業務の依存関係や、ボトルネックとなるリソースが可視化されます。結果として、緊急時の対応力が高まるだけでなく、組織としての耐久力や判断力も強化されていきます。
自社の中核事業や経営資源(強み・弱み)の可視化
BCPの策定に取り組んだ企業からは、「BCP策定を通じて自社の課題が明らかになった」「業務の棚卸しに活用できた」といった声も多く聞かれます。緊急時を想定して業務を見直す過程で、自社のサプライチェーン上の弱点や、情報管理・人員配置の課題などが浮かび上がることも少なくありません。これは、単なる危機対応にとどまらず、平常時の経営改善にもつながる重要な副次効果です。
平常時の業務効率化や働き方改革への寄与
BCPに基づいてテレワーク体制やクラウド活用、安否確認システムを整備することは、感染症や災害時の事業継続に役立つだけではありません。平常時の働き方改革にも直結します。リモートワーク環境の整備や、ペーパーレス化、ドキュメント管理の見直しは、BCP対策と業務効率化を同時に進められる取り組みです。
融資・税制面での実利的メリット
BCP対策には、経営上の実利的なメリットも存在します。日本政策金融公庫では、「事業継続力強化計画」の認定を受けた事業者向けに、低利融資制度(企業活力強化資金)を用意しています。また、損害保険各社の一部では、BCP対策に取り組む企業向けに保険料の割引制度を設けているケースもあります。
さらに、中小企業庁の「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」認定制度を活用すると、認定を受けた計画に記載された一定の対象設備について、認定後1年以内の取得等を要件として、特別償却16%の税制措置を受けられる制度があります。加えて、補助金審査での加点や、各種支援策の対象になり得る点も見逃せません。このように国による強力な後押しがある今、防災・減災設備への投資は、単なるコストではなく、事業継続性と経営基盤の強化を両立させる打ち手として位置づけることができます。
特にオフィス移転や拠点再編のタイミングでは、非常用電源、通信設備、バックアップ環境、備蓄スペースといった要素を、賃料だけでなく「BCP投資」として捉え直す視点が重要です。どこまでをビル機能で補い、どこから自社投資で補完するかを整理することで、過不足のない対策設計につながります。
BCPを意識・考慮しているオフィスビルのご紹介については、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。
実効性の高いBCPの策定手順
内閣府の「事業継続ガイドライン」をはじめ、各省庁が公表しているガイドラインでは、BCPの策定手順として概ね共通した流れが示されています。ここでは、それらを実務に即した4ステップに整理してご紹介します。
STEP1:基本方針の策定と推進体制の構築
まずは、自社がBCPを策定する目的と基本方針を明確にします。「従業員の命を守る」「顧客への供給責任を果たす」「経営の継続性を守る」など、経営者が何を最優先に考えるのかを言語化することが出発点です。同時に、BCPを推進する担当部署と責任者を明確にし、経営層が主導する体制を構築することが重要です。
企業の規模を問わず、この「経営者のコミットメント」が策定の最大の推進力になります。担当部署任せにせず、経営陣がBCPを経営戦略の一部として位置づけることが、形骸化を防ぐ第一歩です。
STEP2:リスク分析と優先業務の特定(BIA:ビジネスインパクト分析)
「BIA(Business Impact Analysis)」とは、緊急事態が発生した場合に自社の事業がどのような影響を受けるかを分析し、「中核事業」を特定するプロセスです。どの業務が停止した場合にキャッシュフローへ最も大きな影響を与えるか、顧客や社会への影響が大きいかという観点から優先順位を付けていきます。
実務で最もハードルが高いのが、この段階における「部門間の優先順位の調整」です。総務部門主導で議論すると「すべての業務が重要」という結論になりがちですが、実際には経営・財務の視点から、何が止まると資金繰りや供給責任に直結するのかを見極める必要があります。さらに、IT部門と連携してRTO(Recovery Time Objective:目標復旧時間)を設定する際には、システムだけでなく、どの拠点でその業務を継続するのかまで考えることが求められます。
STEP3:事業継続戦略・具体的な事前対策の検討と決定
BIAで特定した中核事業を守るために、具体的な対策を検討していきます。代替拠点の確保、データのバックアップ体制、サプライチェーンの代替調達先の選定、テレワーク環境の整備など、取り組むべきテーマは多岐にわたります。そのなかで、優先順位を決めて実行計画を立てることが欠かせません。
この段階で特に重要なのが、「自社保有設備」と「入居するオフィスビルの機能」の役割分担を明確にすることです。ビル側がすでに提供している非常用電源や通信設備を把握しないまま重複投資をしてしまうと、無駄なコストが発生します。逆に、ビル側の機能を過信して自社での対策を怠ると、有事の際に想定外の事態が起こる可能性があります。だからこそ、契約前や見直し時の段階で、設備の供給範囲や条件を確認しておくことが重要です。
STEP4:計画の文書化と教育・訓練の実施
検討した対策は、計画書として文書化し、全社員に周知します。また、BCPは「作って終わり」では意味がありません。定期的な訓練や演習を実施し、実際に機能するかどうかを検証し続けることが不可欠です。内閣府のガイドラインでも、BCM(事業継続マネジメント)の一環として、PDCAサイクルによる継続的な改善が推奨されています。
実際には、ステップを理解することと、それを「動く計画」に落とし込むことの間には大きな壁があります。特に「具体的な事前対策」において、自社内だけでは完結しにくいのがオフィスのハードウェア環境です。BCP策定と並行して、現オフィスで対策できる範囲と、移転やリニューアルによって改善すべき範囲を切り分けていくことで、実効性の高いBCPにつながります。
BCPを考慮したオフィス選びでお困りの方は、オフィスビルのプロである当社にご相談ください。
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オフィス移転時は「ペーパーレス化」を推進するチャンス!社内ルール化のポイントなどを解説企業のBCP対策事例
BCP対策は業種によってリスクの性質も対策の方向性も異なります。ここでは、各業種における企業の取り組み事例を紹介します。同じ「BCP対策」といっても、製造業で重視すべき拠点分散と、金融業・ITサービス業で重視すべき電源・通信・データ保全では、オフィスに求められる条件が異なります。自社に近い業種の事例を見ることで、どのような立地・設備・拠点構成が必要になりやすいかを具体的にイメージしやすくなります。
製造業(サプライチェーン多様化、代替拠点の確保など)
製造業においてBCP対策の核心となるのが、サプライチェーンの強靭化です。東洋紡株式会社では、調達先の分散化や代替調達先の事前確保を通じて、原材料の供給途絶リスクに備えた体制を整備しています。カバヤ食品株式会社においても、工場の代替生産体制の構築や原材料・製品の適切な在庫管理を通じ、消費者への安定供給を維持するための対策を進めています。
製造業のBCPでは、「代替拠点の確保」と「供給網の多元化」が優先度の高い課題の一つとされており、事業継続の肝となります。オフィス選定の観点では、本社機能だけでなく、調達・物流・品質管理部門が有事にも機能するよう、交通アクセス、複数拠点との連携しやすさ、バックアップ電源や通信環境まで含めて見ておくことが重要です。
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【東洋紡株式会社】伝統と変革が交差するブランディングオフィス【カバヤ食品株式会社】若手主導で実現“継続的成長”を追求するオフィス
販売業(販売チャネルの多様化、在庫管理の見直しなど)
販売業のBCP対策では、特定の販売チャネルへの依存リスクを分散させることが重要です。ソーダストリーム株式会社は、EC・実店舗・代理店など複数の販売チャネルを組み合わせることで、緊急時においても顧客へのアクセス手段を確保するための体制整備に取り組んでいます。TD SYNNEX株式会社では、在庫管理の最適化と物流体制の見直しを通じ、サプライチェーンの柔軟性向上を図っています。
販売業では、受発注や顧客対応を止めないことが重要になるため、営業拠点や本社オフィスにも、安定した通信回線、クラウド利用を前提とした環境、物流拠点と連携しやすい立地などが求められます。店舗・EC・代理店のいずれかが停止しても他チャネルで補完できるよう、拠点構成とオフィス機能を一体で考える視点が有効です。
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【ソーダストリーム株式会社】ワンフロアがもたらすフラットな交流と企業理念を体現するオフィス【TD SYNNEX株式会社】コミュニケーションの源泉を生み出し社員を主役にするライブオフィス
建設業(現場の安全確保、協力会社との連携など)
建設業のBCP対策では、工事現場の安全確保と、多くの協力会社との連携体制の整備が求められます。三菱地所ホーム株式会社では、施工現場における災害発生時の安全確保マニュアルの整備や、協力会社を含めたサプライチェーン全体での情報共有体制の構築に取り組んでいます。
建設業では、本社オフィスが「非常時の指揮拠点」として機能することも多く、会議室・通信環境・図面や工程情報にアクセスできる仕組みの整備が重要です。現場対応が中心の業種だからこそ、平時はもちろん、有事にも協力会社と連絡を取り続けられる拠点性能が問われます。
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【三菱地所ホーム株式会社】社会課題の解決に導くイノベーションオフィス
運輸業(運行ルートの柔軟な変更、代替手段の確保など)
運輸業においては、交通インフラの寸断を想定した代替輸送ルートの確保が課題の一つとなります。郵船ロジスティクス株式会社は、複数の輸送モードを組み合わせたマルチモーダル輸送の体制を整備することで、特定のルートや手段への依存リスクを低減しています。また、グローバルネットワークを活用した代替手段の確保にも取り組んでいます。
運輸業では、交通結節点へのアクセス性に優れた立地や、24時間稼働を想定した電力・通信の信頼性がオフィスにも求められます。配送や配車そのものは現場で動いていても、司令塔となる拠点が止まれば全体最適の判断ができなくなるため、オフィス機能の継続性は想像以上に重要です。
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【郵船ロジスティクス株式会社】社員の意識調査を通じたオフィス変革で成長戦略の実現へ金融業(システムの冗長化、データセンターの分散など)
金融業においては、システムの安定稼働が事業継続の根幹です。はなさく生命保険株式会社・明治安田アセットマネジメント株式会社・MHIフィナンシャル株式会社などは、システムの冗長化やデータセンターの地理的分散を通じて、単一障害点(SPOF)を排除する体制を整備しています。金融サービスは顧客の資産や生活に直結するだけに、システムBCPへの要求水準は特に高くなっています。
そのため金融業のオフィス選定では、ビル自体の耐震性に加え、専有部への非常時電源供給、通信の多重化、データセンターとの接続性、入退館管理の厳格さなどが重要な判断材料になります。「働く場所」であると同時に、「止めてはいけない業務の拠点」であるという前提で見ていく必要があります。
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【はなさく生命保険株式会社】『従業員ファースト』を体現 出社したくなるオフィス【明治安田アセットマネジメント株式会社】若手発信で「風通しのよい自由に働けるオフィス」を実現
【MHIフィナンシャル株式会社】移転をきっかけに業務効率化も実現 業務特性に寄り添ったサポートを展開
ITサービス業(サイバーBCP対策、クラウド活用など)
近年のBCP対策で特に重要性を増しているのが、サイバー攻撃を想定したBCPです。株式会社アイネスや株式会社ダブルスタンダードは、クラウドへのシステム移行やセキュリティ強化を通じて、情報資産の保護とサービス継続性の確保に取り組んでいます。
ITサービス業では、オフィスに常設サーバー室を置くのか、外部データセンターを活用するのか、専用線や閉域網をどう確保するのかといった選択が、BCPの実効性を左右します。立地だけでなく、ビルの通信キャリア対応状況、電源冗長性、セキュリティ仕様まで含めて、拠点インフラとして評価する視点が欠かせません。
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【株式会社アイネス】好立地とレセプション機能で全国と“つながる”ワンフロアオフィス【株式会社ダブルスタンダード】コミュニケーションを重視した"出社したくなる”オフィス
こうした文脈のなかで、ソフト面のBCP対策として近年注目されているのが、高セキュリティなデータセンターの活用です。たとえば大手町・丸の内・有楽町エリア(大丸有エリア)では、丸の内ダイレクトアクセス株式会社(三菱地所・丸紅の合弁会社)が、エリア内の約7割のオフィスビルをカバーする光ファイバー網を構築し、そのネットワークに接続する3拠点のデータセンターを運営しています。各拠点は、多層的なセキュリティ管理と災害時にも安定稼働できる設備を備えており、社内サーバー室の代替やバックアップ拠点の分散という観点で、BCP対策上の大きな利点になります。さらにハード面では、エントランスへのセキュリティゲート設置も物理的なBCP対策の一つとして広がっており、不審者の侵入防止や入退館管理の強化を目的に導入する企業が増えています。
他社の事例は参考になりますが、事業規模・業種・現在の入居ビルが異なれば、そのまま転用することはできません。多くの企業の移転を支援してきたプロの知見を活用することで、「自社にとって本当に必要な備え」が最短ルートで見えてきます。お気軽にご相談ください。
BCPを考慮したオフィスビルの機能
BCPの観点からオフィスを選ぶ際、入居先のビルがどのような機能・設備を備えているかを把握することは、テナント企業にとって非常に重要です。ここでは、BCP対策の観点から押さえておきたいオフィスビルの主要機能と、代表的な事例を紹介します。
耐震性能(新耐震基準の確認など)
まず確認すべきは耐震性能です。物件を検討する際は、ビルの「竣工日」ではなく、「建築確認日が1981年6月1日以降であるか(新耐震基準)」を確認することが基本となります。なぜこの基準が重要かというと、それ以前の旧基準が「中規模の地震で壊れないこと」を主眼に置いていたのに対し、新耐震基準は「震度6強〜7程度の大規模地震でも建物が倒壊せず、中にいる人の命を守ること」を前提に設計されているからです。ただし、「新耐震基準を満たしているから安心」と考えるだけでは十分ではありません。柱・梁などの主要構造部だけでなく、天井材、ガラス、内装材といった「非構造部材」の耐震性も重要な確認ポイントになります。大規模地震では、建物自体が倒壊しなくても、天井材の落下やガラスの飛散によって業務継続が困難になるケースがあるためです。また、エレベーターが緊急停止した際の復旧優先順位も、実際の業務継続性に大きく影響します。
なお、新築・築浅ビルと比較した際に「既存ビルは耐震性が不安」と感じる方もいるかもしれません。しかし、耐震補強や制震・免震装置の後付け工事が適切に施されていれば、BCPの観点から十分な安全性を確保できるケースもあります。コストパフォーマンスを意識しながら安全性を重視したい企業にとっては、「適切な改修が施された既存ビル」という選択肢も十分に検討に値します。
非常用電源と水道インフラ・給排水設備
オフィスビルのBCP性能を見極めるうえで、非常用電源の供給範囲は特に重要です。たとえば「72時間の非常用電源を完備」と説明されていても、その対象が保安負荷(誘導灯・廊下照明など)に限られ、専有部のPC・サーバー・空調までは含まれていないケースも少なくありません。テナントが専有部での業務継続を想定するなら、「入居者用非常用電源」がオプションとして提供されるのか、その場合にどの程度のコストがかかるのかまでビルを選定する段階で確認しておく必要があります。
給水についても同様で、断水時にどれだけの期間・量の水を供給できるのかはビルごとに異なります。特にトイレや最低限の衛生環境を維持できるかどうかは、従業員のオフィス滞在を前提とするBCPでは重要な判断材料になります。電力と給排水は、いずれも「あるか・ないか」だけではなく、「どの範囲まで・どれくらいの時間」使えるのかを見ることが大切です。
備蓄倉庫の確保(水、食料、簡易トイレなど)
大規模災害時に帰宅困難者が発生した場合、従業員が一定期間オフィス内にとどまることを想定した備蓄スペースが確保できているかも重要です。東京都では、帰宅困難者対策として事業所に3日分の食料・飲料水等の備蓄を推奨しています。入居するビルに共用の備蓄倉庫があるかどうかはもちろん、専有部内でどの程度の備蓄スペースを確保できるかも、実務上は大きなポイントです。
とくに、備蓄は「必要性は理解しているが、置き場所がないため進まない」という企業も少なくありません。そのため、オフィスレイアウトを計画する段階から、備蓄スペースを前提に面積配分を考えておくことが有効です。
ハザードマップに基づく周辺環境と防犯対策
オフィスの立地を選ぶ際には、建物そのものの性能だけでなく、周辺環境まで含めて評価する必要があります。具体的には、洪水・浸水・液状化といったリスクをハザードマップで確認し、候補物件の災害リスクを事前に把握しておくことが基本です。特に東京都内では、同じ都心部でもエリアによって浸水リスクに差があるため、「駅から近い」「利便性が高い」といった条件だけで判断しないことが重要です。
また、入居後の運用を見据えると、周辺の避難可能施設の場所を把握しておくことや、平時から地域の防災訓練に参加し、周辺企業や住民との連携体制を築いておくこともBCPの一環です。さらに、人的災害への備えとして、防犯カメラ、入退室管理、セキュリティゲートなどの防犯対策も確認しておきたいところです。自然災害と人的災害の双方を見据えた立地・設備選定が、実効性のあるBCPにつながります。
BCPを意識したオフィスビルの具体例
BCP機能に優れたオフィスビルの具体例として、以下の物件が参考になります。いずれも公表資料上、電力・給排水・制震/免震・水害対策などに関する情報が比較的明確に示されており、テナント側が「どこまでをビル機能で担保できるか」を検討しやすい事例です。
八重洲ダイビル(東京都中央区京橋)
東京駅至近に2025年6月竣工した八重洲ダイビルは、BCP対策に配慮した高水準の仕様を備えています。特筆すべきは、非常用発電機による7日間運転に加え、オフィス内照明・コンセント等への標準供給(20VA/㎡)できる点です。さらに、10日間の水供給継続、備蓄倉庫の設置など、インフラ途絶時でも長期間の業務継続を可能にする体制を整えています。また、水害対策として電気室を最上階に配置し、防潮板を設置するなど、浸水リスクにも配慮した設計が採用されています。
この物件の特徴は、単に「長時間の電源確保ができる」という点だけではありません。非常時に専有部でどの程度の業務継続が見込めるかをイメージしやすく、自社の業務をどこまで残したいのかを逆算しながら、ビル機能と自社設備の役割分担を考える際の比較対象としても有効です。
「八重洲ダイビル」創業時からの変わらぬ想いを核に、次の100年を⾒据えて新しく⽣まれ変わる
大手町ゲートビルディング(東京都千代田区内神田)
2026年7月竣工予定の大手町ゲートビルディングは、BCP面で複数の先進的な取り組みを行っています。たとえば、変電所から計3回線を引き込むスポットネットワーク受電方式の採用です。1回線が停止しても残る回線で受電を継続できる設計となっており、インフラの安全性を高めています。加えて、1,750kVAの非常用発電機を2台設置。専有部・共用部に対して平常時と同程度の電力、換気機能等を72時間供給できる仕様は、業務継続を重視する企業にとって有力な判断材料となります。
また、日本橋川沿いには防災船着場を整備し、有事の際には水路を通じた人員・物資輸送も想定されています。さらに地域冷暖房(DHC)の活用により、建物単体に閉じないエネルギー供給面での強靭性も特徴です。専有部への供給範囲まで含めてBCP性能を確認したい企業にとって、比較の軸を持ちやすい事例といえるでしょう。
「大手町ゲートビルディング」歴史と新たな文化、2つの水脈の源となり神田と大手町の交わりが始まる
TOFROM YAESU TOWER(東京都中央区八重洲)
2026年2月に竣工したTOFROM YAESU TOWERは、インフラの「多重化」が徹底されています。構造面ではハイブリッド制震を採用し、基準の1.5倍の地震動に耐える高い耐震性能を実現。地震直後に健全性を可視化する「被災度判定システム」も備えています。電力面では、中圧ガスと重油の双方に対応する発電機を導入し、停電時でも72時間以上の供給を可能にしています。さらに、停電時のエレベーター稼働、排水を貯留できる災害用汚水槽の完備、電気室の2階以上への配置など、インフラ全般において機能不全を防ぐ設計がなされています。
この事例のポイントは、構造・電力・水害対策が個別に存在するのではなく、複数のレイヤーで事業継続性を高めている点です。
「TOFROM YAESU TOWER」次世代の新しい働き方の羅針盤 八重洲の歴史に“ウェルビーイング”を刻む
オフィス選定においても、単一の設備スペックだけで判断するのではなく、「揺れ」「停電」「停ガス」「浸水」といった複数リスクに対して、どのように冗長性を持たせているかを確認することが重要です。
BCP性能が高いオフィスビルへの移転・見直しをご検討の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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地震発生時の被害を抑える!耐震・制振・免震について解説オフィス入居後に実施できる具体的なBCP対策
BCP対策は、オフィススペックの確保だけで完結するものではありません。入居後にどのような運用を行うかによって、実効性は大きく変わります。ここでは、入居後に実施できる主要な対策を紹介します。
什器の固定と備蓄品の準備・確認
地震対策として有効な什器の固定ですが、賃貸オフィスでは注意が必要です。OAフロアや壁面への穴あけが原状回復の対象となるのか、あるいはB工事(オーナー指定業者による工事)として扱われるのかによって、実施コストが大きく変わることがあります。什器固定を検討する場合は、必要に応じて管理会社に事前相談することをおすすめします。
壁や床に直接固定できない場合でも、突っ張り棒やジェル式の固定用具を使う、什器同士を連結して設置面積を広げる、重量物を下段に収納する、キャスターをロックするなど、転倒リスクを軽減する方法はあります。什器の転倒はけがの原因になるだけでなく、避難経路を塞ぎ、二次被害につながるおそれがあるため、早めの対応が重要です。
備蓄品については、最低3日分の準備が推奨されています。具体的な必要量の目安は次の通りです。
- 飲料水:1人あたり1日3リットル×3日分=9リットル
- 簡易トイレ:1人あたり1日5回×3日分=15回分
- 食料:1人あたり1日3食×3日分=9食分(ガスや電気が使えないことを想定した非常食)
これに加えて、救急セット、毛布、懐中電灯、携帯ラジオ、衛生用品なども人数・規模に応じて揃えておきたいところです。こうした備蓄を実際に確保するには相応のスペースが必要になるため、レイアウト設計の段階から備蓄場所を想定しておくと、後々の運用がスムーズになります。
データのバックアップと安否確認方法の策定
業務データのバックアップは、クラウドサービスを活用した遠隔地保管が有効です。有事の際に社内ネットワークやオンプレミスのサーバーへアクセスできない状況になっても、クラウド上にバックアップがあれば業務継続の可能性を高められます。また、どこに何のデータが保存されているのか、誰がアクセス権を持っているのかを平時から整理しておくことも重要です。
安否確認システムの導入に際しては、単にシステムを入れるだけでなく、実際に使える状態かどうかを確認しておく必要があります。たとえば、オフィス内のWi-Fiに死角がないか、大規模災害時に携帯電話のキャリア回線がつながりにくくなった場合でも代替通信手段があるかといった点は、見落とされがちな確認事項です。ビル側が公衆Wi-Fiを提供しているかどうかも、事前に確認しておくと緊急時の通信確保に役立ちます。
テレワークの導入と感染症対策
新型コロナウイルスのパンデミックを通じて、多くの企業が「出社できなくても業務を継続できる体制」の重要性を実感しました。テレワーク環境の整備は、感染症対策としてだけでなく、地震や台風、交通インフラの停止などにより出社が困難になる事態に備える意味でも、BCP対策の基本要件の一つです。
そのため、VPN、クラウドツール、チャットやWeb会議などのコミュニケーション基盤を整えるだけでなく、実際にテレワークでどの業務まで継続できるのかを確認しておくことが重要です。また、出社を前提とする業務が残る場合は、どの機能をオフィスに残し、どこまでを遠隔化するかといった切り分けも必要になります。
定期的な避難訓練の実施
BCP計画は、策定するだけでは機能しません。定期的に訓練を実施し、避難経路の確認や安否確認の手順を実際に試すことで、計画の抜け漏れや運用上の課題が明らかになります。年1〜2回程度を目安に訓練を定例化し、その結果を反映して計画を見直すサイクルを確立していくことが大切です。
また、訓練は形だけ実施しても効果が薄くなります。従業員一人ひとりが「自分はどのように行動するのか」をイメージできるようにすることが、本来の目的です。特に、複数フロアを利用している企業や来客が多い企業では、避難誘導や情報共有の流れまで具体的に確認しておく必要があります。加えて、入居後のBCP対策をより実効性の高いものにするためには、オフィスのレイアウト設計や什器配置にも目を向けることが重要です。什器の固定や備蓄スペースの確保は、移転・入居のタイミングで組み込んでおくのが理想ですが、現在のオフィスでも改善できる余地は少なくありません。現環境でBCP対策に限界を感じている場合は、現環境での延命策と移転という選択肢を、コスト面も含めて比較検討することをおすすめします。
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BCP対策を形骸化させないための運用ポイント
せっかく策定したBCP計画も、実際の緊急事態に機能しなければ意味がありません。ここでは、多くの企業でBCPが形骸化してしまう原因と、それを防ぐための運用上のポイントを解説します。
経営層の主導と全社を巻き込んだ企業文化づくり
BCPが機能不全に陥る最大の原因の一つは、「担当者任せになっていること」です。担当者の異動や退職によって計画の維持管理が途絶えるリスクを防ぐためには、経営層が主体的に関わり、組織全体にBCPへの意識を根付かせる企業文化づくりが重要です。BCP対策を特定部署の業務にとどめず、全社的な経営課題として位置づけるためには、経営会議の議題に定期的にBCPを取り上げることも効果的です。
定期的な訓練とPDCAサイクルによる継続的改善
BCPの形骸化を防ぐうえで、もう一つ重要なのが「マニュアルの肥大化と更新の停滞」を避けることです。組織体制や業務内容、利用しているシステムが変わっても計画が更新されなければ、いざというときに役立たなくなってしまいます。定期的な訓練を実施し、その結果を踏まえて内容を見直し、PDCAサイクルで更新を続けていくことが、実効性の高いBCPを維持する鍵になります。
外部連携(サプライチェーン全体)の重視
自社のBCPが万全でも、取引先や委託先が緊急事態に対応できなければ事業継続は難しくなります。そのため、取引先からのBCP状況の確認や監査への対応、サプライチェーン全体での情報共有・連携体制の構築が重要になります。製造業を中心に、取引先選定の際にBCP策定状況を確認するケースが増えており、自社のBCP水準そのものが取引機会に影響する時代になっています。
補助金・助成金の活用とITツールの導入
BCP対策の運用を支援する公的制度として、中小企業庁の「事業継続力強化計画(ジギョケイ)」認定制度があります。認定を受けた中小企業は、防災・減災設備への税制優遇(特別償却16%)、日本政策金融公庫による低利融資、補助金の加点などを受けられる可能性があります。また、東京都中小企業振興公社では「BCP実践促進助成金」を設けており、中小企業のBCP実践を資金面から支援しています。これらの公的支援は主に中小企業が対象ですが、大企業においても、サプライチェーン全体の強靭化を目指し、取引先へこれらの制度活用を促す動きが広がっています。
さらに、運用面では、安否確認システム、クラウドストレージ、ログ管理、アクセス制御、バックアップ自動化といったITツールの導入も有効です。こうしたツールは、緊急時の対応力を高めるだけでなく、平時の業務効率化にもつながります。
BCPを「緊急時だけの話」と捉えず、日常業務の延長線上で運用できる状態を作ることが、形骸化を防ぐ近道です。
自社のBCP要件に合致する物件の絞り込みや、最新ビルのスペック比較、また現オフィスとの性能対比など、不動産仲介の専門的な視点から「最適な拠点選び」をサポートいたします。移転を通じたBCPの強化をご検討の際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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BCP対策の第一歩は「オフィス環境の現状把握」から!
BCPの策定や改善に着手しようと思っても、「何から始めればいいかわからない」という声は少なくありません。まずはBCP対策の第一歩として、自社のオフィス環境や従業員の状況を正確に現状把握することから始めましょう。現在の拠点が抱えるリスクや不足している機能を明確に整理することが、次により高いBCP性能を求める際の確かな判断基準となり、実効性のある環境づくりの土台になります。
従業員の居住エリアと「帰宅困難リスク」の把握
BCPにおいて見落とされがちなのが、「従業員が有事の際に参集できるかどうか」という視点です。たとえば、千代田区・港区にオフィスを構えていても、従業員の居住地が荒川・江戸川流域などハザードマップ上の高リスクエリアに集中していた場合、大規模水害時の参集率は大きく下がる可能性があります。
オフィス移転を検討するタイミングで、社員の居住地データをもとに「災害時参集シミュレーション」を行い、移転先のエリア候補を比較することで、より実効性の高いBCP対策につながります。通常の移転検討ではここまで踏み込まないことも多いですが、BCPを本気で考えるのであれば欠かせない視点です。
今のオフィスビルは安全か?「インフラと設備の耐性」の確認
現在入居しているビルについては、少なくとも以下の点を確認しておくことをおすすめします。
- 耐震性能(耐震・制震・免震の種別)
- 非常用発電設備の供給範囲(専有部への電力が含まれるか)と稼働時間
- 断水時の給水能力
- 備蓄倉庫の有無と容量
- 有事における管理会社のサポート体制
これらの情報は、ビルの管理会社に問い合わせることで確認できる場合が多く、現在の賃貸借契約書の特約事項もあわせて見直しておくと、責任分界点を整理しやすくなります。「なんとなく安心そう」ではなく、どの設備がどの条件で機能するのかを把握しておくことが重要です。
テレワーク体制と「スペース稼働率」の可視化
コロナ禍以降、多くの企業でテレワークが定着した一方で、「オフィスの面積と実際の利用実態が合っていない」という課題を抱える企業も少なくありません。スペースの稼働率を可視化することで、在宅勤務推進とオフィス縮小によるコスト最適化、あるいは感染症対策としての密度管理など、BCP対策と経営効率化を同時に進めることができます。
業務を止めないための「社内コミュニケーション」の棚卸し
緊急時に業務が止まる原因として、「誰に連絡すればいいかわからない」「情報の一元管理ができていない」といった問題は非常に多く見られます。普段使っているコミュニケーションツールや情報共有の仕組みが、有事の際にも機能するかどうかを棚卸ししておくことが大切です。担当者不在でも代替対応ができる体制になっているか、業務フローの属人化が進んでいないかを改めて確認しておきましょう。
「今のオフィスが危ないかもしれない」と感じていても、社内調整のハードルから行動に移せないケースは多くあります。災害時のシミュレーション等による自社分析を終え、いざ「BCP要件を満たすビルへ移転したい」となった際は、ぜひ物件紹介のプロにご相談ください。当社では、オフィス環境の現状要件を客観的に可視化・整理する「Office Well」をご提供しています。立地・働く環境・面積・ビルスペック・時期の5つの要件から貴社の希望を整理し、BCP対策も視野に入れた最適なオフィスビルをご提案いたします。
現状調査サービス「Office Well」
▽レジリエンス性能の特集記事はこちら
企業の未来を守る鍵!オフィスビルの「レジリエンス性能」とは?まとめ
BCPとは、あらゆる緊急事態においても事業を止めない・早期に立て直すための計画です。帝国データバンクの調査によると、BCPを策定している企業の割合は依然として2割程度にとどまっています。しかし、近年の災害の激甚化などを背景に、対策の有無が「取引機会の維持」や「復旧スピード」を左右する決定的な差となっており、未整備であることのリスクは、以前にも増して経営上の大きな懸念事項となっています。
策定の基本は、①基本方針と体制の構築、②BIA(ビジネスインパクト分析)、③事業継続戦略の策定、④計画の文書化と訓練の4ステップです。賃貸オフィスに入居するテナント企業にとっては、ビル側とテナント側の責任分界点を契約前に把握しておくことが、余分なコストを避けるうえでも重要です。
また、BCPは計画書の有無だけで完結するものではなく、その計画を支える拠点・設備・通信・電源の実装まで含めて初めて実効性を持ちます。業種によって重視すべき要素は異なるため、自社の事業特性に応じて、どのようなオフィス環境が必要かを見極める視点が欠かせません。
BCP対策の第一歩は、自社の現状を正確に知ることから始まります。三菱地所リアルエステートサービスの「Office Well」では、立地・働く環境・面積・ビルスペック・時期の5つの要件から、貴社のオフィス環境を定量的に可視化するサービスを提供しています。BCP対策も視野に入れたオフィス選定や移転のご相談は、お気軽にお問い合わせください。



